賃貸の更新料とは?相場・支払い義務・更新事務手数料との違いを解説

賃貸の更新案内を受け取ると、「更新料」だけでなく「更新事務手数料」「保証会社更新保証料」など、複数の費用がまとめて記載されていることがあります。更新料について説明を受けていないのに請求が来て驚いた、という声も少なくありません。

この記事では、更新料の意味・相場・支払い義務の有無・払えない場合の対応に加え、混同されやすい「更新事務手数料」との違いまで、賃貸仲介の実務目線で整理して解説します。

賃貸の更新料イメージ

最終更新日:2026年7月12日

更新時にかかる費用の全体像

賃貸の契約更新では、貸主へ支払う「更新料」以外にも、複数の費用が同時に発生することがあります。まず全体像を整理します。

費用
主な支払先
発生頻度
更新料
貸主
契約更新時(物件による)
更新事務手数料
管理会社・不動産会社
契約更新時(物件による)
保証会社更新保証料
保証会社
1年ごとなど(保証会社による)
火災保険料
保険会社
1〜2年ごと
24時間サポート更新料
サービス提供会社等
1〜2年ごと(物件による)
ポイント

「更新料なし」と案内されていても、これらの費用がゼロになるとは限りません。更新時の負担は、更新料の有無だけでなく、この一覧の合計で比較することが重要です。

更新料とは

更新料とは、賃貸借契約を更新する際に貸主へ支払う費用のことです。

賃貸借契約は通常2年間(または1年間)の契約期間が設定されており、期間満了後も同じ物件に住み続ける場合には「契約更新」の手続きが行われます。更新料は、このタイミングで支払う費用です。

一般的には貸主に対する謝礼金のような性質を持つとされていますが、2011年(平成23年)の最高裁判決では「賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する」と解釈されており、単純な謝礼とは異なる性質も認められています(参考:公益財団法人不動産流通推進センター「平成23年の更新料裁判における最高裁の判決の趣旨」↗)。

重要なのは、更新料は法律で必ず支払うことが義務付けられている費用ではないという点です。賃貸借契約書に更新料の定めがある場合にのみ発生します。契約書に記載がなければ支払い義務はありません。

更新料の相場

更新料が設定されている物件では、次のような金額で設定されているケースが多くなっています。

設定パターン
内容
賃料の1か月分
最も一般的。2年ごとに発生するケースが多い
賃料の0.5か月分
比較的少ない設定パターン
定額(20,000〜30,000円など)
賃料に関係なく一律で設定されているケース

更新料は「契約時点の賃料」ではなく、更新時点の賃料(新賃料)を基準に算定されるケースが多い点にも注意が必要です。たとえば更新料1か月分の契約で、更新にあわせて賃料が70,000円から72,000円に改定された場合、更新料は72,000円で計算されます。賃料改定を伴う更新では、更新料の金額もあわせて確認してください。

更新料の有効性について

2011年(平成23年)の最高裁判決では、契約期間1年・更新料2か月分などの条項について、いずれも有効と判断されました。ただし、この判決は「何か月分までなら必ず有効」という一律の金額基準を示したものではありません。

最高裁が示したのは、更新料の額が、賃料の額・更新される期間などに照らして高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条により無効とすることはできないという考え方です。つまり、有効性は契約ごとの個別の事情を踏まえて判断されるものであり、月数だけで一律に線引きされているわけではありません(参考:公益財団法人不動産流通推進センター「平成23年の更新料裁判における最高裁の判決の趣旨」↗)。

名古屋における更新料の実態

名古屋の賃貸市場では、もともと更新料が設定されていない物件が多数派です。関東では更新料が一般的ですが、名古屋では更新料なしで契約継続できるケースも少なくありません。

マチラボ調査(2026年7月時点)

2026年7月に、名古屋市内で募集されていた居住用賃貸3,000件を調査しました。同一建物・同一号室の重複を除外し、募集条件に「更新料なし」と明記されている物件を集計したところ、約55%が更新料なしという結果でした。

名古屋はもともと更新料が不要な物件が多い地域ですが、全国規模の管理会社が管理する物件や、投資用物件の増加により、更新料が設定される物件も徐々に増えてきている印象があります。物件ごとの募集条件を必ず確認するようにしてください。

