結論からお伝えすると、おとり物件が「まったくない」情報サイトは存在しません。どのサイトにも、募集が終わったのに掲載され続けている物件は残っています。
そのうえで、情報サイトの中で相対的におとり物件が少ないのは、募集終了物件の自動検知や反響課金の仕組みを持つホームズ(LIFULL HOME’S)です。ただし、もっとも確実なのは、信頼できる不動産会社を見つけて直接相談する方法です。この記事では、その理由と各サイトの仕組みの違いを、私の仲介現場での経験を交えて整理します。

最終更新日:2026年6月5日
この記事における「おとり物件」の定義と法律上の位置づけ
この記事では、おとり物件を次のように定義します。
すでに募集が終了しているにもかかわらず、意図的に、あるいは削除漏れによって掲載され続けている物件。とくに、募集終了から1週間以上が経過しても掲載が削除されていない物件を指します。
一般の方が物件を探すとき、サイトに載っている物件は「今も契約できるもの」だと考えるのが自然です。しかし実際には、契約済み・募集終了の物件がそのまま残っているケースが少なくありません。これは単なる「気になる物件が埋まっていた」という話では済まされません。
売る意思・貸す意思のない物件や、すでに取引できない物件を広告に掲載する行為は「おとり広告」と呼ばれ、宅地建物取引業法第32条、景品表示法、不動産の表示に関する公正競争規約で明確に禁止されています。違反すれば指示・業務停止・免許取消といった行政処分の対象となります。詳しくは消費者庁「不動産のおとり広告に関する表示」でも解説されています。
それでも、業界団体である不動産公正取引協議会の一斉調査では、おとり広告の可能性が高い物件が毎年多数確認されています。つまり、おとり物件は一部の悪質業者だけの問題ではなく、業界全体で残り続けている構造的な問題だということです。
おとり物件が「完全にない」情報サイトは存在しない
まず大前提として、おとり物件がゼロの情報サイトは存在しません。これは断言できます。
多くの情報サイトは「おとり物件を減らす取り組みをしている」とうたっています。しかし私の経験上、各社が掲げる対策が十分に機能しているとは感じられないのが正直なところです。実際に物件を探していると、どのサイトでも募集終了済みと思われる物件は今も数多く掲載されています。
後ほど触れますが、おとり物件が生まれる背景には、情報サイトの「課金の仕組み」が深く関わっています。仕組みそのものがおとり物件を生みやすい構造になっているため、サイト側のシステムだけで完全に防ぐことは難しいのが実情です。
情報サイトで比較的おとり物件が少ないのはホームズ
「それでも、少しでもおとり物件が少ないサイトを選びたい」という方に、情報サイトの中で私が比較的少ないと感じるのはホームズ(LIFULL HOME’S)です。理由は2つあります。
募集終了物件を自動で検知する仕組みがある
ホームズには、募集が終了した可能性のある物件を自動で検知する仕組みがあります。一部の管理会社と連携している物件は自動的に削除されますが、それ以外は掲載している不動産会社側の手動削除となるため、完全ではありません。それでも、検知や一部の自動削除の仕組みがあるだけでも、何もないサイトよりは状況が良いと感じます。
「反響課金」という料金体系が抑止力になっている
ホームズは、問い合わせ1件ごとに不動産会社が料金を支払う「反響課金」と呼ばれる仕組みで掲載している不動産会社がほとんどなのが特徴です。この場合、募集終了の物件に問い合わせが入ると、不動産会社にとっては料金が無駄になる可能性があります。そのため、不要になった物件を放置しておくメリットが小さく、結果としておとり物件が生まれにくい方向に働きます。
私の経験上、情報サイトでおとり物件に遭遇しやすい度合いは、おおむね次の順という印象です。
ホームズ(少なめ) < アットホーム < SUUMO(多めに感じる)
あくまで現場での体感であり、時期や担当する会社によって差はあります。それでも、傾向としてこの順序になりやすいと感じています。
SUUMO・アットホームにおとり物件が生まれやすい構造的な理由
では、なぜSUUMOやアットホームの方がおとり物件を多く感じるのか。これも料金体系で説明がつきます。
SUUMOやアットホームは、掲載する枠数に対していくら、という「掲載課金」が中心です。この仕組みの場合、たとえ募集終了物件への問い合わせであっても、反響がゼロよりは良いと考える不動産会社が出てきます。「とにかく反響が欲しい」という事情が、おとり物件を放置する下地になっているのです。
