「友人同士でも賃貸物件は借りられるのか」「仲のいい友達とルームシェアして家賃を抑えたい」と考えている方は多いと思います。結論からお伝えすると、友人同士でも賃貸を借りることは可能です。ただし、対象となるのは「ルームシェア可」の物件に限られ、この条件を満たす物件は思っている以上に少ないのが実情です。
この記事では、ルームシェアの正しい定義から、「二人入居可」との違い、名古屋におけるルームシェア可物件の割合、契約者と連帯保証人の決め方、探し方、そして無断でルームシェアした場合のリスクまで、1,000件以上の賃貸仲介に携わってきた実務経験をもとに解説します。

最終更新日:2026年07月07日
友人同士でも賃貸は借りられるが「ルームシェア可」物件に限られる
友人同士で一つの部屋を借りて暮らすこと自体は、法律的にもまったく問題ありません。実際に、社会人になった友達同士や学生同士で家賃を折半して広い部屋に住むケースは一定数あります。
ただし、どの物件でも自由にルームシェアできるわけではありません。賃貸物件には「ルームシェア可」と「ルームシェア不可」があり、友人同士で入居できるのは「ルームシェア可」と設定された物件だけです。そして後述するように、ルームシェア可の物件は全体のごく一部にとどまります。
私の経験上、「二人で住めるくらいの広い部屋なら友達とも住めるだろう」と考えて物件を探し始め、いざ問い合わせてみると「この物件は友人同士では入居できません」と断られてしまうケースは少なくありません。まずは、ルームシェアがどういう入居形態を指すのかを正しく理解しておくことが、遠回りを避ける第一歩になります。
ルームシェアとは?恋人・婚約者との「二人入居」とは別物
賃貸におけるルームシェアとは、婚姻関係や婚約関係にない人同士が、同じ賃貸物件で一緒に暮らすことを指します。ポイントは「家族、あるいは将来家族になる予定の関係ではない人同士」という点です。
具体的には、次のような組み合わせがルームシェアに該当します。
- 大学時代からの友人同士で部屋を借りる
- 職場の同僚と家賃を折半して住む
- 地元の友達と上京・転勤先で一緒に暮らす
- SNSや募集サイトで知り合った人と共同生活を始める
- 兄弟姉妹以外の親族(いとこなど)と同居する
一方で、結婚を予定している恋人同士や入籍済みの夫婦、親子など「家族またはそれに準じる関係」は、ルームシェアではなく後述する「二人入居」として扱われます。ここを混同すると、物件選びの段階で行き違いが生まれやすくなります。
婚約していない恋人同士の同棲は、貸主や管理会社によっては「他人同士の入居」とみなされ、ルームシェアと同じ扱いになることがあります。「カップルだから二人入居可の物件で大丈夫」とは限らないため、申込前に続柄をどう申告するかも含めて確認しておくと安心です。
「二人入居可」と「ルームシェア可」は意味が違う
物件情報でよく見かける「二人入居可」と「ルームシェア可」は、似ているようで前提としている関係性がまったく異なります。この違いを理解しておくことが、無駄足を防ぐうえで非常に重要です。
二人入居可
夫婦・婚約者・親子など、家族または家族になる予定の関係での二人入居を前提とした条件。将来の入籍を見込んだカップルはこちらが基本です。
ルームシェア可
友人同士など、他人同士でも入居できることを認めた条件。二人入居可よりもさらに限定された、貸主が明確に許可している物件だけが該当します。
つまり「二人入居可=友人同士でも住める」ではありません。二人入居可であっても、それはあくまで夫婦や婚約カップルを想定した条件であり、友人同士の申込みは断られるのが一般的です。ルームシェアをしたい場合は、必ず「ルームシェア可」まで確認する必要があります。
なお、婚約中や結婚を前提としたカップルの物件選びについては、審査基準や名義の決め方が友人同士とは異なるため、別の記事で詳しく解説しています。
同棲の賃貸はどう選ぶ?おすすめの間取り・広さの目安と審査のポイントを解説
ルームシェア可の物件は非常に少ない(名古屋では6〜7%程度)
残念ながら、ルームシェア可の物件は数がとても限られています。これはルームシェアを考えている方が最初に直面する、もっとも大きなハードルです。
当社が名古屋の物件を調べたところ、そもそも2人以上の入居が可能な物件のうち、9割以上はルームシェア不可という結果でした。言い換えれば、2人入居ができる物件の中でも、友人同士のルームシェアまで認めているのは6〜7%程度にとどまります。二人入居可の物件は多く見つかっても、その大半は夫婦や婚約者向けであり、友人同士では申し込めないということです。
- 2人以上入居可能な物件でも、9割超がルームシェア不可
- ルームシェア可はおよそ6〜7%と少数派
- 築年数が古めの物件が多い傾向がある