更新料は払わないといけないのか

更新料が契約書に設定されている場合は、原則として支払いが必要です。賃貸借契約では契約書に記載されている内容が基本的なルールとなるため、入居時に更新料の条項に合意しているということになります。

一方で、契約書に更新料の定めがない物件については、更新料を支払う必要はありません。

稀に、契約書に記載がないにもかかわらず更新時に更新料の支払いを求めてくるケースがあります。そのような場合は、まず契約書の内容を確認し、記載がなければ支払いを断ることができます。

更新料を払わないとどうなるか

契約書に更新料の定めがある場合、不払いを続けると督促や遅延損害金の請求を受ける可能性があります。ただし、更新料の不払いだけで直ちに契約が終了するわけではありません。

実務上は、次のような段階を踏んで進むのが一般的です。

  • 支払いの案内・督促
  • 遅延損害金の請求
  • 再度の催告
  • 不払いの長期化
  • 貸主との信頼関係が破壊されたと評価される場合の契約解除
  • 明渡訴訟、判決後も退去しない場合の強制執行

普通借家契約では、更新手続きがされないだけで直ちに契約が終了するとは限らず、法定更新の問題が生じます。長期間の不払いと催告の無視などにより貸主との信頼関係が破壊されたと判断されて初めて、契約解除や明渡請求に発展する可能性があります。

注意

連帯保証人や保証会社に請求が行われるかどうかは、保証契約の範囲によって異なります。更新料の不払いをどのように扱うかは契約・保証内容ごとに違うため、心当たりがある場合は契約書と保証委託契約の内容を確認してください。

更新料が払えない場合の対応

支払い期日までに更新料の準備が難しい場合は、放置せず早めに行動することが重要です。

ポイント
  • 案内が届いた段階で、支払いが難しい旨を早めに管理会社へ連絡する
  • 分割払いや支払い時期の猶予について相談する
  • これまでの家賃の支払い状況(滞納の有無)を伝え、誠実な対応を示す
  • 相談が難航する場合は、消費生活センターなど公的な窓口も選択肢になる

期日を過ぎてからの相談では対応してもらえる余地が狭まります。支払いが難しいと分かった時点で、できるだけ早く連絡することが現実的な対応です。

更新料はなぜあるのか

更新料は法律で定められた費用ではなく、主に関東エリアを中心に根付いてきた商慣習の一つです。戦後の住宅不足の中で、契約を更新して住み続ける際に貸主へ謝礼の意味合いで支払う費用として広まったとされています。

また、日本の賃貸借契約では貸主が一方的に家賃を引き上げることが法律上難しいという事情もあり、物価上昇や固定資産税の増加などに対応する手段の一つとして更新料が機能してきた側面もあります。このような経緯から、関東エリアでは更新料が一般的な一方、名古屋では更新料なしの物件が多く残っています。

更新料と更新事務手数料の違い

更新料と混同されやすい費用に「更新事務手数料」があります。名前が似ているため同じものと思われがちですが、支払先も性質も異なる別の費用です。

比較項目
更新料
更新事務手数料
支払先
貸主
管理会社・不動産会社
性質
契約継続の対価など
更新手続きの事務作業への対価
金額の目安
賃料0.5〜1か月分、または定額
20,000円〜賃料0.5か月分程度
両方発生するか
物件によっては両方発生する

更新料は貸主が受け取る費用であるのに対し、更新事務手数料は更新案内の送付や契約書の作成など、更新手続きの実務を行う管理会社が受け取る費用です。両方が契約書に定められている場合は、それぞれ別の名目として併存すること自体は問題ありません。ただし、金額・根拠・支払先が契約書上で明確になっているかは確認しておくと安心です。

更新事務手数料の相場や支払い義務、交渉の可否など詳しい内容は、以下の記事で詳しく解説しています。

賃貸の更新事務手数料とは?更新料との違い・相場・支払い義務を解説

更新料以外に更新時にかかる費用

「更新料なし」と記載されていても、更新のタイミングで他の費用が発生するケースがあります。更新時に発生しうる主な費用は次のとおりです。

費用項目
相場
概要
保証会社更新保証料
10,000〜20,000円程度/年
保証会社の契約を継続するための費用
住宅総合保険の更新
15,000〜20,000円程度/2年
火災保険の更新にあわせて発生
24時間サポート更新料
物件による
加入が必須の物件で発生

