賃貸契約に住民票が必要かどうかは、物件によって異なります。私の経験上、約7割の物件で提出を求められます。必要な場合の指定はほぼ共通していて、「発行から3か月以内・原本・マイナンバーと本籍地の記載なし」が基本です。
この記事では、住民票がいつ・どんな形で必要になるのか、誰の分が必要なのか、取り方の注意点まで、仲介現場の実務に即して解説します。「何を準備すればいいか」がひと通りわかる内容です。

最終更新日:2026年05月29日
賃貸契約に住民票は必要か
結論から言うと、賃貸契約に住民票が必ず必要というわけではありません。ただし、私がこれまで携わってきた1,000件超の賃貸仲介の経験上、約7割の物件で提出を求められます。残り3割は、管理会社の方針や物件の種類によって不要となるケースです。
「必要かどうかわからない」という状態で契約当日を迎えると、住民票を用意していなくて手続きが止まるリスクがあります。担当の不動産会社から案内がなかった場合も、事前に確認しておくことを強くおすすめします。
- 約7割の物件で住民票の提出を求められる
- 提出を求められる場合の指定内容はほぼ共通(後述)
- 案内がなくても、契約前に自分から確認しておくのが安全
なぜ住民票が必要なのか
貸主や管理会社が住民票を求める主な理由は入居者の現住所の確認です。申込書に書いた住所が実際の住所と一致しているか、運転免許証やマイナンバーカードの記載と一致しているかを公的書類で確認します。
また、身分証明書の偽造を見抜く補完手段としての意味もあります。近年、運転免許証やマイナンバーカードの画像偽造を管理会社・貸主が危惧するケースが増えています。住民票は役所が発行する公的書類であるため、身分証だけでは判断しきれない本人確認の信頼性を高める役割を担っています。
さらに、誰が入居するのかを把握するためでもあります。家族構成や入居人数が住民票から確認でき、申告と異なる場合の契約違反を防ぐ役割もあります。
提出する住民票は、申込時点で住んでいる住所の住民票を用意します。現在の居住地の住民票が求められるため、引越し前の段階では今住んでいる場所の住民票を提出します。
住民票はいつ提出するのか|審査時と契約時の違い
住民票の提出タイミングについては、誤解が多い点の一つです。
ほとんどのケースは、審査通過後・契約締結時の提出です。入居審査の段階では原則として住民票は不要で、審査が通ってから契約書類一式とあわせて提出するのが通常の流れです。
住民票の提出タイミング:審査通過後〜契約締結時が基本。審査の段階では不要なケースがほとんど。
審査時に住民票が求められる例外ケース
次のような場合は、審査の段階で住民票の提出を求められることがあります。
| 状況 | 住民票が必要になる理由 | タイミング |
|---|---|---|
| 身分証の住所と現住所が異なる | 住所の正確な確認が必要なため | 審査時も |
| 身分証がパスポート・健康保険証など | 住所記載がない・不明確なため住民票で補完 | 審査時も |
| 運転免許証・マイナンバーカードを持っている | 住所確認が身分証で完結するため住民票は契約時 | 契約時のみ |
運転免許証やマイナンバーカードを持っていれば、審査時は身分証だけで対応できるケースがほとんどです。一方、パスポートや健康保険証のみしか持っていない場合は、審査の段階から住民票を求められることがあるので注意してください。
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提出する住民票の指定内容|ほぼ共通の4つのルール
住民票の提出を求められる場合、指定内容はほぼ共通しています。事前に把握しておけば取り直しのリスクをゼロにできます。
- 発行から3か月以内のもの
- 原本(コピー不可)
- マイナンバーの記載がないもの
- 本籍地の記載がないもの
① 発行から3か月以内
住民票には発行日が記載されており、契約開始日を基準に3か月以内に発行されたものが求められます。以前に取得した住民票が手元にあっても、3か月を超えていれば再取得が必要です。引越しの準備が早い方は、取りすぎて期限切れにならないよう注意してください。
② 原本であること(コピーは不可)
「住民票の写し」という名称から「コピーでいい」と誤解されることがありますが、これは役所が発行した公的な書類そのものを指します。自分でコピー機でとったコピーは不可です。役所の窓口やコンビニ(対応地域)で発行した原本を提出してください。
③ マイナンバーの記載がないもの
住民票の取得時に「マイナンバー(個人番号)を記載するか」を選択できます。賃貸契約では必ずマイナンバーなしを指定して取得してください。
マイナンバーが記載されたものを提出しようとしても、不動産会社・管理会社側でマイナンバー記載の書類を受け取ることができません。取り直しになるため、取得時から注意が必要です。
マイナンバーや本籍地が記載された住民票を持参しても、受け取ってもらえません。窓口で「マイナンバー記載なし・本籍地記載なし」と明示して取得してください。コンビニ取得の場合は発行画面で選択できます。
④ 本籍地の記載がないもの
本籍地は住民票に任意で記載できる情報です。賃貸契約では本籍地の記載は不要とされることがほとんどで、「本籍地記載なし」のものを求められます。本籍地が記載されていても直ちに受け取り拒否になるケースは少ないですが、指定を守って「記載なし」で取得するのが原則です。
誰の住民票が必要か|入居者別の対応
誰の住民票が必要かは、入居形態によって異なります。
| 入居形態 | 必要な住民票 | 種類 |
