募集情報では『見えにくい費用』に要注意

賃貸物件を比較するとき、賃料や共益費だけで判断していませんか。募集情報では目立ちにくい更新事務手数料や退去時費用なども含めて確認しないと、入居後の負担を見落とすことがあります。

実際に当社が物件情報を確認し、見積もりを作成する中でも、賃料や共益費は変わらない一方で、それ以外の費用が追加・値上げされている物件をよく見かけます。

  • 更新事務手数料が新たに追加される
  • 退去時のクリーニング費用が高くなる
  • 鍵交換費用が高くなる
  • 保証会社に関する費用が高くなる
  • 月額のサポート費用などが追加される

家賃だけを見ると以前と同じでも、契約から退去までに支払う金額で考えると、実質的に負担が増えていることがあります。今回は、募集情報だけでは分かりにくい費用について、具体例を交えて解説します。

賃貸契約の費用明細を確認するイラスト

家賃を上げずに、ほかの費用が増えるケース

最近特に感じるのが、賃料や共益費はそのままで、それ以外の費用が追加されたり、金額が上がったりしているケースです。

賃料は、物件を探す人が比較しやすい項目です。たとえば「家賃7万円以下」という条件で検索している場合、賃料が7万円から7万2,000円に上がると、その物件が検索結果に表示されなくなる可能性があります。そのため、賃料そのものは変えずに、更新時や退去時などにかかる費用が見直されているケースもあります。

もちろん、物価や人件費の上昇によって、実際のコストが増えている場合もあります。費用が上がった理由は物件ごとに異なるため、すべてを同じ理由で説明することはできません。ただ、借りる側から見れば、家賃以外の費用が上がれば、最終的に支払う金額が増えることに変わりはありません。

更新料とは別に「更新事務手数料」がかかることも

最近よく見かけるのが、更新時の費用です。以前は「更新料1か月分」だけだった物件に、「更新事務手数料22,000円」などが追加されているケースがあります。

更新料と更新事務手数料は別の費用です。たとえば、家賃70,000円の物件で更新料が1か月分、更新事務手数料が22,000円の場合、更新時には合計92,000円が必要になります。

さらに、保証会社の更新保証料や火災保険の更新費用などが必要になることもあります。更新は2年に1度という物件が多いため、契約時にはあまり気にしない方もいます。しかし、長く住む場合には無視できない負担になります。更新料だけでなく、更新事務手数料や保証会社の費用などもあわせて確認しましょう。

退去時のクリーニング費用も確認したい

退去時のクリーニング費用も、以前より高くなっていると感じる項目の一つです。たとえば、以前は33,000円だった費用が44,000円になれば、家賃が変わっていなくても11,000円の負担増です。

1Kや1DKなどの比較的小さな部屋でも、4万円台や5万円台のクリーニング費用が設定されている物件があります。クリーニング費用は退去時に支払うため、物件を探している段階では見落としやすい費用です。契約条件として設定されている場合は、退去時に必要となる可能性があるため、契約前に金額や条件を確認しておきましょう。

鍵交換費用も物件によって差がある

鍵交換費用も、物件によって差があります。鍵の種類などによって金額が異なるため単純には比較できませんが、当社が見かける金額には、16,500円、22,000円、27,500円、33,000円などの幅があります。

敷金・礼金がゼロでも、鍵交換費用、保証会社費用、サポート費用、クリーニング費用などを合計すると、思ったほど初期費用が安くないこともあります。「敷金・礼金ゼロ」という表示だけで判断せず、契約時に必要な費用全体を見ることが大切です。

保証会社の費用にも差がある

現在は、保証会社への加入が必要な物件が多くなっています。保証会社にかかる費用には、初回保証料、月額保証料、年間保証料、口座振替手数料などがあります。

特に初回保証料は物件によって差が大きく、総賃料の50%、70%、100%など、さまざまな設定があります。

分かりにくいのは、同じ保証会社を利用していても、管理会社や物件によって借主が支払う金額が異なる場合があることです。保証会社自体の料金プランが異なることもありますが、管理会社側の事務手数料などが加わっているケースもあります。

当社で見積もりを確認した範囲では、保証会社自体の値上げというより、管理会社側の手数料が上乗せされていると考えられるケースを多く見かけます。ただし、費用の名目や内訳、受取先は物件ごとに異なるため、金額だけで判断せず、見積書で項目を確認することが大切です。初回保証料だけでなく、毎月の保証料や年間更新料まで含めて確認しましょう。

管理会社側の費用が増えているケースも

物件情報を継続して見ていると、最近は貸主に支払う賃料だけでなく、管理会社側で設定される費用が増えているケースも見受けられます。たとえば、更新事務手数料、契約事務手数料、24時間サポート費用、保証会社関連の費用、各種サービス費用などです。

こうした費用が追加されていても、必ずしも貸主の収入が増えているとは限りません。費用の項目によっては、管理会社や関連会社の収入になる場合もあります。貸主側の収入増というより、管理会社側の収入増を目的としているのではないかと感じるケースもありますが、個々の費用設定の目的や収益の配分は、募集情報だけで断定できません。

管理会社にも人件費やシステム費などの負担があります。費用が設定されていること自体を一律に問題とするのではなく、借りる側が「何に、いくら支払うのか」を確認できることが大切です。

家賃だけで比較すると、本当の負担は分からない

同じような条件の2つの物件を比べてみましょう。

  • A物件:家賃70,000円
  • B物件:家賃69,000円

一見すると、B物件の方が安く見えます。家賃の差は月1,000円なので、2年間では24,000円の差です。

しかし、B物件に「更新事務手数料22,000円」「退去時クリーニング費用がA物件より11,000円高い」という条件があるとします。2年間の家賃差24,000円から追加費用33,000円を差し引くと、B物件の方が合計で9,000円高くなります。保証会社費用や月額費用まで異なれば、総額の差はさらに変わることがあります。

物件を比較するときは「毎月いくらかかるか」だけでなく、「2年間、4年間住んだ場合に合計いくらかかるか」まで見ると、実際の負担を比べやすくなります。

見積もりでは4つの費用を確認

物件を検討するときは、費用を次の4つに分けて確認すると分かりやすくなります。

  1. 契約時に必要な費用
  2. 毎月必要な費用
  3. 更新時に必要な費用
  4. 退去時に必要な費用

最近は、物件検索サイトの画面だけでは分かりにくい費用もあります。賃料や共益費が変わっていなくても、契約条件まで同じとは限りません。気になる物件があれば、申込みをする前に見積もりを取り、家賃以外の費用も含めて確認しましょう。

マチラボでは、内見前でも募集条件を確認したうえでお見積もりをご案内しています。他社サイトに掲載されている物件でも、物件名やURLをお送りいただければ、ご紹介可能かどうかとあわせて費用を確認できます。家賃だけでなく、入居してから退去するまでに必要な費用全体を見て比較すると、物件選びでの見落としを減らしやすくなります。

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執筆者栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士宅地建物取引士マンション管理士賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。