とくにSUUMOは、賃貸住宅を探す人の利用率が高く、反響も多く集まります。そのぶん、おとり物件を掲載する側からも「集客のターゲット」にされやすい、というのが私の見方です。
掲載課金が「悪い仕組み」というわけではありません。あくまで、おとり物件が生まれやすい土壌になりやすい、という構造の話です。掲載課金のサイトでも、適切に物件を管理している会社はたくさんあります。問題は、その会社を一般の方が見分けにくい点にあります。
なお、アットホームは近年、一部の管理会社とシステムを連携させ、募集状況を物件情報に反映させる取り組みを進めています。前向きな動きだと感じますが、これも完全ではなく、削除漏れはまだ多く残っているのが現状です。
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「おとり物件が少ない」とうたうサイトの実態
「おとり物件が少ない」「AIで削除している」といった点を売りにするサイトもあります。ただ、私の経験上、実態が伴っていないと感じるものが少なくありません。タイプ別に見ていきます。
大手3サイトからの転載が中心のサイト
「おとり物件が少ない」とうたっていても、掲載されている物件の多くがSUUMO・ホームズ・アットホームからの転載というサイトがあります。転載元の情報をそのまま載せている以上、転載元よりおとり物件が少なくなる理屈はありません。
貸主と直接やり取りできるとうたうサイト
貸主と直接やり取りできることを売りにするサイトもあります。しかし、そもそも掲載されている物件数が少なすぎて選択肢にならないことが多く、さらに掲載が終わった物件の削除忘れが非常に多い印象です。
チャットで相談できるサイト
チャットで相談できることを前面に出すサイトもありますが、そもそも募集情報を公開していないことが多く、自分で物件を検索できないケースが目立ちます。これでは、おとり物件かどうか以前の問題です。
AIでおとり物件を削除するとうたうサイト
「AIがおとり物件を自動で削除する」とうたうサイトもあります。しかし実際には、削除されていないことがほとんど、というのが私の正直な印象です。仕組みをよく見ると、募集終了の可能性が高い物件を検知しても、その物件を掲載している不動産会社に通知が行くだけで、会社が削除しなければそのまま残り続ける設計のものが多いのです。検知と削除は別物だ、という点に注意が必要です。
大手仲介会社が運営するサイトでも安心とは限らない
「大手仲介会社が運営しているサイトなら信頼できるはず」と考える方は多いと思います。しかし、運営会社の規模と、おとり物件の少なさは必ずしも一致しません。
本来は、信頼できる不動産会社が運営するサイトであれば、おとり物件は比較的少ない傾向にあります。問題は、その「信頼できる会社」を一般の方が見極めるのが非常に難しいという点です。会社の規模や知名度だけでは判断できないため、結局どのサイトを使っても、ある程度のおとり物件は避けられないのが現実です。
おとり物件を避ける最も確実な方法
ここまでお読みいただくと、「結局どうすればいいのか」と感じる方が多いはずです。私の答えはシンプルで、信頼できる不動産会社を見つけて、直接相談するのが一番確実です。
気になる物件が見つかったら、サイト上の表示だけで判断せず、その物件を扱っている会社に「今もこの物件は募集していますか」と直接確認する。これだけで、おとり物件に振り回される時間は大きく減らせます。当社でも、「この物件はまだ募集していますか」というご相談は日常的にお受けしており、最新の募集状況をその場でお調べしています。
お部屋探しで後悔しないための不動産会社の選び方|失敗例と見極めポイントを解説
情報サイトはあくまで「物件を探すきっかけ」と割り切り、最終的な確認は人に任せる。これが、限られた時間で効率よくお部屋を探すための、現実的なおすすめの進め方です。
まとめ
- おとり物件が「まったくない」情報サイトは存在しない
- 情報サイトの中では、募集終了の自動検知や反響課金の仕組みを持つホームズが比較的少ない
- 掲載課金が中心のSUUMO・アットホームは、おとり物件が生まれやすい構造になっている
- 「おとり物件が少ない」「AIで削除」などをうたうサイトも、私の経験上は実態が伴わないことが多い
- もっとも確実なのは、信頼できる不動産会社を見つけて直接相談すること