保証会社の費用や24時間サポートについては、以下の記事で詳しく解説しています。

賃貸契約に必要な家賃保証会社に関する費用|種類や相場などについての詳細説明
賃貸の24時間サポートは必須?断れるケースと費用、加入前の注意点を解説

ポイント

当社では、契約更新時に想定される費用についても見積書に記載し、入居後の費用を事前に把握していただけるようご案内しています。

更新料がある物件とない物件、長期居住でどれだけ差が出るか

更新料が設定されている物件に長く住むと、トータルの住居費にどのくらい差が生まれるか、具体的に考えてみましょう。

計算例

賃料60,000円、2年ごとに更新料1か月分(60,000円)の場合

2年目:更新料 60,000円 / 4年目:更新料 60,000円

5年間の更新料合計:120,000円 ÷ 60か月 = 1か月あたり約2,000円の実質上乗せ

月2,000円の差は小さく見えますが、5年・10年と住み続けるほど積み重なっていきます。ただし、更新料のない物件でも更新事務手数料や保証会社の更新料が発生するケースがあるため、比較は更新料の有無だけでなく、更新時に発生する費用全体で行うことが大切です。

更新料と再契約手数料の違い

更新料と似た言葉に「再契約手数料」があります。更新料は普通借家契約における「契約更新」の際に貸主へ支払う費用であるのに対し、再契約手数料は定期借家契約が期間満了で終了したあと、あらためて契約を結び直す「再契約」の際に発生する費用です。定期借家契約では、更新ではなく再契約という扱いになるため、家賃などの条件が見直されることもあります。

定期借家契約の仕組みや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

定期借家契約はやめた方がいい?借主側のデメリットと注意点を解説

よくある質問

更新料と更新事務手数料を両方請求されました。二重取りではありませんか?
更新料は貸主へ、更新事務手数料は管理会社へ支払う、目的も受取人も異なる費用です。それぞれ契約書に記載があり、借主が合意している場合は、両方が発生すること自体は直ちに問題とはいえません。金額・名目・支払先が契約書どおりかを確認してください。
更新の案内が来ていないのですが、このまま住み続けて問題ありませんか?
貸主も借主も特に手続きをしないまま居住が続いているケースを「法定更新」と呼び、従前と同一条件で契約が更新されたものとみなされます。ただし法定更新の場合に更新料が発生するかは契約書の内容によって異なるため、案内が来ない場合でも管理会社に契約状況を確認しておくことをおすすめします。
更新料は「旧賃料」と「新賃料」どちらを基準に計算されますか?
契約書の定め方によりますが、更新にあわせて賃料が改定される場合、更新後の新賃料を基準に更新料が計算されるケースが多くなっています。賃料改定と更新料が同時に発生する場合は、それぞれの金額を別々に確認しておくと安心です。
名古屋で部屋を探す場合、更新料なしの物件を選ぶべきですか?
更新料なしの物件が多い名古屋では、更新料ありの物件は相対的に不利な条件に見える場面もありますが、一概に避けるべきとはいえません。更新料があっても家賃が相場より低めであれば、トータルの住居費が変わらないケースもあります。更新料の有無だけでなく、更新事務手数料・保証会社保証料・保険なども含めた実質的な負担で比較することが大切です。

まとめ

  • 更新料は法律上の義務ではなく、契約書に記載がある場合にのみ発生する
  • 相場は賃料の0.5〜1か月分が一般的。最高裁判決は「高額に過ぎる特段の事情がない限り有効」という個別判断の基準を示したもので、一律の月数基準ではない
  • 名古屋では約55%の物件で更新料が設定されていない(2026年7月マチラボ調査)
  • 不払いを続けると督促・遅延損害金・契約解除・明渡請求へと段階的にリスクが高まる
  • 更新事務手数料は管理会社へ支払う別の費用で、更新料と両方発生することもある
  • 更新料なしでも、更新事務手数料・保証会社更新料・保険更新などが発生するケースがある
  • 支払いが難しい場合は放置せず、早めに管理会社へ相談することが重要

栗田伸裕のプロフィール写真
執筆者
栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。