|---|---|---|
| 1人入居 | 本人のみ | 個人分のみ記載(抄本) |
| 家族全員で入居(夫婦・親子など) | 入居する家族全員分 | 全員記載(謄本)または個別抄本 |
| カップル2人入居(同棲) | 2人それぞれ | それぞれの個人分(抄本) |
| ルームシェア | 入居者全員分 | それぞれの個人分(抄本) |
カップルの同棲入居は2人分求められることが多い
カップルで2人入居する場合、契約者本人だけでなく、同居する相手の住民票も求められるケースが多いです。これは、実際に誰が住むのかを管理会社・貸主が把握するためです。
同居者が住民票を用意しにくい状況(遠方に住んでいる・取得が間に合わないなど)の場合は、早めに担当の不動産会社に相談しておくと対応策を一緒に考えてもらえます。
住民票は「入居する人全員分」が基本
家族全員で引越しする場合は、入居する全員の情報が含まれた住民票(世帯全員の謄本)を用意するか、入居者それぞれの抄本を準備します。どちらが適切かは管理会社に確認してください。なお、住民票に記載されていない人が実際に住んでいる場合は契約違反となるため、入居者全員を正確に申告することが重要です。
現在は家族と同居していても、単身で入居する場合は本人のみの情報が記載された住民票(抄本)を提出します。世帯全員が記載された謄本を持参すると、物件に入居しない家族の情報が含まれてしまうため、受け取ってもらえないケースがあります。「自分だけの情報が記載されたもの」と明示して取得してください。
住民票の取得方法|役所・コンビニ・オンライン
住民票を取得する方法は主に3つあります。それぞれの特徴を把握して、状況に合った方法を選んでください。
住民登録している役所・市民センターで取得。顔写真付きの身分証が必要。平日8:30〜17:00が基本(一部延長・休日窓口あり)。手数料は1通200〜300円程度。
マイナンバーカードを使ってコンビニのマルチコピー機で取得。24時間対応(一部除く)・手数料200円程度。対応している自治体のみ利用可能。
同世帯の家族なら身分証のみで代理取得可能。別世帯の人が代理取得する場合は、自治体所定の委任状が必要。
名古屋市在住の方への注意
名古屋市は2026年5月現在、コンビニでの住民票交付サービスに対応していません。2026年12月の導入を予定しているため、それまでは役所・区役所・市民センターの窓口での取得が必要です。
住民票に関するよくある失敗と対策
仲介の現場で実際によく見かける住民票まわりのミスをまとめます。事前に把握しておけばほぼ防げます。
失敗① マイナンバーや本籍地が記載されたものを持参してしまう
最も多い失敗です。「マイナンバー・本籍地の記載がないもの」と指定されているにもかかわらず、役所窓口でマイナンバーや本籍地の記載有無を聞かれたとき、深く考えずに「ありで」と答えてしまうパターンです。管理会社はマイナンバー記載の書類を受け取れないため、取り直しになります。必ず「マイナンバー記載なし・本籍地記載なし」を指定してください。
失敗② 発行から3か月を過ぎてしまう
部屋探しを早めに始め、物件が決まる前に住民票を取得しておいた場合、契約のタイミングで3か月を超えてしまうケースがあります。住民票は契約が決まってから取得するのが安全です。
失敗③ コピーを持参してしまう
「住民票の写し」という名称から「コピーでいい」と誤解するケースです。コピーは不可で、役所またはコンビニで発行した原本が必要です。
失敗④ 1人分しか用意していなかった(複数人入居)
カップルや家族での入居で、契約者分しか用意しなかったために、同居者の住民票の提出を求められ手続きが止まるケースです。複数人入居の場合は入居者全員分を事前に確認しておきましょう。
住民票の指定について不動産会社から説明がなかった場合も、自分から「住民票はマイナンバーなし・本籍地なし・発行3か月以内・原本でよいですか?」と確認するのが一番確実です。担当者が案内を忘れていることもあります。
住民票が不要になるケース
約3割の物件では住民票の提出が求められません。主なケースは以下の通りです。
- マンスリーマンション・ウィークリーマンション:短期契約のため住民票を省略されることが多い
- 社宅・借り上げ社宅:会社が契約主体となるため個人の住民票が不要なことがある
- 管理会社の方針で省略:一部の管理会社では、本人確認書類(運転免許証等)のみで対応する
ただし、事前の案内がなくても当日求められることがあります。「住民票不要」と明確に言われていない限り、用意しておくのが無難です。
よくある質問
まとめ:賃貸契約の住民票チェックリスト
- 賃貸契約で住民票が必要なのは約7割の物件。事前に担当の不動産会社に確認しておく
- 提出する住民票は「発行から3か月以内・原本・マイナンバー記載なし・本籍地記載なし」が基本
- マイナンバーや本籍地が記載されたものは受け取ってもらえないため、取得時から注意する
- 提出タイミングは審査通過後〜契約締結時が基本。審査の段階では不要なケースがほとんど
- パスポート・健康保険証などを身分証として使う場合は、審査時に住民票が必要になることもある
- 1人入居は本人分のみ。カップル・家族入居は入居者全員分の住民票を用意する
- 名古屋市は2026年5月現在コンビニ交付に未対応(2026年12月導入予定)。窓口での取得が必要
- コンビニ対応地域ではマイナンバーカードを使って24時間取得可能。提出の原本として有効
- 住民票は契約が決まってから取得するのが安全(早く取りすぎると3か月の有効期限が切れる)