ルームシェア可の物件に築古が多いのは、私の経験上、新しい物件や人気の高い物件ほど貸主が入居者の質を重視し、他人同士の入居によるトラブルを避ける傾向があるためだと感じています。設備や築年数にこだわりが強い場合、ルームシェア可という条件と両立させるのが難しくなる点は、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。
貸主がルームシェアを敬遠する理由
「なぜルームシェア可の物件はこれほど少ないのか」と疑問に思う方も多いはずです。これは貸主や管理会社が、ルームシェアに特有のリスクを警戒しているためです。主な理由は次のとおりです。
- 騒音・生活音のトラブル:生活リズムの違う複数人が暮らすと、来客や深夜の物音などで他の入居者への迷惑が生じやすい
- 短期解約のリスク:友人関係が悪化して片方が出ていくなど、単身入居より短期間で解約になる可能性が高い
- 責任の所在が不明確:家賃滞納や原状回復の際に、誰が最終的に責任を負うのかが曖昧になりやすい
特に短期解約のリスクは、貸主にとって大きな関心事です。入居者が入れ替わるたびに原状回復や募集の手間・費用が発生するため、長く安定して住んでくれる入居者を好むのは自然なことです。
3人以上のルームシェアができる物件はさらに少ない
ここまでは2人でのルームシェアを前提に説明してきましたが、3人以上でのルームシェアになると、対象となる物件は2人の場合よりもさらに少なくなります。人数が増えるほど条件が厳しくなると考えておいたほうがよいでしょう。理由は大きく2つあります。
- 人数分の間取りが確保しにくい:一般的な賃貸は1〜2人向けかファミリー向けの間取りが中心で、それぞれの個室を確保できる3LDK・3DK以上の物件自体が限られる
- 貸主のリスク認識がさらに強まる:人数が増えるほど騒音・入居者の入れ替わり・責任の所在への懸念が大きくなり、審査のハードルも上がる
特に異性を含む3人以上のルームシェアは、貸主が敬遠しやすく、審査が通りにくい傾向があります。可能な場合でも、入居者全員での連名契約を求められたり、代表者一人に家賃全額を支払える収入があることを条件とされたりするケースが少なくありません。
また、周囲を気にせず暮らせる戸建て賃貸であれば3人以上でも受け入れられやすい面はありますが、そもそも戸建ての賃貸物件は数が多くありません。3人以上でのルームシェアを希望する場合は、間取り・人数・続柄を早めに整理したうえで、不動産会社に相談して対応可能な物件を探してもらうのが現実的です。人数が多いほど「まず物件を確保できるか」が最初の関門になると理解しておきましょう。
ルームシェア可物件は「契約者+連帯保証人」型が多い
ルームシェア可の物件で契約する場合、二人が対等な立場で連名契約をするのではなく、どちらか一方を契約者(借主)とし、もう一方を連帯保証人にする形が多く採られます。
この形が選ばれるのは、貸主側が「誰が最終的な責任者か」を一本化しておきたいからです。連名契約に対応する物件はほとんどなく、保証会社の審査システムや契約実務も単独名義を前提に作られています。片方を連帯保証人にすることで、契約者が家賃支払いの当事者となりつつ、もう一方も連帯保証人として支払い責任を分担する形になります。二人が家賃を出し合う予定でも、契約上の名義は一人に決める必要があると理解しておきましょう。
誰を契約者にするかは、収入や雇用形態が安定している方を選ぶのが基本です。契約者の収入を基準に審査されるため、二人の収入を単純に合算して家賃の上限が上がるわけではない点にも注意が必要です。連帯保証人となる側にも収入や勤務先の確認が入ることがあります。
近年は連帯保証人の代わりに保証会社を利用するのが主流ですが、ルームシェアの場合は事情が少し異なります。貸主側が抱えるリスクが大きいぶん、保証会社の利用に加えて、連帯保証人の設定も併せて求められることが多くなります。単身入居であれば保証会社だけで契約できる物件でも、ルームシェアでは「保証会社+連帯保証人」の両方を用意するよう求められると想定しておくとよいでしょう。保証会社の仕組みや費用については以下の記事で詳しく解説しています。
賃貸保証会社とは?加入が必要な理由・仕組み・連帯保証人との違いを解説
ルームシェア可物件の探し方
数が限られるルームシェア可物件を効率よく見つけるには、探し方にコツがあります。基本の流れは次のとおりです。
- 物件情報サイトの検索条件で「ルームシェア可」に絞り込む
- 気になる物件が見つかったら、条件の詳細を不動産会社に確認する
- 希望条件を伝えて、掲載外の物件も含めて紹介を依頼する
