「連帯保証人を用意してほしい」と言われたけど、そもそも連帯保証人って何?保証会社があるのに、なぜ必要なの?——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
連帯保証人は、借主が家賃を払えなくなったときなどに代わりに責任を負う立場です。法律上の義務が非常に重く、頼む側も引き受ける側も、内容をきちんと理解しておく必要があります。
この記事では、賃貸仲介の実務経験をもとに、連帯保証人の法的な意味・必要な書類・断られたときの対処法まで、実際に役立つ情報をわかりやすく解説します。

最終更新日:2026年05月15日
連帯保証人とは?普通の保証人との違いと法的な重さ
連帯保証人とは、借主(賃借人)が家賃の支払いや原状回復費用などの債務を履行できない場合に、借主と連帯して同じ責任を負う人のことです。民法上の「保証人」よりはるかに重い義務を負います。
普通の保証人との2つの大きな違い
一般的な「保証人」には、貸主(債権者)から請求を受けたとき、「まず借主本人に請求してください」と言える催告の抗弁権(民法452条)と、「借主の財産から先に回収してください」と言える検索の抗弁権(民法453条)が認められています。
しかし連帯保証人にはこれらの権利がありません(民法454条)。つまり貸主は、借主をまったく飛び越えて、最初から連帯保証人に対して全額を請求することができます。連帯保証人は「借主と同じ立場の債務者」と考えると理解しやすいでしょう。
- 連帯保証人は借主と「連帯」して全額の責任を負う
- 「先に借主に請求して」「借主の財産から取り立てて」という権利がない
- 家賃だけでなく、原状回復費用・違約金・損害賠償なども対象になりうる
2020年民法改正で導入された「極度額」の設定義務
2020年4月1日施行の改正民法(民法465条の2)により、個人が連帯保証人になる場合、保証する金額の上限(極度額)を書面で明示することが必須となりました。極度額の定めがない個人の連帯保証契約は無効となります。
極度額は家賃の12〜24か月分程度で設定されることが多いですが、金額は契約ごとに異なります。契約書に記載された極度額を必ず確認しましょう。
2020年4月1日以降に締結された個人の連帯保証契約では、極度額の記載が法律上の要件です。記載がない場合、その保証契約は無効になります。契約書を受け取ったら必ず「連帯保証人の極度額」欄を確認してください。
民法の条文は法務省が公開している「e-Gov法令検索「民法」」でご確認いただけます。
現在の賃貸市場における連帯保証人の必要性
ひと昔前は、賃貸を借りるには連帯保証人を立てるのが当たり前でした。しかし現在は、家賃保証会社(保証会社)の普及により、状況は大きく変わっています。
当社(株式会社マチラボ)が名古屋市内で取り扱う物件では、約9割が連帯保証人不要です。これは名古屋市内の賃貸市場全体の傾向ともほぼ一致しており、連帯保証人が必須という物件は少数派になっています。
- 保証会社の普及により、連帯保証人が不要な物件が大多数
- 当社取り扱い物件では約9割が連帯保証人不要
- 連帯保証人が必要な物件でも、条件交渉の余地がある場合も
それでも連帯保証人が求められるケースとは
管理会社や貸主(オーナー)によっては、引き続き連帯保証人の設定を入居条件としている場合があります。主に以下のようなケースです。
- オーナーが昔ながらの慣習を重視している物件
- 外国籍の方や収入が不安定な方など、審査上リスクが高いと判断されたケース
- 保証会社の審査が通りにくい方が申し込んだ場合
- 管理会社・オーナーのポリシーとして連帯保証人を必須にしている物件
保証会社利用必須なのに連帯保証人も求められる理由
「保証会社に加入するのに、さらに連帯保証人も必要なの?」と驚かれる方も少なくありません。これには大きく2つのパターンがあります。
パターン①:保証会社から連帯保証人を求められる場合
保証会社の審査において、収入や信用情報に不安要素があると判断された場合、保証会社が連帯保証人の追加を入居条件として求めることがあります。この場合の趣旨は主に家賃滞納リスクへの担保です。保証会社が立て替えた費用を連帯保証人にも求償できるようにしておくことで、貸倒れリスクを分散しています。
パターン②:管理会社・オーナーから連帯保証人を求められる場合
保証会社に加入させながら、さらに管理会社やオーナーが連帯保証人を求めるケースもあります。この場合、お金の回収が目的ではなく、以下のような理由が背景にあることが多いです。
- 緊急連絡・身元確認の役割:騒音トラブルや迷惑行為が発生したとき、本人と連絡がつかない場面は珍しくありません。連帯保証人を設定することで、本人以外に連絡・注意ができる人を確保しています
- 身元のしっかりした入居者かどうかの確認:連帯保証人を立てられるということは、信頼できる親族がいる=問題を起こしにくい人物であるという判断材料にもなります
