「審査に強い不動産会社に頼めば、審査が通りやすくなる」——そう思って会社を探している方はいませんか?結論からお伝えすると、仲介する不動産会社によって審査結果は変わりません。審査をしているのは不動産会社ではなく、保証会社・管理会社・貸主だからです。この記事では、賃貸審査の仕組みや「審査に強い」とうたう不動産会社が抱えるリスク、そして審査に通るために本当に重要なことを、賃貸仲介の現場経験をもとに解説します。

そもそも、賃貸審査をするのは誰か
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賃貸物件を申し込むと「入居審査」が始まりますが、この審査を実際に行うのは保証会社・管理会社・貸主(オーナー)の3者です。仲介する不動産会社は、書類を取り次いで各審査機関に申込情報を提出するだけであり、審査そのものには関与しません。
賃貸審査の主な担い手は次の3者です。
- 保証会社:家賃滞納リスクを評価する。信販系・LICC系・独立系など種類によって審査基準が異なる
- 管理会社:物件オーナーの代わりに入居者を審査する
- 貸主(オーナー):最終的に入居を許可するかどうかを決定する
つまり、仲介する不動産会社がどこであっても、同じ物件を申し込む限り、審査をするのは同じ保証会社・管理会社・貸主です。不動産会社を変えたからといって、審査の結果が変わることは基本的にありません。
「不動産会社を変えれば審査が通る」は本当か
一度審査に落ちた後、「別の不動産会社から申し込めば通るのでは?」と考える方がいます。しかし同じ物件に対して別の仲介会社から再申込をしても、審査をするのは同じ保証会社・管理会社・貸主であるため、結果は同じになるのが原則です。
特に信販系の保証会社(クレジットカード会社系)の場合、申込者の信用情報を照会します。過去に滞納があったり、信用情報に傷がある場合は、どの不動産会社から申し込んでも同様に落ちる可能性が高くなります。
「別の不動産会社から申し込んだら通った」という話も一部あります。これは物件自体を変えた場合(異なる管理会社・保証会社の物件)に起きることであり、仲介会社を変えたこと自体が理由ではありません。不動産会社を変えることよりも、自分の状況に合った物件を選ぶことが重要です。
「審査に強い」と広告する不動産会社には要注意
ネットで検索すると、「審査に強い」「ブラックでも通る」「夜職歓迎」などをうたう不動産会社の広告を見かけることがあります。しかし、こうした表現には十分な注意が必要です。
正規の仲介会社は審査権限を持たないため、「審査に強い」という表現自体が実態を正確に表していません。こうした会社の中には、審査を通過させるために虚偽の申告を誘導したり、後述するアリバイ会社の利用を勧めてくるケースもあります。
「審査に強い」と自称する不動産会社が実際にできることは、審査が比較的柔軟な保証会社を使う物件や、職業制限のないオーナーの物件を案内することだけです。それ自体は合法で価値のあるサービスですが、「虚偽の申告をすれば大丈夫」「アリバイ会社を使えば通る」などと勧めてくる業者は、違法行為に加担させようとしている可能性があります。
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アリバイ会社とは何か——その実態と法的リスク
「アリバイ会社(在籍会社)」とは、実際には勤務していない会社の在籍証明書・給与明細・源泉徴収票などを発行し、入居審査での勤務先を偽装するサービスを提供する事業者です。主に収入証明が困難な無職の方や、水商売・夜職に従事する方が利用するとされています。
アリバイ会社は「自社名義の書類を発行するだけであり違法性はない」と主張することがありますが、実態はグレーゾーンどころか、利用方法によっては明確な犯罪行為に当たります。
アリバイ会社に関わる主な法的リスク
- 詐欺罪(刑法246条):虚偽の情報で審査をくぐり抜け、賃貸契約を締結する行為は詐欺罪にあたる可能性があります。被害者は管理会社・貸主となります
- 私文書偽造罪・同行使罪(刑法159条・161条):アリバイ会社が提携外の第三者企業名義の書類を偽造した場合に該当します
- 公文書偽造罪(刑法155条):健康保険証・マイナンバーカード・運転免許証などの公的書類を偽造した場合、重大な刑事罰の対象となります
重要なのは、逮捕されるのはアリバイ会社だけではないという点です。依頼者(入居者)も、そして仲介した不動産会社も逮捕・起訴の対象となります。
実際の逮捕事例(2025年1月)