ただし、情報サイトの検索だけに頼るのは危険です。実際にはルームシェア可能な物件でも、公開情報上に「ルームシェア可」と表示されていないことが少なくありません。募集情報の入力段階で条件が反映されていなかったり、記載が漏れていたりするためです。逆に「不可」と表示されていても、貸主に確認すると条件付きで認められるケースもまれにあります。
そのため、確実なのは不動産会社に直接問い合わせ、希望を伝えて探してもらう方法です。当社では、サイトに掲載していない物件も含めて条件に合うものをお探しできますので、ルームシェアを前提とした部屋探しであれば、最初の段階でその旨をお伝えいただくとスムーズです。「二人の名前」「続柄(友人同士など)」「それぞれの勤務先」をあらかじめ整理しておくと、対応可能な物件の絞り込みが早くなります。
勝手にルームシェアするのは契約違反(退去のリスクがある)
ルームシェア可の物件が少ないからといって、一人暮らし用の契約を結んだあとに、貸主へ無断で友人を住まわせるのは絶対に避けてください。これは明確な契約違反にあたります。
賃貸借契約は、貸主が「その契約者を信頼して貸す」という信頼関係を前提に成り立っています。契約書には入居者や同居人を定める条項があり、これを無視して承諾なく第三者を住まわせる行為は、その信頼関係を損なうものと判断されます。民法でも、貸主の承諾を得ずに第三者へ部屋を使用させることは制限されており、違反した場合には貸主が契約を解除できると定められています。
無断ルームシェアが発覚した場合、最悪のケースでは契約を解除され、退去を求められることがあります。「バレなければ大丈夫」と考えるのは非常にリスクが高く、郵便物や来客、近隣からの指摘などで判明することも珍しくありません。友人と住みたい場合は、必ず最初からルームシェア可の物件を選ぶことが大切です。
賃貸借契約における第三者への使用制限については、法律の条文でも確認できます。
e-Gov法令検索 民法(第612条 賃借権の譲渡及び転貸の制限)
ルームシェアの入居審査で見られるポイント
ルームシェア可の物件が見つかっても、次に待っているのが入居審査です。ルームシェアの審査では、単身入居とは少し異なる点が確認されます。
審査の中心となるのは、契約者となる方の収入や勤務先、雇用形態です。前述のとおり二人の収入は合算されないため、家賃は契約者一人の収入を基準に無理のない範囲かどうかが見られます。あわせて、同居する側の職業や勤務形態が確認されることもあり、どちらも収入が不安定な場合は審査が厳しくなる傾向があります。
また、ルームシェアという入居形態そのものが、貸主に短期解約リスクを連想させることもあります。私の経験上、契約者・連帯保証人ともに安定した勤務先であること、そして家賃と収入のバランスが取れていることが、審査をスムーズに進めるうえで重要になります。審査全体の流れや必要書類については、以下の記事で詳しく解説しています。
賃貸の入居審査の流れ・必要書類・結果がでるまでの期間を賃貸仲介のプロがわかりやすく解説
ルームシェアで後悔しないための注意点
ルームシェアは家賃や生活費を抑えられる大きなメリットがある一方で、お金や退去をめぐるトラブルが起きやすい住み方でもあります。私の経験上、後からもめやすいのは次のような点です。
- 家賃・共益費・光熱費の分担:誰が何割を負担するか、どの口座から支払うかを明確にする
- 退去時の原状回復費用:敷金の精算や修繕費をどう分けるかを事前に取り決める
- 片方が先に出ていく場合の対応:残る側が住み続けられるか、名義や保証をどうするか
特に金銭面のトラブルは、友人関係そのものを壊してしまう原因になりがちです。口約束で済ませず、負担割合やルールを書面(簡単な覚書でも構いません)で残しておくことをおすすめします。
また、契約者ではない側が先に退去した場合でも、契約者本人が住み続けるなら契約自体は継続できます。ただし連帯保証人が抜けることになる場合は、代わりの保証人や保証会社への切り替えが必要になることがあるため、退去のタイミングで管理会社へ相談しておくと安心です。反対に契約者本人が先に退去し、残った側が住み続けたい場合は、契約を結び直して改めて審査を受ける必要があるケースが多い点にも注意しておきましょう。
よくある質問
まとめ
- 友人同士でも賃貸は借りられるが、対象は「ルームシェア可」の物件に限られる
- ルームシェアは婚姻・婚約関係にない人同士の入居で、夫婦や婚約者向けの「二人入居可」とは条件が異なる
- 名古屋ではルームシェア可の物件は6〜7%程度と少なく、築年数が古めの物件が多い傾向がある
- 貸主は騒音・短期解約・責任の所在などのリスクからルームシェアを敬遠しやすい
- 契約は片方を契約者、もう一方を連帯保証人(または保証会社利用で同居人)とする形が多い
- 数が限られるため、不動産会社に直接問い合わせて探すのが確実
- 無断でのルームシェアは契約違反にあたり、契約解除・退去につながるリスクがある
