転職が決まったとき、「引越しはいつすればいい?」「転職したばかりでも審査は通る?」と不安を感じる方は多いはずです。
実際には、転職のタイミングや必要書類を正しく把握しておけば、賃貸の部屋探しはスムーズに進められます。この記事では、1,000件以上の賃貸仲介を経験してきた筆者が、転職時の部屋探しの進め方・審査のポイント・申込時の注意点まで、実務の視点から詳しく解説します。

最終更新日:2026年05月16日
部屋探しを始めるベストなタイミングは?
お部屋探しはいつから始めるべき?契約開始日の考え方と状況別の最適なタイミング
転職時の部屋探しで最初に迷うのが「いつから動き始めるか」です。結論から言うと、部屋探しは転職先が正式に決まってから始めるのが基本です。
賃貸の審査では「勤務先」の情報が必要であり、転職先が確定していない段階では申込自体ができないケースがほとんどです。内定通知書などの証明書が提出できる状態になってから動き出しましょう。
住み始めたい日の「1か月前」を目安に申込を
一般的な賃貸の申込から入居までのスケジュールは、審査に3〜7日、契約手続きに数日、その後引越し準備を含めると3〜4週間程度かかります。住み始めたい日の1か月前を目安に申込をするのがベストです。
物件によっては「申込から2〜3週間以内に契約開始日を設定してほしい」と求められることがあります。転職の場合、前職の源泉徴収票がなかったり、収入確認に時間がかかったりして審査に通常より日数がかかることもあるため、少し余裕をもって早めに動いておくと安心です。
内定が出る前に「物件の目星」だけつけておくのはOK
申込は内定後でなければできませんが、希望エリアや家賃帯の下調べ、物件のリスト作成は先行して進めておいて構いません。内定が出た瞬間にすぐ動けるよう、候補物件を3〜5件ピックアップしておくとスムーズです。
- 部屋探しのスタートは転職先の内定が出てから
- 住み始めたい日の1か月前を目安に申込を行う
- 内定前は候補物件のリストアップだけ先に進めておくのがおすすめ
転職先に確認しておくべきこと
引越しをともなう転職の場合、住居について会社からサポートが受けられるケースがあります。申込前に転職先の担当部署(総務・人事)に以下を確認しておきましょう。
法人契約か個人契約か
会社が「社宅」として物件を用意している場合や、賃貸契約を会社名義(法人契約)で行うケースがあります。その場合、自分で物件を探す必要がないため、最初に確認しておくことで無駄な動きを防げます。
賃貸の法人契約とは?個人契約との違い・審査・必要書類・注意点を不動産会社が解説
社宅代行会社の利用有無
法人契約の場合、社宅代行会社を通して手続きが行われることがあります。社宅代行会社が入る場合は、物件探しから申込・審査・契約手続きまで代行会社を経由して行われるため、手続きの流れが通常と異なります。転職先の指示に従って進めましょう。
住宅補助・家賃補助の内容を確認する
個人契約で自分が借りる場合でも、家賃補助や住宅手当が支給される会社もあります。その際は以下の点をあわせて確認しておきましょう。
- 補助の対象となる家賃の上限はいくらか
- 敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用も補助対象か、毎月の賃料のみか
- 通勤距離・時間によって対象外になる条件はないか(「会社から近すぎると交通費を支給しない」「2km以内のみ対象」など、会社独自のルールがある場合もあります)
住宅補助の条件を知らずに部屋を探してしまうと、後から「この物件は補助対象外だった」となるケースがあります。先に確認しておくことで、家賃帯の設定も正確に決められます。
申込・審査に必要な書類
転職時の賃貸申込では、通常の申込書類に加えて転職先の内定を証明する書類が必要になります。事前に揃えておくと手続きがスムーズです。
基本の必要書類
- 身分証明書:運転免許証またはマイナンバーカード
- 内定通知書:ほぼすべての物件で提出が求められます
- 収入が確認できる書類:労働条件通知書、雇用契約書など(給与・年収が記載されているもの)
内定通知書は必須ですが、給与等の条件が記載された書類(労働条件通知書等)は不要な物件もあります。ただし、提出できるよう準備しておくのが安心です。転職先に「いつ書類をもらえるか」を早めに確認しておきましょう。
入居後に追加で求められる書類
多くはありませんが、勤務開始後に書類の追加提出を求められるケースもあります。
- 雇用契約書のコピー
- 健康保険の資格確認書(保険証)
管理会社や保証会社から後日連絡が届くことがあるため、見落とさず速やかに対応するようにしましょう。
転職は賃貸の審査に影響する?
