賃貸のフリーレントは交渉できる?成功しやすい物件・タイミング・頼み方を解説






フリーレントとは、賃貸契約の開始から一定期間、賃料の支払いが免除される制度です。「この物件、フリーレントを付けてもらえませんか」というご相談は、当社でも珍しくありません。

ただし、フリーレントは交渉すれば必ず付くものではなく、通りやすい物件と、ほぼ通らない物件がはっきり分かれます。この記事では、賃貸仲介の実務経験をもとに、フリーレント交渉が成功しやすい条件・通らないケース・頼むタイミングと方法・通った後に確認すべきことまで、現場のリアルを具体的に解説します。

賃貸のフリーレント交渉のイメージ

最終更新日:2026年7月12日

フリーレントとは

フリーレントとは、賃貸契約の開始から一定期間、賃料などの支払いが免除される制度です。「フリーレント1ヶ月」であれば、入居後の最初の1ヶ月分の賃料が無料になります。

これは主に、貸主(大家さん)が空室を早期に埋めるための施策として設定されます。入居者にとっては、引越しや家具・家電の購入で出費がかさむ時期に賃料が一時的に0円になり、資金的な余裕が生まれます。貸主にとっても空室期間を短縮できるため、双方に合理的な仕組みといえます。

ここで押さえておきたいのが、無料になる費用の範囲です。フリーレントで免除されるのは家賃(賃料)のみというケースが最も多く、共益費・管理費は物件によって含まれる場合と含まれない場合があります。駐車場代・駐輪場使用料・水道料・町内会費などは、フリーレント期間中でも実費負担となるのが一般的です。「フリーレント期間中は何も払わなくてよい」という理解は誤りなので、対象範囲は必ず確認してください。

賃貸のフリーレントは交渉できる?

結論から言うと、フリーレントの交渉が通るかどうかは物件の状況しだいで大きく変わります。冒頭でも触れたとおり、「付けてもらえないか」と相談されること自体は珍しくなく、条件が合えば通ることもあります。

前提として、フリーレントは本来、貸主・管理会社側が募集条件として設定するものです。ただし、私の経験上、仲介会社側の裁量である程度設定できる物件も一部あります。こうした物件は、管理会社が出している業者用の募集資料に「フリーレント対応可」といった記載があり、仲介会社であればその可否を確認できます。

ポイント

募集情報に「フリーレント」と書かれていなくても、業者向けの資料では対応可となっている物件があります。表に出ている条件だけでは分からないため、気になる物件はフリーレントの可否を仲介会社に確認してもらうのが確実です。

フリーレント交渉が成功しやすい物件の特徴

貸主にフリーレントを付ける動機がある物件ほど、交渉は通りやすくなります。具体的には次のような物件です。

空室が多い物件

同じ建物内に空室が続いている場合、貸主は早急に入居者を確保したいと考えます。競合物件より有利な条件を出すため、フリーレントが設定されやすい状況です。

空室期間が長い物件

前の入居者の退去から2〜3ヶ月以上空いている物件は、その間の家賃収入がゼロの状態が続いています。早期入居を促す目的で、フリーレントの交渉に応じてもらいやすい傾向があります。

新築・築浅で入居者を集めている物件

名古屋では新築賃貸の供給が続いており、完成直後に満室になるとは限りません。空室が長引くほど貸主の収益に響くため、早期満室を目指してフリーレントが設定されることがあります。

フリーレント交渉がほぼ通らないケース

反対に、以下のような物件・タイミングでは、交渉してもほぼ通りません。無理に交渉すると、かえって印象を損なうこともあります。

通りにくいケース
理由・背景
募集開始直後
これから多くの問い合わせが見込め、貸主が条件を下げる必要がない
退去前から問い合わせが多い
人気が高く、条件を付けなくても入居者が決まる
同じ間取りの残りが1室
希少性が高く、貸主が強気の条件を維持しやすい
周辺相場より賃料が安い
すでに割安で、追加の優遇を出す動機がない
貸主が条件交渉を受けない方針
そもそも交渉自体を受け付けていない
礼金や家賃などが既に優遇済み
別の形で条件が下げられており、重ねての優遇は難しい
1〜3月など申込が集中する時期
繁忙期で入居希望者が多く、貸主が譲歩しにくい
賃料値下げなど条件変更の直後
直前に条件を見直したばかりで、さらなる譲歩が難しい
契約開始日が申込日から1ヶ月半以上先
入居が遅く、貸主に早期入居のメリットが乏しい
他の条件交渉も同時にしている
複数の交渉は貸主に敬遠され、まとまりにくくなる

フリーレント交渉はいつ・どう頼む?

