
更新日:2026年5月
「フリーランスだと賃貸の審査に通りにくいのではないか」と不安に感じている方は多いと思います。
結論から言うと、フリーランスや自営業であっても賃貸契約は可能です。ただし、会社員と比べて収入の安定性を確認するための書類を求められることがあり、審査の仕組みや必要書類を理解しておくことが重要です。
この記事では、フリーランス・自営業の入居審査の仕組みと収入の判断基準、必要書類、審査に通るためのポイントについて、不動産仲介の実務の視点から解説します。
フリーランス・自営業でも賃貸契約はできる
フリーランスや自営業(個人事業主)の方でも、基本的には会社員と同様に賃貸契約をすることが可能です。フリーランスという理由だけで入居を断られるケースは現在ではそれほど多くありません。
私自身もこれまでに多くのフリーランス・自営業の方のお部屋探しをお手伝いしてきました。デザイナーやエンジニア、ライター、YouTuberとして活動されている方が賃貸契約を締結されたケースもあります。
ただし、収入の安定性を確認するための書類提出を求められることがあるため、事前に必要書類を把握しておくことが審査をスムーズに進める上で重要です。
フリーランスの審査では「収入(売上)が家賃の3倍以上あるか」が最初の判断基準になります。会社員の審査と同様に、家賃に対して収入が見合っているかどうかが中心です。
フリーランス審査の収入基準|「収入」と「所得」の違いに注意
フリーランス・自営業の審査で最も重要かつ誤解が多いのが、確定申告書の「収入」と「所得」の違いです。
会社員の場合は「年収(源泉徴収票の支払金額)」が審査基準になりますが、フリーランスの場合は「収入(売上)」が基準になることが一般的です。「所得(収入−経費)」ではなく「収入(売上)」で判断されます。
「税金対策で経費を多く計上して所得を抑えているから審査が不安」という声をよく聞きますが、審査で見られるのは「収入(売上)」です。所得が低くても収入が十分にあれば審査上は問題になりにくいケースがあります。ただし保証会社によって判断基準は異なります。
| 月の家賃 | 必要な年収(収入)の目安 | 必要な月収(収入)の目安 |
|---|---|---|
| 6万円 | 約216万円以上 | 約18万円以上 |
| 7万円 | 約252万円以上 | 約21万円以上 |
| 8万円 | 約288万円以上 | 約24万円以上 |
| 10万円 | 約360万円以上 | 約30万円以上 |
上記はあくまで目安です。フリーランスの場合は収入の安定性に不安を持たれやすいため、会社員よりも家賃水準を抑えた「月収(収入ベース)の20〜25%以内」を目安にすると審査が通りやすくなります。
また、収入に波がある場合は直近2〜3年分の平均で判断されることが多く、右肩上がりの推移であれば有利に働くことがあります。
フリーランス・自営業の審査で必要になる書類
フリーランスや自営業の場合、会社員と比べて求められる書類が多くなることがあります。物件や保証会社によって異なりますが、以下が一般的に求められる書類です。
- 運転免許証またはマイナンバーカード
- 確定申告書(直近1〜2期分。税務署の受付印またはe-Taxの受信通知があるもの)
- 納税証明書(確定申告書と合わせて求められることがある)
- 通帳コピーまたは残高証明書(収入の入金状況・預金残高の確認)
- 業務委託契約書・請負契約書(取引先との契約がある場合)
- 開業届の控え(個人事業主として届け出ている場合)
- ホームページURL・事業内容が分かる資料(事業の実態確認)
※これらすべてが必要になるわけではなく、物件・保証会社によって組み合わせが変わります。
以前は健康保険証を在籍確認に使えるケースがありましたが、マイナ保険証への移行により現在は利用できないケースが増えています。代わりに在籍証明書や業務委託契約書を求められることが多くなっています。
審査に通るための具体的なポイント
家賃を収入の20〜25%以内に抑える
フリーランスの場合、会社員よりも家賃水準を抑えることが審査通過の近道です。月収(収入ベース)の20〜25%以内を目安に物件を選ぶと、審査が通りやすくなります。希望家賃が高い場合は、保証金(敷金)を多く積む提案をすることで審査が通るケースもあります。
確定申告書は2期分を用意しておく
審査では直近1期分だけでなく、2期分を求められることがあります。2期分あれば収入の継続性・安定性を証明しやすくなります。また収入が右肩上がりであれば、その傾向をアピールすることが有効です。
預金残高で支払い能力を示す
確定申告書だけでなく、通帳コピーや残高証明書を合わせて提出することで「仮に収入が下がっても家賃を支払い続けられる」という支払い能力をアピールできます。家賃の12か月分程度の預金があれば、審査上プラスに働くことがあります。
業務委託契約書で収入の継続性を示す
法人との継続的な業務委託契約がある場合は、契約書を提出することで「安定した取引先がある」という実績を示せます。特に取引先が上場企業や大手企業の場合は審査上有利に働くことがあります。
信販系保証会社を避ける選択も
