賃貸の緊急連絡先とは?
役割・条件・連帯保証人との違いを宅建士が解説

賃貸の入居申込書に必ずある「緊急連絡先」。「連帯保証人と何が違うの?」「責任が生じるの?」と疑問に感じる方は多いです。

結論からいうと、緊急連絡先に金銭的な責任はありません。ただし、要件をきちんと満たした人を設定する必要があり、確認の電話が入ることもあります。

この記事では、緊急連絡先の意味・連帯保証人との違い・条件・よくある疑問まで、賃貸仲介の実務経験をもとにわかりやすく解説します。

賃貸の緊急連絡先

 

最終更新日:2026年7月21日

賃貸における緊急連絡先とは

緊急連絡先とは、入居者本人と連絡が取れない場合や、本人に万一のことがあった場合に、管理会社や貸主が連絡を取るための窓口となる人のことです。

たとえば以下のような場面で連絡が入ります。

  • 管理会社が本人に連絡を取らなければならない状況で、本人と連絡がつかないとき(家賃の未払い・騒音や迷惑行為のトラブル・設備不具合の対応など)
  • 火災・漏水・ガス漏れ・室内での事件・事故など、緊急対応が必要な事態が発生したとき
  • 入居者が病気・事故などで意識不明になったり、亡くなったりしたとき
  • 長期間不在で郵便物がたまるなど、安否確認が必要なとき

緊急連絡先はあくまで「連絡先」であり、家賃の肩代わりや損害賠償など、金銭的な責任を負う立場ではありません。この点が連帯保証人と大きく異なります。

また、名前のとおりあくまでも本人と連絡が取れない場合に限って連絡がいく窓口です。本人と連絡が取れている状況であれば、管理会社が緊急連絡先に連絡することは基本的にありません。引き受けてもらう人には「普段は何も連絡が来ない」とあわせて伝えておくと、心理的なハードルが下がります。

ポイント

当社(株式会社マチラボ)が名古屋市内で取り扱う物件では、すべての物件で緊急連絡先の設定が必要です。長年の実務経験のなかで、緊急連絡先が不要な物件を見たことがありません。連帯保証人が不要な物件はありますが、緊急連絡先が不要な物件はほぼ存在しないと考えておきましょう。

緊急連絡先と連帯保証人の違い

「緊急連絡先」と「連帯保証人」は似たような位置づけに見えますが、法的な責任の重さがまったく異なります。

緊急連絡先
連帯保証人

主な役割
緊急時・トラブル時の連絡窓口
家賃滞納・損害賠償などの債務を借主と連帯して負担

金銭的責任
なし
あり(借主と同等)

審査
なし(本人確認の電話が入ることはある)
あり(収入・年齢・信用情報など)

必要書類
原則不要(署名・押印も不要)
身分証・印鑑登録証明書・実印など

極度額の設定
不要
個人保証の場合は法律上必須

最も重要な違いは「お金の責任があるかどうか」です。連帯保証人は家賃の滞納分や原状回復費用などを代わりに支払う義務を負いますが、緊急連絡先にはそのような義務は一切ありません。

私の経験上、緊急連絡先をお願いする段階で「え、私が保証人になるということですか」「家賃を滞納したら私に請求が来るんですか」と不安そうに聞かれる方は少なくありません。申込書の同じページに緊急連絡先と連帯保証人の記入欄が並んでいることが多く、見た目の印象から混同されやすいのが実情です。緊急連絡先はあくまで本人に連絡がつかないときの連絡窓口であり、契約上の義務を負う立場ではないという点を、頼む側からもはっきり伝えておくと、相手に余計な不安を与えずに済みます。

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緊急連絡先になれる人の条件

緊急連絡先に金銭的責任はありませんが、誰でもなれるわけではありません。管理会社・貸主によって基準は異なりますが、一般的に以下のような条件が設けられています。

よく見られる条件の例

  • 日本国内に居住していること:緊急時に連絡が取れることが前提のため、海外居住者は不可とされることが多い
  • 別居の親族であること:3親等以内(両親・兄弟姉妹・祖父母・叔父叔母など)が求められることが多い。同居予定の親族は認められない
  • 年齢制限:75歳以下または70歳以下としている管理会社・貸主が多い
注意

同居予定の家族(入居時に一緒に住む予定の人)は緊急連絡先になれないケースがほとんどです。緊急連絡先の目的は「本人と別の場所にいる第三者が連絡窓口になること」にあるためです。

親族以外の人を緊急連絡先にできる?