- 入居後のトラブル対応の円滑化:万一の際に第三者として動いてもらえる人がいることで、管理上のリスクが軽減されます
保証会社に加入していても、連帯保証人の法的な責任は免除されません。保証会社が家賃を立て替えた後、連帯保証人に求償(費用請求)が来る可能性があります。引き受ける前に責任の範囲をきちんと確認しましょう。
連帯保証人になれる人の条件
「誰でも連帯保証人になれるわけではありません」——これは多くの方が見落としがちなポイントです。管理会社・オーナーごとに基準は異なりますが、一般的に以下の条件が求められます。
よく見られる条件の例
- 収入があること:定職に就いている、または安定した収入源がある方
- 3親等以内の親族であること:両親・兄弟姉妹・祖父母・叔父叔母など。友人・知人は原則不可
- 年齢制限:70歳以下、または75歳以下としている管理会社・オーナーが多い
- 日本国内に居住していること:海外居住者は連絡が取りにくいとして不可とされることがある
年齢制限や親族範囲の基準は管理会社・オーナーによって異なります。「うちの親は75歳だけど大丈夫?」といった場合は、不動産会社を通じて事前に確認することをおすすめします。
同居の配偶者は連帯保証人になれる?
同居している配偶者を連帯保証人にすることは、基本的に認められない物件がほとんどです。理由は明快で、借主と同居している場合、本人が支払えなくなれば配偶者も同様に経済的に困窮している可能性が高く、保証の実効性がないと判断されるためです。
連帯保証人には、借主とは別の生計を持つ別居の親族が求められるのが一般的です。
まれに、ルームシェア物件などで「同居人を必ず連帯保証人にしなければならない」という条件が設定されている物件も存在します。こうした物件では契約書の条件をよく読み、意味を理解したうえで締結してください。
連帯保証人の審査と必要書類
連帯保証人も審査される
「保証人をお願いしたら快く引き受けてもらえた」——でも、それだけで安心はできません。連帯保証人も申込者と同様に審査されます。収入が少ない、高齢すぎる、信用情報に問題があるといった理由で連帯保証人として認められないこともあります。
連帯保証人の承諾を得た後に審査落ちとなると、保証人へ再度お願いしたり物件を探し直したりと手間が増えるため、事前に不動産会社へ相談しておくのが得策です。
必要書類の一覧
連帯保証人に用意してもらう書類は、申込時と契約時で異なります。
| タイミング | 必要書類等 |
|---|---|
| 申込時 | 身分証明書のコピー(運転免許証・マイナンバーカードなど) 収入証明書(求められる場合)※源泉徴収票・給与明細など |
| 契約時 | 印鑑登録証明書(発行から3か月以内のものが多い) 実印(契約書への押印は実印を求められることが多い) |
連帯保証人が見つからない・いない場合はどうする?
「親が高齢で収入がない」「頼める親族がいない」——そうした事情は珍しくありません。連帯保証人を立てられない場合の対処法を知っておきましょう。
①不動産会社を通じて交渉してみる
まず最初にすべきことは、不動産会社を通じて「連帯保証人なしで契約できないか」と交渉してもらうことです。管理会社やオーナーによっては、状況を説明すれば柔軟に対応してくれるケースもあります。直接交渉するより、不動産会社を介したほうがスムーズに話が進みやすいです。
②別の物件を探す
交渉が難しい場合は、その物件をあきらめることも現実的な選択肢です。連帯保証人なしで入居できる物件は、名古屋市内でも数多くあります。条件が合わない物件に無理に入居しようとするより、最初から連帯保証人不要の物件を中心に探すほうが、時間のロスが少なく済みます。不動産会社に「連帯保証人なしで入れる物件を探している」と最初に伝えておくのが一番スムーズです。
連帯保証人と緊急連絡先の違い
入居申込書を記入する際、「連帯保証人」と「緊急連絡先」の両方を書く欄がある場合があります。名前が似ていますが、この2つはまったく異なるものです。
| 連帯保証人 | 緊急連絡先 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 家賃滞納・損害賠償などの債務を代わりに負担する | 入居者に万一のことがあった場合や緊急時に連絡を取る |
| 金銭的責任 | あり(借主と同等の責任) | なし |
| 審査・書類 | 審査あり・印鑑登録証明書など必要 | 審査なし・氏名・電話番号の記入のみが多い |
緊急連絡先は「何かあったときに連絡できる人」を把握しておくためのもので、債務を負う義務はありません。家賃を肩代わりする義務もなく、法的な責任を問われる立場でもありません。連帯保証人は頼める人がいない場合でも、緊急連絡先は比較的柔軟に設定できることが多いです。
「緊急連絡先なら引き受けられるが、連帯保証人は難しい」という親族もいます。それぞれの意味をきちんと説明したうえで依頼することが、後々のトラブル防止につながります。
連帯保証人への確認連絡は入るの?