2025年1月、都内でアリバイ会社の運営者3人と不動産仲介業者が詐欺の疑いで逮捕されました。偽造した保険証を使って違法風俗店用の部屋を借りようとした事件で、不動産仲介業者・アリバイ会社・利用者がいずれも逮捕・起訴の対象となっています。逮捕されるのはアリバイ会社だけではない、ということを示す事例です。
こうした摘発事例が相次いでいることもあり、近年は管理会社・保証会社によるアリバイ会社対策も強化されています。在籍確認電話の手法を変えたり、書類の細部を精査したりと、不正を見抜く審査体制が整ってきているのが現状です。「バレなければいい」という考えは、ますます通用しなくなっています。
アリバイ会社を利用した場合のリスクをまとめると次のとおりです。
- 発覚時は即契約解除・強制退去
- 刑事事件(詐欺罪等)として立件される可能性
- 信用情報に傷がつき、今後の賃貸・ローン・クレジットカード審査に長期間影響
- 同じ管理会社・保証会社の物件に将来一切申し込めなくなる
「夜職に強い」「ブラックに強い」という不動産会社も要注意
「夜職の方歓迎」「信用情報ブラックでも対応可」などと強調している不動産会社もあります。こうした会社の中には、正当な方法で審査通過が難しい属性の方に対して、虚偽申告やアリバイ会社の利用を積極的に勧めてくるケースがあります。
水商売・夜職の方が賃貸を借りること自体は違法ではなく、正直に職業を伝えたうえで審査が通りやすい物件を探すことは完全に合法です。しかし、審査を通過するためであっても、虚偽の情報を使うことは犯罪です。
「夜職に強い」という表現の本来の意味は、「水商売の方でも申し込める物件(夜職可の管理会社・オーナーの物件)を多く扱っている」ということであるべきです。それを超えて違法行為を勧める業者とは関わらないようにしましょう。
では、本当に頼りになる不動産会社とは何か
「不動産会社によって審査結果は変わらない」と述べてきましたが、不動産会社が役立てる部分はあります。それは審査の強さではなく、提案力と情報量です。
審査の可否を左右するのはあくまで物件ごとの保証会社・管理会社・貸主の判断ですが、「その方の状況に合った物件を見つけて提案できるか」という点は、不動産会社によって大きく差が出ます。
信頼できる不動産会社が実際にできること:
- 収入証明が難しい方向けに、預貯金審査や自己申告が通る管理会社の物件を案内する
- 審査基準が比較的緩やかな管理会社・貸主の物件を把握している
- 職業制限がないオーナーや、水商売可・職業不問の物件を把握している
- 家賃・収入のバランスを踏まえて審査に通る可能性の高い物件に絞って提案する
- 申込書類の整え方や伝え方についてアドバイスをくれる
これらはすべて正当な方法です。大切なのは、「審査に強い」と謳う業者ではなく、あなたの現状をきちんと把握し、誠実な提案ができる不動産会社を選ぶことです。
審査に通りやすくするために自分でできること
不動産会社に頼る前に、申込者自身が準備できることもあります。審査は「家賃の支払い能力があるか」「問題なく生活できる入居者か」を判断するものです。以下のポイントを整えることで、審査の通過率は高まります。
- 家賃の目安を守る:月収の3分の1以内が目安。収入が不安定な場合は、低めの家賃帯を選ぶ
- 収入証明書を複数用意する:源泉徴収票・給与明細・確定申告書・通帳のコピーなど。手渡し収入の場合は、店からの給与支払証明書が有効
- 連帯保証人を立てることを検討する:物件によっては連帯保証人を立てることで審査通過率が上がる場合がある。ただし保証会社利用が必須で連帯保証人を認めない物件もあるため、事前に確認が必要
- 正直に職業を申告する:虚偽は発覚時のリスクが大きい。夜職でも申告したうえで対応できる物件を探すのが最善
まとめ
- 賃貸審査をするのは保証会社・管理会社・貸主であり、仲介する不動産会社は審査に関与しない
- 同じ物件に対して不動産会社を変えて再申込しても、審査結果は変わらない
- 「審査に強い」と謳う不動産会社には、虚偽申告やアリバイ会社の利用を誘導するリスクが伴う場合がある
- アリバイ会社の利用は詐欺罪等の刑事罰の対象となる可能性があり、2025年に実際の逮捕事例もある
- 「夜職に強い」「ブラックに強い」と強調する業者にも同様のリスクが潜むことがある
- 本当に頼りになる不動産会社とは、現状を把握したうえで審査通過の可能性が高い物件を正当な方法で提案できる会社のこと
- 審査通過のためには、家賃水準の見直しや収入証明書の準備など、申込者自身の準備が最も重要
よくある質問
賃貸の入居審査に落ちた理由とは?通らない原因と対処法を不動産仲介の実務視点で解説