保証会社には信販系・協会系・独立系の3種類があります。信販系の保証会社はクレジットカードと同じ信用情報機関を使って審査するため、過去のカード遅延などが審査に影響します。一方、独立系保証会社は独自の基準で審査するため、フリーランスでも通りやすいケースがあります。不動産会社に相談して、どの保証会社が使える物件かを事前に確認することをおすすめします。
大手管理会社の物件は審査基準が厳しい傾向がある
財閥系・大手管理会社の物件は審査基準が厳しく設定されていることが多く、フリーランスでは通りにくいケースがあります。中小の管理会社が管理している物件の方が、柔軟に対応してもらいやすい傾向があります。
フリーランス1年目・開業直後の対処法
フリーランス1年目は確定申告書がまだなく、収入の実績を証明する書類が揃いにくいため、審査が最も難しい時期です。ただし、対策次第で審査に通る可能性は十分あります。
前職の源泉徴収票を活用する
フリーランスとして独立前の会社員時代の源泉徴収票を提出することで、前職の収入実績を示せます。特に前職と同じ業種・職種でフリーランスとして活動している場合は「継続した専門性がある」という評価につながりやすく、審査で有利に働くことがあります。
預金残高で支払い能力を示す
確定申告書がない場合、通帳コピーや残高証明書が重要な提出書類になります。家賃の12か月分以上の預金があれば、収入証明書の代わりとして一定の効果があります。
業務委託契約書を提出する
取引先との業務委託契約書があれば、継続的な収入があることの証明になります。特に法人との契約書は信頼性が高く、確定申告書の代替資料として評価されることがあります。
連帯保証人を立てる
収入証明が不十分な場合、安定収入のある親族を連帯保証人として立てることで審査が通りやすくなることがあります。ただし最近は保証会社の利用が前提の物件が多く、連帯保証人だけで契約できる物件は限られています。
自宅を事務所兼住居として使いたい場合
フリーランスの方の中には、自宅を仕事場としても使いたいと考える方も多いと思います。
パソコンでの作業や電話対応程度であれば、住居用契約のままで問題ないケースが一般的です。ただし、物件によっては事務所利用とみなされる場合があるため、事業の内容によっては不動産会社を通じて管理会社や貸主に確認することが大切です。
一方、法人登記や不特定多数の来客が頻繁にある場合、外看板を設置したい場合などは「SOHO可」または「事務所兼住居可」の物件を選ぶ必要があります。事務所契約の場合は家賃に消費税が課税され、敷金も高めに設定されるなど住居用契約とは条件が異なります。
フリーランス・自営業の賃貸審査によくある質問
現在では保証会社を利用する契約が一般的であり、フリーランスという理由だけで審査に通らないケースは多くありません。収入状況を証明する書類を提出できれば、会社員と同様に契約できるケースがほとんどです。ただし1年目など書類が揃いにくい時期は難しくなることがあります。
一般的に審査で見られるのは「収入(売上)」です。経費を多く計上して所得を抑えていても、収入(売上)が十分であれば審査上は問題になりにくいことがあります。ただし保証会社によって判断が異なるため、不動産会社に確認することをおすすめします。
できるケースはあります。確定申告書がまだない場合は、前職の源泉徴収票・業務委託契約書・預金残高で代替対応できることがあります。審査の難易度は上がりますが、書類と収入の実態を丁寧に説明することで通過できる可能性は十分あります。
確定申告書の所得が赤字(または低所得)の場合、審査は難しくなります。この場合は通帳コピーや残高証明書で預金残高を示す、連帯保証人を立てる、独立系の保証会社を使える物件を選ぶ、家賃水準をさらに下げるといった対策が有効です。
多くの物件では保証会社の利用が前提であり、連帯保証人は不要なケースが多くなっています。ただし、保証会社の審査が不安な場合や、物件によっては保証会社+連帯保証人の両方を求められることもあります。
一般的にパソコン作業や電話対応程度であれば住居用契約のままで問題ないケースが多いです。ただし物件によっては制限されることもあるため、不動産会社を通じて確認しておくと安心です。法人登記や外看板の設置が必要な場合は、SOHO可・事務所兼住居可の物件を選ぶ必要があります。
まとめ
フリーランスや自営業(個人事業主)の方でも、賃貸契約は十分可能です。現在の賃貸市場では保証会社を利用する契約が一般的であり、フリーランスという理由だけで審査に通らないことはほとんどありません。
- 審査で見られるのは「収入(売上)」であり「所得」ではないケースが多い
- 家賃の目安は月収(収入ベース)の20〜25%以内が現実的
- 確定申告書は2期分を用意しておくと審査がスムーズ
- 1年目は前職の源泉徴収票・業務委託契約書・預金残高が有効な代替書類になる
- 信販系より独立系保証会社の方が通りやすいケースがある
- 大手管理会社の物件は審査基準が厳しい傾向がある
フリーランスや自営業の方が賃貸物件を探す場合は、事前に必要書類を準備し、不動産会社に相談しながら進めることで、審査をスムーズに通過できる可能性が高まります。