「連帯保証人になったけど、本当に連絡が来るの?」と不安に思う方もいるかもしれません。実際のところ、入居審査の過程で保証会社や管理会社から連帯保証人に直接確認の電話が入ることがあります。
主に以下のような場面で連絡が来ます。
- 入居審査中:保証会社や管理会社が連帯保証人本人の意思確認・在籍確認のために電話することがある
- 家賃滞納が発生したとき:入居者本人と連絡が取れない場合に、管理会社・保証会社から督促の連絡が来ることがある
- 緊急時・トラブル発生時:騒音トラブルや設備事故など、本人に連絡がつかない状況で連帯保証人に連絡が入ることがある
通常の入居中は何も連絡が来ないことがほとんどですが、連帯保証人を引き受けた場合は、いざというときに対応できる状態にしておく必要があります。連帯保証人になることを承諾する際には、こうした連絡が来る可能性があることも伝えておきましょう。
連帯保証人を依頼する際のマナーと注意点
連帯保証人をお願いするのは、相手にとって非常に重い責任を引き受けてもらうことです。以下のマナーを守って依頼しましょう。
事前に責任の範囲を説明する
連帯保証の内容(極度額・保証期間・どんな場合に請求されるか)を、依頼前に相手に丁寧に説明しましょう。「ハンコを押すだけ」と軽く説明して後でトラブルになるケースが実務上も見受けられます。
書類のやりとりは余裕を持って
契約時に必要な印鑑登録証明書は、遠方の親族に準備してもらう場合、時間がかかることがあります。入居希望日から逆算して早めに依頼しておきましょう。
連帯保証人の署名・押印を代筆・代行することは、私文書偽造・有印私文書偽造(刑法159条)にあたる可能性があります。本人に必ず自署・押印してもらってください。
連帯保証人になる側が知っておくべきこと
家族や知人から連帯保証人を頼まれたとき、断りにくい状況でも、引き受ける前に内容を必ず確認することが大切です。
確認すべき3つのポイント
- 極度額はいくらか:自分がどこまで責任を負うのかを金額で把握する
- 保証期間はいつまでか:更新のたびに保証が続くのか、自動更新になっているかを確認する
- 保証会社も入っているか:保証会社が先に対応するのか、直接請求が来るのかを理解しておく
連帯保証人を解除・変更することはできる?
一度引き受けた連帯保証人を途中で解除するのは、貸主(債権者)の同意がない限り原則としてできません(民法446条)。引き受ける前に「解除できる条件」「変更のルール」を確認しておくと安心です。なお、借主が亡くなった場合の取り扱いや、相続との関係については民法の規定が複雑なため、不明な点は専門家への相談をおすすめします。
引き受ける前に「契約書のコピーを見せてもらう」「不動産会社に直接確認する」など、第三者を交えた確認をすることで、後々のトラブルを予防できます。
よくある質問
まとめ:賃貸の連帯保証人で押さえておくべきポイント
- 連帯保証人は「催告の抗弁権・検索の抗弁権」がなく、借主と同等の責任を負う重い立場
- 2020年民法改正により、個人の連帯保証には「極度額」の明示が法律上必須(記載なしは無効)
- 現在の名古屋市内の賃貸市場では約9割の物件が連帯保証人不要で契約可能
- 保証会社加入必須の物件でも、管理会社・オーナーが連帯保証人を求める場合がある(緊急連絡・身元確認が主な目的)
- 連帯保証人の条件は「収入がある・3親等以内の親族・70〜75歳以下」が多い。同居配偶者は原則不可
- 連帯保証人も審査される。申込時は身分証・契約時は印鑑登録証明書+実印が基本
- 連帯保証人が立てられない場合は、不動産会社を通じた交渉か、連帯保証人不要の物件を選ぶのが現実的