交渉の成否は、タイミングと伝え方でも変わります。実務上のポイントを整理します。

交渉は「申込と同時」が基本

フリーレントの交渉は、入居の申込と同時に行うのが基本です。近年はオンライン申込が主流となっており、申込時に条件交渉を行うことをルールとしている管理会社が増えています。申込フォームに仲介会社から管理会社へ交渉を伝える欄があり、そこに希望を記入する形が一般的です。

申込前の交渉は受け付けない物件が多い

交渉を受けるかどうかは、申込内容を加味したうえでの貸主側の判断になります。そのため、申込前の段階での交渉は受け付けていない物件が多いのが実情です。「まず交渉が通るか確かめてから申し込みたい」と考える方は多いのですが、順序としては申込と同時に交渉を出す形になります。

ポイント

契約開始日(賃料の起算日)と、実際に入居する日(引越し日)は別に設定できるのが一般的です。「申込・契約は早めに進めつつ、引越しは数週間後」という形も可能なため、スケジュールに不安があれば仲介会社に相談してください。

フリーレント交渉でよくある3つの不安

交渉すると入居審査に不利になりませんか?

基本的に、フリーレントを交渉したことで審査が不利になることは少ないです。ただし、2番手以降の申込が入っているなど、貸主が複数の申込者から選べる状況では、条件交渉をしていない申込者が優先されることがあります。とはいえ、このケースはまれで、通常は交渉の有無が審査結果を大きく左右することはありません。

断られたら、その物件には住めないのですか?

そんなことはありません。交渉が通らなかった場合は、「フリーレントなしで審査を進めますか」という確認があり、そのまま通常条件で入居できます。交渉が断られた=その物件を諦める、ということにはならないのでご安心ください。

フリーレントと家賃・礼金の値下げを同時に交渉できますか?

複数の条件を同時に交渉するのは、基本的に通りません。フリーレント交渉が通らなかったからといって、続けて賃料や礼金の値下げを求めても、受けてもらえないのが一般的です。

注意

交渉を受けている間、貸主側はその物件への他の申込を止めて待っている状態になります。次々と条件を重ねて交渉すると、「この申込はまとまりにくい」と判断され、交渉を打ち切って別の入居者を探す方向に進んでしまうことがあります。交渉は的をしぼって出すのが得策です。

交渉が通ったら必ず確認する5つのこと

フリーレントが適用できることになったら、条件の細部を必ず確認しましょう。同じ「フリーレント1ヶ月」でも、内容によって実際の節約額や解約時の負担が変わります。

1. 賃料だけか、共益費・管理費も無料か

免除の対象が賃料のみか、共益費・管理費まで含むかを確認します。含まれるほうが節約額は大きくなります。

2. 対象期間は「日割り分」か「契約開始日から1ヶ月」か

「契約月の月末まで(日割り)」なのか、「契約開始日から1ヶ月」なのかで、無料になる日数が変わります。月の途中から入居する場合、日割りタイプだと無料期間が短くなります。

3. 初期費用から実際にいくら減るか

フリーレントが適用されると、初期費用に含まれる前家賃(1ヶ月分の賃料)がまるごと差し引かれます。家賃7万円なら7万円、8万円なら8万円の節約です。目安を具体的な金額で確認しておきましょう。