「頼める親族が日本にいない」「親族が高齢で年齢制限に引っかかる」といった事情がある場合、管理会社・貸主に事情を説明すれば、親族以外の人(友人・知人など)を緊急連絡先として認めてもらえることもあります。ただし、あくまで管理会社・貸主の判断次第であり、必ず認められるわけではありません。まずは不動産会社を通じて相談してみましょう。

緊急連絡先に確認の電話が入ることがある

緊急連絡先として名前を書いてもらった人に、管理会社や保証会社から本人確認の電話が入ることがあります。

理由のひとつは、申込書に実在しない人物や、本人の承諾を得ていない人の名前を勝手に書くケースがあるためです。確認電話はそうした虚偽申告を防ぐための手段でもあります。

確認の内容は「緊急連絡先になることを承諾しているか」「申込者との続柄」などが中心で、審査のような厳しいものではありません。とはいえ、突然の電話で戸惑わせてしまわないよう、緊急連絡先になってもらう人には事前に「確認の電話が入る可能性があること」を必ず伝えておきましょう。

ポイント

緊急連絡先の人が「知らない」と答えてしまうと、申込みが進まなくなることがあります。事前の説明と了承取得は、スムーズな入居審査のためにも必ず行いましょう。

緊急連絡先の書類・署名・押印について

緊急連絡先は連帯保証人と異なり、基本的に書類の提出・署名・押印は不要です。申込書に氏名・続柄・電話番号などを記入するだけで済むことがほとんどです。

契約書の緊急連絡先欄について

賃貸借契約書に緊急連絡先の記載欄が設けられている場合がありますが、その欄は入居者本人(または不動産会社)が記入するものであり、緊急連絡先に指定された人が自分で書いたり押印したりする必要はありません。

勤務先の記入欄について

申込書に緊急連絡先の勤務先を記入する欄が設けられていることがあります。しかし、勤務先の有無は緊急連絡先の要件とはまったく関係ありません。退職中・専業主婦(主夫)・年金生活など、収入がない場合でも緊急連絡先になれます。勤務先がない場合は空欄または「なし」と記入すれば問題ありません。

ポイント

緊急連絡先に頼む際の手間はほとんどありません。名前・電話番号・続柄を確認しておくだけで、書類を用意してもらったり、どこかに出向いてもらったりする必要はないことを伝えると、引き受けてもらいやすくなります。

緊急連絡先の記入で意外とつまずく「生年月日」

緊急連絡先の申込項目には、氏名・住所・電話番号・続柄に加えて生年月日を記入する欄がほぼ必ず含まれます。しかし実務上、この生年月日の記入で申込がストップしてしまうケースを頻繁に見かけます。

理由はシンプルで、緊急連絡先に指定する相手の生年月日を、申込者本人が把握していないことが多いためです。親であっても正確な生年月日をとっさに答えられない方や、兄弟姉妹・親戚となるとなおさら曖昧になりがちです。管理会社が生年月日を確認する主な理由は、年齢制限(70歳以下・75歳以下など)に該当するかどうかを判断するためであり、本人確認の一部として扱われます。

ポイント

緊急連絡先をお願いする際は、名前・電話番号・続柄だけでなく、生年月日まで含めて確認しておくと、申込の段階で入力が止まりません。LINEやメッセージで「緊急連絡先の欄に生年月日も書く必要があるから教えてほしい」と一言添えて聞いておくと、相手も答えやすくなります。

申込の直前になって生年月日がわからず慌てるケースは非常に多いため、緊急連絡先を誰に頼むか決めた時点で、あわせて確認しておくことをおすすめします。申込項目全体の詳しい流れは以下の記事で解説しています。

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連帯保証人がいる場合は緊急連絡先を兼ねられる?

連帯保証人を設定する場合、その連帯保証人を緊急連絡先として兼ねて設定できることが多いです。連帯保証人はすでに審査を経て信頼性が確認された人物であるため、管理会社・貸主から見ても緊急連絡先として適切と判断されやすい傾向があります。

ただし、管理会社によっては連帯保証人と緊急連絡先を別々の人にするよう求める場合もあります。兼任が可能かどうかは、申込前に不動産会社を通じて確認しておきましょう。

法人契約の場合の緊急連絡先

会社が契約者となる法人契約の場合、緊急連絡先の扱いは個人契約とやや異なります。

求められる緊急連絡先のパターンは主に2つあります。

  • 入居予定者の親族:個人契約と同様に、実際に住む人の親族を求めるケース
  • 会社の担当者(総務・人事など):契約窓口となる社内担当者の連絡先を求めるケース

実務上は入居予定者の親族が求められるケースが多いです。その理由は、会社の担当者では休業日・夜間・担当者の退職などで連絡が取れない事態が想定されるためです。緊急時にすぐ対応できる個人の連絡先として、親族が優先されやすい傾向があります。

緊急連絡代行サービスは使える?

