賃貸物件のフリーレントとは?
意味やメリット・デメリット、交渉できるかについて詳しく解説

お部屋探しをしているとき、物件情報の片隅に「フリーレント○ヶ月」や「家賃無料期間あり」と書かれているのを見かけたことはありませんか?
一見すると“ちょっと得するキャンペーン”のように感じますが、「フリーレントって何だろう?」と感じる方も多いはずです。
カンタンに言うとフリーレントとは、入居から一定期間、賃料の支払いが免除される仕組みのこと。
引っ越し費用や家具の購入で出費がかさむ時期に、賃料が一時的に0円になることで「新生活の余裕」が生まれます。
ただし、無料の裏側には解約条件や対象費用の範囲など、確認すべきポイントも。
このページでは、当社(マチラボ)が日々の実務で見ている事例をもとに、フリーレントの仕組み・対象範囲・注意点をわかりやすく解説します。
「フリーレントの対象は家賃だけ?共益費も?」「デメリットはあるのか」「さらにお得に入居できる方法は?」など——疑問に丁寧にお答えします。
フリーレントとは?
フリーレントとは、賃貸契約の開始から一定期間、賃料などの支払いが免除される制度のことを指します。
たとえば「フリーレント1ヶ月」であれば、入居後の最初の1ヶ月分の賃料などの費用が無料になります。
主に、貸主(大家さん)が空室を早く埋めたいときや、引っ越し時期の調整をしやすくするために設定されることが多い制度です。
フリーレントの対象となる費用
フリーレントは「一定期間、賃料などが無料になる制度」として知られていますが、どの費用が無料になるかは物件ごとに異なります。契約前に対象範囲をしっかり確認しておくことが大切です。
一般的には、次の2つのパターンに分けられます。
① 賃料(家賃)のみが対象
もっとも多いタイプで、フリーレント期間中は家賃のみが無料となり、共益費や管理費は通常どおり支払う必要があります。たとえば「フリーレント1ヶ月」と表記されていても、実際には「賃料(家賃)のみ免除」というケースが大半です。
② 賃料(家賃)+管理費・共益費も対象
比較的少ないケースですが、管理費や共益費まで含めて無料になる物件もあります。この場合は、賃料のみが免除されるよりお得な条件といえます。
ただし、いずれのタイプでも、管理サポート費・水道料・町内会費・駐車場代・駐輪場使用料などは対象外となることがほとんどです。これらは実費負担となるため、申込前に不動産会社に確認する必要があります。
フリーレント適用期間
フリーレントが適用される期間は物件や契約条件によって異なります。一般的には次の3つのパターンに分けられます。
① 契約開始月の月末までが対象
契約開始日からその月の月末までがフリーレントとなるケースです。
たとえば、11月15日に契約を開始した場合は、11月30日までが家賃無料期間となり、12月1日から家賃が発生します。
② 契約開始日から1〜2ヶ月間
もっとも一般的なタイプで、フリーレント付き物件の多くは1ヶ月間の家賃無料期間が設定されています。
なかには、より入居を促進する目的で2ヶ月間フリーレントという特典を設けている物件もあります。
たとえば「フリーレント1ヶ月」で11月15日に入居した場合、12月14日までの1ヶ月間は家賃がかからず、12月15日から家賃の支払いが始まります。
期間が長いほど初期費用を抑えられますので、2か月のフリーレントはかなりお得といえます。
③ 特定の期日までの適用
募集時に「〇月〇日までフリーレント」とあらかじめ終了日が決められているタイプもあります。
たとえば「11月30日までフリーレント」と記載されている場合、契約開始日がいつであっても、家賃が無料になるのは11月30日までです。
このタイプは、新築物件や学生向け物件のキャンペーンでよく見られます。
特に学生向け物件では、「3月31日までフリーレント」と設定されているケースが多く、春の入学・新生活シーズンに合わせた契約を後押しする目的があります。
そのため、早めに契約をすると、無料で住める期間が長くなるというメリットがあります。
フリーレントが適用される物件でも、その期間の長さによって「お得度」が大きく変わります。
同じ「フリーレント付き物件」であっても、1ヶ月間だけ家賃が無料になる場合と、2ヶ月間無料になる場合とでは、実際に節約できる金額が違います。
そのため、物件を比較・検討するときは、フリーレントの有無だけでなく、適用される期間の長さをしっかり確認しておくことが大切です。
注意点・デメリット