「転職したばかりだと審査に落ちやすいのでは?」と心配する方は多いですが、結論としては大きな影響はありません。
転職中・転職直後でも審査への影響はほぼない
賃貸の審査で重視されるのは「安定した収入が見込めるか」です。内定通知書と収入が確認できる書類を提出できれば、転職直後であっても実際に働いている状態とほぼ変わらない扱いで審査が進みます。近年は雇用形態よりも、クレジットカードの支払い履歴や過去の家賃滞納の有無といった信用情報が重視される傾向があります。
勤続年数が0年であっても、それ自体が審査落ちの理由になることはありません。申込書には勤続年数「0年(0か月)」と正直に記載すれば問題ありません。
試用期間・契約社員スタートでも審査に影響はない
転職の場合、最初の3か月〜半年が試用期間だったり、契約社員としてスタートするケースは珍しくありません。内定通知書に「試用期間あり」と記載されていても、審査上は特に問題になりません。試用期間中も雇用契約は成立しており、収入の見込みがある状態として扱われるためです。
入社前に転職先へ在籍確認の電話は入るか
かつては保証会社や管理会社が勤務先に電話で在籍確認を行うことがありましたが、近年は個人情報保護の観点から会社側が在籍情報を電話口で答えないケースが増えています。それにともない、電話での在籍確認を行わない保証会社・管理会社がほとんどになっています。
「入社前に職場へ電話がかかってきたら困る」と心配される方もいますが、現状では過度に気にする必要はありません。
申込書の書き方と注意点
転職時の賃貸申込では、書き方を間違えると審査に悪影響が出たり、後から訂正を求められたりするケースがあります。近年はオンラインでの申込が主流になってきていますが、入力項目の意味は紙の申込書と同じです。以下の点を押さえて正確に記入しましょう。
勤務先は転職先の情報を記載する
申込書の「勤務先」欄には、現職(前職)ではなく転職先の情報を記載します。実際に勤務する事業所の正式名称・住所・電話番号が必要です。本社と勤務地が異なる場合は、実際に働く事業所の情報を記載するのが基本です(不明な場合は担当者に確認を)。
勤続年数・収入の書き方
- 勤続年数:「0年0か月」と記載します。これは虚偽ではなく正しい状態の記載です
- 収入(年収):転職後の見込み年収を記載します。内定通知書や労働条件通知書に記載された給与から計算した年収を使いましょう
現職の収入をそのまま記載したり、前職の源泉徴収票をもとに年収を記載したりするのは不正確です。審査時に書類との不一致が生じることがあるため、必ず転職先の見込み収入で記載してください。
転職後の家賃はいくらに設定すべきか
転職時は収入が変わることが多いため、家賃の設定を改めて見直す良い機会でもあります。
家賃の目安は「月収の1/3以内」
一般的に、無理のない家賃の目安は手取り月収の25〜30%以内、額面月収の1/3以内が目安とされています。審査上も、家賃が月収の1/3を大きく超えると審査が厳しくなる傾向があります。
たとえば転職後の年収が400万円(月収約33万円)の場合、家賃の目安は8〜11万円程度となります。転職初年度は年収が下がる可能性もあるため、少し余裕をもった家賃設定をおすすめします。
初期費用もあわせて資金計画を立てる
転職と引越しが重なる場合は、敷金・礼金・仲介手数料・引越し費用などがまとめて発生します。家賃の5〜6か月分程度を初期費用として見込んでおくのが安全です。会社から住宅補助が出る場合は、初期費用が対象になるかどうかも事前に確認しておきましょう。
転職時に物件を選ぶときのポイント
通勤経路・通勤時間を最優先に
転職先への通勤ルートが確定していない段階では、勤務地の住所だけでなく最寄り駅・バス停・駐車場の有無なども確認した上で物件を探しましょう。転職先に「通勤手段について会社のルールはあるか」も確認しておくと、通勤費の申請がスムーズになります。
職場への距離が家賃補助の対象かチェック
前述のとおり、会社によっては「会社から○km以内は住宅手当を支給しない」といった規定がある場合があります。勤務先から離れすぎず、かつ対象外エリアに入らない距離感を意識して物件を絞り込みましょう。
初月の家賃発生タイミングに注意
入居日によっては、転職先の初給与が出る前に家賃の支払いが来ることがあります。入居のタイミングと給与支払い日を確認し、手元資金が不足しないよう資金計画を立てておきましょう。月の途中入居で日割り家賃が発生するケースも考慮が必要です。
よくある質問
まとめ:転職時の賃貸部屋探し チェックリスト
- 部屋探しのスタートは転職先の内定が出てから。内定前は候補の下調べだけ
- 住み始めたい日の1か月前を目安に申込を行う(審査・契約で3〜4週間かかる)
- 転職先に「法人契約か個人契約か」「住宅補助の内容」を事前確認する
- 社宅代行会社が入る場合は、会社の指示に従って手続きを進める
- 申込書の勤務先欄は転職先の情報、収入は転職後の見込み年収を記載する
- 必要書類は身分証・内定通知書・収入が確認できる書類(労働条件通知書等)
- 転職それ自体は審査に大きく影響しない。内定があれば基本的に問題なし
- 試用期間・契約社員スタートでも審査への影響はない
- 入社前の在籍確認電話はほとんどの保証会社・管理会社では行っていない
- 家賃は手取り月収の25〜30%以内を目安に設定し、初期費用は家賃の5〜6か月分を見込む
- 入居後に雇用契約書・健康保険証の追加提出を求められることがある