節約金額の目安

家賃7万円・賃料のみ対象の場合の目安です(共益費などが対象外の場合、実際の額は異なります)。

タイプ
無料期間の目安
節約額の目安
月末まで(15日入居)
約16日間
約37,000円
1ヶ月
1ヶ月
70,000円
2ヶ月
2ヶ月
140,000円

4. 短期解約違約金が上乗せされるか

名古屋の賃貸物件では、1年未満で退去した場合に家賃1ヶ月分を違約金とする短期解約違約金の規定が設けられていることが多くあります。フリーレント物件では、これに加えて免除されたフリーレント分が違約金に上乗せされるケースがあります。

注意

たとえばフリーレント1ヶ月・家賃7万円の物件に入居し、1年未満で退去した場合、通常の短期解約違約金7万円に加えてフリーレント分7万円が上乗せされ、合計で約14万円を請求されることがあります。ただし上乗せは免除された範囲内にとどまるのが一般的で、1年以上入居してから退去する場合は上乗せが発生しないケースがほとんどです。長期入居が前提なら過度に心配する必要はありませんが、契約書の違約金条項は必ず確認してください。

5. 上乗せは「何年以内」の解約が対象か

フリーレント分の上乗せが、入居後何年以内の解約に適用されるのかも確認します。「1年以内」「2年以内」など物件によって異なるため、想定する入居期間と照らして判断しましょう。

フリーレント交渉が難しいときの選択肢

交渉が通らなかった場合でも、打てる手はあります。

仲介手数料無料の会社で取り扱いがないか確認する

同じ物件でも、仲介手数料が無料の不動産会社で契約できれば、フリーレントに近い節約効果が得られます。仲介手数料は通常、家賃1ヶ月分+消費税が相場です。家賃7万円なら77,000円前後かかるため、これが無料になるだけでも初期費用は大きく変わります。

仲介手数料無料とは?仕組みと、できる理由・できない理由、デメリットはあるのかを不動産会社が解説

フリーレントなしで入居する

交渉が通らなくても、その物件が条件に合っているなら、通常条件で入居するのも十分な選択です。フリーレントはあくまで付加的な優遇であり、物件そのものの良し悪しとは別で考えるとよいでしょう。

別の物件を検討する

フリーレントを重視するなら、空室期間が長い物件や新築で入居者を募集中の物件など、交渉が通りやすい条件の物件に絞って探し直すのも一つの手です。

まとめ

  • フリーレントは入居から一定期間、賃料が免除される制度。無料になるのは家賃のみが基本で、駐車場代などは対象外
  • 交渉が通るかは物件しだい。空室が多い・長期空室・新築で募集中の物件は通りやすい
  • 募集開始直後・人気物件・繁忙期(1〜3月)などはほぼ通らない
  • 交渉は申込と同時が基本。オンライン申込の交渉欄に記入する形が主流で、申込前の交渉は受け付けない物件が多い
  • 複数条件の同時交渉は打ち切りリスクがあるため、的をしぼる
  • 交渉が通ったら、対象費用・対象期間・短期解約違約金の上乗せを必ず確認する

よくある質問

Q. フリーレント物件はどうやって探せばいいですか?
物件情報に「フリーレント〇ヶ月」と記載があるものが対象です。ただし、募集情報に明記されていなくても、業者向けの資料では対応可となっている物件が一部あります。気になる物件があれば、フリーレントの有無や交渉の可否を仲介会社に確認してもらうのが確実です。
Q. フリーレント期間中は、共益費や駐車場代も無料になりますか?
多くの物件で無料になるのは家賃(賃料)のみです。共益費・管理費は物件によって含まれる場合もありますが、駐車場代・駐輪場使用料・水道料・町内会費などは対象外となるのが一般的です。契約前に対象範囲を必ず確認してください。
Q. フリーレントの交渉は、入居の申込後からでもできますか?
申込と同時に行うのが基本です。近年はオンライン申込が主流で、申込フォームの交渉欄に記入する形が増えています。申込後や契約直前になってからの交渉は受け付けてもらえないことが多いため、希望がある場合は申込のタイミングで伝えてください。
Q. フリーレントなしで契約した後から、さかのぼって交渉できますか?
契約後の交渉は基本的にできません。フリーレントは申込時点の条件として貸主が判断するものであり、契約成立後に条件をさかのぼって変更することは想定されていません。交渉するなら申込前、というのが実務上の原則です。

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執筆者
栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。