フリーレントは入居者にとって初期費用を抑えられる魅力的な制度ですが、無条件で適用されるケースは少なく、契約上の条件が設けられていることが多い点に注意が必要です。
・短期解約違約金への上乗せ
名古屋の賃貸物件では、もともと多くの物件で「1年未満または2年未満で退去した場合は、家賃1ヶ月分を違約金として支払う」といった規定が設けられています。
これに加え、フリーレントを適用した物件では、解約時に“フリーレントで免除された家賃分”が違約金に上乗せされる場合があります。
例えば「フリーレント1ヶ月付き」の物件で、入居から1年未満で退去した場合には、
「通常の短期解約違約金(例:家賃1ヶ月分)」+「フリーレント分(1ヶ月分)」の計2ヶ月分を請求されるケースもあります。
ただし、この上乗せはフリーレントで免除された範囲内に限られることが多く、適用したことによってそれ以上の損をする可能性は低いです。
契約前に違約金の内容をしっかり確認しておけば、安心してフリーレントを活用できます。
・早期の契約開始
フリーレントを適用するための条件として、契約の開始時期を早めに設定することを求められるケースがあります。
具体的には、申込から早い物件では2週間以内、多くの物件では1か月以内に契約を開始することが条件となっていることが一般的です。
これは、貸主側の「フリーレントを付ける代わりに、できるだけ早く契約開始してほしい」という意図によるものです。
つまり、空室期間を短縮するために、家賃を一部免除する代わりに契約を早めてもらう、という双方にメリットのある仕組みです。
なお、契約開始日=実際の入居日ではありません。
契約開始日はあくまで契約上の開始日であり、実際の入居は契約開始日以降の都合の良い日から可能です。
そのため、フリーレント物件を検討する際は、契約開始日や賃料発生日の条件を事前に確認することが大切です。
引越し予定日との兼ね合いを考慮し、無理のないスケジュールで契約できるかどうかを管理会社や仲介業者に相談しておくと安心です。
フリーレントが適用されやすい物件とは
フリーレントは、貸主(大家さん)側が空室を早く埋めるための工夫として設定する制度です。
特に名古屋では近年、単身向け物件が供給が過剰なっており、競合する他の物件より良い条件を提示するために利用されています。
そのため、すべての賃貸物件で適用されるわけではなく、貸主側の判断によって決められます。
物件ごとの状況や貸主側の判断によって、フリーレントを付けるかどうかが決まる仕組みになっています。
一般的に、次のような物件ではフリーレントが適用されやすい傾向があります。
①空室が多い物件
同じ建物内で空室が複数ある場合、早く入居者を確保するためにフリーレントを付けて募集条件を魅力的にするケースがあります。
「他の物件よりも少しお得に感じてもらい、入居を促す」目的で設定されることが多いです。
②空室期間が長い物件
前の入居者が退去してから2〜3か月以上空いている物件も、フリーレントが付くことがあります。
長く空室のままにしておくと建物の印象も悪くなってしまうため、早期に入居してもらうための特典として設定されることが多いです。
③新築物件

新築の賃貸マンションでも、フリーレントが設定されるケースがあります。
名古屋では近年、新築物件の建設が相次いでおり、新築同士の競争が激しいのが実情です。
そのため、建物が完成してもすぐに満室になることは少なく、少しでも早く入居者を確保したいという貸主側の考えから、フリーレントを付けて募集することがあります。
貸主にとっては、空室期間が長引くほど収益が発生しないため、短期間でも早く入居者が決まることを優先するケースが多いです。
入居者にとっては、新築物件にお得に住めるチャンスとなります。
フリーレントは、貸主が本来得られる賃料収入の一部をあえて減らしてでも、早期に入居者を確保するための施策です。
空室をできるだけ短期間で埋め、建物全体の稼働率を維持する目的で実施されることが多く、いわば「貸主からの期間限定の優遇措置」といえます。
そのため、目標としていた入居数が確保できた時点で、フリーレントキャンペーンが終了する場合も少なくありません。
同じ建物でも、タイミングによってはフリーレントが付いていた部屋が翌週には対象外になってしまうこともあります。
したがって、フリーレントが適用されている物件を見つけた際は、早めに申込みや条件の確認を行うことがおすすめです。
募集条件やキャンペーン内容は時期によって変わることがあるため、気になる物件があれば、早い段階で不動産会社に相談しておくと安心です。
フリーレントの交渉はできる?