緊急連絡先となる親族がいない方向けに、有償で緊急連絡先を引き受ける「緊急連絡代行サービス」が民間企業によって提供されています。行政書士事務所やNPO法人などが運営しているケースも見られます。

しかし、こうした代行サービスの利用を認めていない管理会社・貸主がほとんどです。その背景にあるのは、次のセクションで述べるとおり、「緊急連絡先をきちんと設定できるかどうか」自体が審査の判断材料になっているという点です。業者を使って形式上の要件を満たしても、管理会社・貸主が求めている「信頼できる身内がいる人物かどうか」という本質的な確認にはなりません。そのため、代行サービスは要件を満たすものとして認められないケースが多いのです。

注意

「緊急連絡代行サービスを使えば大丈夫」と考えて申し込むと、審査の段階で認められず、入居できないケースがあります。まずは不動産会社に「親族が用意できない」と相談し、管理会社・貸主の意向を確認することが先決です。

緊急連絡先の設定が審査の判断材料になる理由

緊急連絡先には金銭的な責任はなく、保証人のような正式な審査も行われません。しかし実務上は、緊急連絡先をきちんと設定できるかどうか自体が、入居審査における判断材料のひとつとなっています。

「3親等以内の親族を緊急連絡先として設定できる」ということは、連絡の取れる身内がいる=身元のしっかりした人物であると管理会社・貸主が判断する材料になります。逆に、緊急連絡先を用意できない・虚偽の情報を書くといったことが判明すると、審査上マイナスに働く可能性があります。

また、親族がいない場合でも、友人・知人・職場の同僚など、いざというときに連絡を取れる人が確保できるかどうかも、審査の印象に影響します。「誰も頼める人がいない」という状況は、管理会社・貸主にとってリスクと映りやすいためです。

緊急連絡先は「形式的に名前を書くだけ」ではなく、事前にきちんと了承を得た上で正確な情報を記入することが大切です。それ自体が、信頼できる入居者であることを示す材料にもなります。

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よくある質問

Q. 緊急連絡先がいないと賃貸を借りられませんか?
A. ほとんどの物件で緊急連絡先の設定は必須です。親族に頼める人がいない場合は、まず不動産会社を通じて管理会社・貸主に事情を説明してみてください。親族以外(友人・知人など)を認めてもらえるケースもありますが、判断は管理会社・貸主次第です。
Q. 緊急連絡先と連帯保証人は同じ人でもいいですか?
A. 同じ人が兼ねることは可能です。ただし連帯保証人には審査があり書類も必要なため、緊急連絡先とは別の人を設定するよう求められることもあります。申込前に不動産会社に確認するのがスムーズです。
Q. 緊急連絡先の人に実際に連絡が来るのはどんな場面ですか?
A. 主なケースは、①管理会社が本人に連絡を取らなければならない状況で連絡がつかないとき(家賃未払い・騒音トラブル・設備不具合など)、②火災・漏水・室内での事件・事故など緊急事態が発生したとき、③入居者が病気・事故などで対応できない状態になったとき、④審査時の本人確認電話です。通常の入居中は連絡が来ることはほぼありません。
Q. 緊急連絡先に家賃の支払い義務はありますか?
A. ありません。緊急連絡先は「連絡先」にすぎず、家賃の肩代わりや損害賠償など、金銭的な責任を負う義務は一切ありません。お金に関する責任を負うのは連帯保証人です。
Q. 緊急連絡先の人が高齢で年齢制限に引っかかります。どうすればよいですか?
A. 年齢制限は管理会社・貸主によって異なります(70歳以下・75歳以下など)。年齢制限に引っかかる場合は、不動産会社を通じて別の方を立てられないかを確認するか、年齢要件が緩やかな物件を探すのが現実的です。
Q. 緊急連絡先の生年月日がわからない場合はどうすればよいですか?
A. 申込前に本人へ確認してください。緊急連絡先の生年月日は、多くの管理会社で年齢制限の確認に使われる必須項目です。あいまいな記憶のまま記入すると、後の本人確認電話で食い違いが生じ、申込が止まる原因になります。緊急連絡先を誰に頼むか決めた時点で、名前・電話番号・続柄とあわせて生年月日も確認しておくと安心です。

まとめ:賃貸の緊急連絡先で押さえておくべきポイント

  • 緊急連絡先は「管理会社が本人と連絡が取れないとき・火災や事件など緊急事態の連絡窓口」であり、金銭的な責任は一切ない
  • 連帯保証人と混同されやすいが、緊急連絡先には契約上の義務がない点は申込時に伝えておくと相手も安心できる
  • 連帯保証人が不要な物件は多いが、緊急連絡先はほぼすべての物件で設定が必要
  • 条件は「日本国内に居住する別居の3親等以内の親族」が多い。同居予定者は不可
  • 年齢制限(70歳以下・75歳以下など)が設けられているケースも多く、生年月日の申告が必要
  • 緊急連絡先の生年月日を申込者本人が把握していないケースは多い。頼む段階で確認しておく
  • 管理会社・保証会社から本人確認の電話が入ることがある。事前に必ず伝えておく
  • 署名・押印・書類提出は不要。申込書への氏名・連絡先の記入だけで済む
  • 勤務先欄は空欄でも問題なし。収入の有無は緊急連絡先の要件と無関係
  • 連帯保証人がいる場合、その人を緊急連絡先に兼ねて設定できることが多い
  • 法人契約でも入居予定者の親族が求められるケースが多い(担当者では休業日に連絡が取れないため)
  • 緊急連絡代行サービスは認められないケースがほとんど。利用前に必ず管理会社へ確認を
  • 緊急連絡先をきちんと設定できるかどうかが、審査の判断材料になる面がある

栗田伸裕のプロフィール写真
執筆者
栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。