「フリーレントキャンペーンが実施されていない物件でも、交渉すればフリーレントを付けてもらえることはありますか?」というご質問をいただくことがあります。
当社のこれまでの経験から申し上げますと、フリーレントの可否は貸主側の判断によるため、一概に「可能」「不可能」とは断定はできません。
ただし、先ほどご紹介したような「フリーレントが適用されやすい物件」(例:空室が多い、空室期間が長い、新築で入居促進中など)の場合は、交渉が通る可能性が比較的高い傾向にあります。
一方で、フリーレントを付けてもらう代わりに、いくつかの条件が加わるケースもあります。
たとえば、契約開始日を早めに設定することや、短期解約時の違約金にフリーレント分が上乗せされるといった条件です。
また、人気の高い物件や他の類似物件と比較して賃料が安いなど借主にとって良い条件で募集される物件については、そもそも入居希望者が多いため、フリーレントを付けなくてもすぐに入居が決まるケースがほとんどです。
そのため、こうした物件ではフリーレント交渉を行っても、貸主側から断られてしまう可能性が高いといえるでしょう。
初期費用をさらに安くするには
フリーレントは、入居時の家賃が一定期間無料になることで、初期費用を大きく抑えられる魅力的な制度です。
しかし、初期費用を下げる方法はそれだけではありません。実は、「仲介手数料無料」の不動産会社を利用することでも、費用を大幅に節約することができます。
通常、賃貸契約時には「家賃1ヶ月分+消費税」が仲介手数料として必要です。
たとえば家賃が7万円の場合、仲介手数料だけで77,000円前後の費用が発生します。
しかし、仲介手数料無料の会社を利用すれば、その費用がまるごと不要になります。
マチラボでは、名古屋市内の賃貸物件を中心に、仲介手数料無料でご紹介可能です。
(一部、貸主の条件により仲介手数料を頂く場合もございますが、その際も必ず事前にご案内いたしますのでご安心ください。)
さらに、フリーレント物件と組み合わせることで、初期費用の負担をより一層軽減できます。
たとえば「フリーレント1ヶ月+仲介手数料無料」の物件を選べば、家賃1か月分+仲介手数料の合計10万円以上を節約できるケースも珍しくありません。
新生活をよりお得にスタートしたい方は、ぜひマチラボまでお気軽にご相談ください。
お客様のご希望条件に合わせて、費用を抑えながらも理想に近いお部屋をご提案いたします。

執筆者
株式会社マチラボ 代表取締役
1級FP技能士・宅地建物取引士・マンション管理士・賃貸経営管理士
名古屋市出身。地元の街やエリア特性を熟知しているからこそ、「名古屋での暮らしに本当に合ったお部屋」をご提案できます。
1級ファイナンシャルプランナーとしての知識を活かし、初期費用やランニングコストまで含めた“無理のないお部屋探し”をサポート。
専門知識と経験に基づいた正確で誠実な情報提供を心がけています。