賃貸物件を探すとき、「できるだけ虫が出にくい部屋に住みたい」という希望を伺うことがあります。
私自身も虫が得意ではありません。物件の写真撮影や内見で建物を訪れた際、虫の死骸を見かけたり、生きた虫に遭遇したりすることがあります。
ただし、虫を一匹見つけただけで「虫が多い物件」「衛生状態が悪い物件」と判断することはできません。玄関や窓の開閉時に偶然入り込んだ可能性もあります。
一方で、同じ種類の虫を何匹も見かけたり、室内だけでなく共用部でも繰り返し見つかったりする場合は、周辺環境や建物の管理状態を少し詳しく確認した方がよいでしょう。
この記事では、虫を見かけやすい物件に関係する周辺環境や侵入経路、内見時に確認したいポイントを、実際に物件を案内・撮影している立場から紹介します。

虫の出やすさは、築年数や階数だけでは決まらない
「新築なら虫が出ない」「高層階なら虫はいない」と考える方もいますが、虫の出やすさは築年数や階数だけでは判断できません。
建物周辺の植栽、水がたまりやすい場所、ゴミ置場、排水設備、建物の隙間、日常的な清掃や管理状況など、複数の条件が関係します。
また、虫の種類によっても発生しやすい場所は異なります。例えば、蚊とゴキブリでは発生場所や侵入経路が違います。そのため、「虫が出るかどうか」だけでなく、建物の周囲や共用部を含めて確認することが大切です。
水辺だけでなく、小さな水たまりにも注意する
川や用水路の近くにある物件では、私が内見や撮影で訪れた際に、建物周辺で虫を見かけることがあります。
ただし、「川の近く=必ず虫が多い」というわけではありません。
蚊は種類によって、側溝や排水ます、小さな水たまりなどを発生場所とすることがあります。植木鉢の受け皿や、屋外に放置された容器にたまった水が発生源になる場合もあります。川や用水路の有無だけでなく、敷地やその周辺に水がたまりやすい場所がないかを見ることも大切です。
内見では、次のような部分も確認しておくとよいでしょう。
- 敷地内に水がたまっている場所がないか
- 排水ます周辺に水が残っていないか
- 放置された容器や植木鉢がないか
- 植栽が適切に手入れされているか
緑が多い環境だから問題ということではありません。植栽の管理や排水、清掃が行き届いているかまで確認することが重要です。
排水口・換気口・配管まわりも確認する
虫の侵入経路は、玄関や窓だけではありません。換気口、網戸の隙間、エアコン配管の貫通部、排水設備なども確認しておきたい場所です。
排水設備には通常、「排水トラップ」と呼ばれる仕組みがあります。排水トラップは、排水管からの臭いや害虫の侵入を防ぐ役割があります。ただし、長期間使用していないなどの理由で内部の水がなくなると、その役割を果たせなくなる場合があります。
特に長期間空室だった部屋では、排水トラップの水が減っている可能性もあります。内見時には、次の点を確認しておきましょう。
- 網戸に破れや大きな隙間がないか
- エアコン配管まわりがきちんと塞がれているか
- 換気口に大きな開口部がないか
- 排水口周辺に異臭や目立つ隙間がないか
気になる部分があっても、入居前に自分で塞いだり加工したりせず、まず管理会社や仲介会社へ確認してください。
虫の死骸が一匹あっても、すぐに問題物件とは判断できない
内見時に虫の死骸を見つけると気になるものですが、一匹見つかっただけで、その部屋で虫が大量発生しているとは限りません。
玄関や窓から偶然入った可能性もありますし、長期間空室だった部屋では、いつ入り込んだものか分からない場合もあります。見るべきなのは、一匹いたかどうかよりも「複数の兆候があるか」です。
- 同じ種類の虫を何匹も見かける
- 生きた虫と死骸の両方が複数の場所にある
- 台所や収納の奥に虫の痕跡がある
- 共用廊下やゴミ置場でも同じ虫を何度も見かける
- 配管や壁際に大きな隙間がある
ゴキブリは暖かい場所、暗い場所、湿気のある場所、狭い隙間などに潜みやすいとされています。食品やゴミの管理、隙間の補修など、建物や室内の環境を整えることも防除の基本です。
こうした条件が複数重なっている場合は、管理状況や過去の対応について確認してみてもよいでしょう。
共用部とゴミ置場は必ず見ておく
虫が苦手な方に特に見てほしいのが、室内よりも共用部です。
室内は退去後のクリーニングで一時的にきれいになっていることがありますが、共用部を見ると建物の日常的な管理状態が分かりやすいことがあります。エントランスや廊下、ゴミ置場など共用部分の見方は、「賃貸の共用部分とは?専有部分との違い・管理責任・禁止行為」でも紹介しています。
- ゴミ置場にゴミが散乱していないか
- ゴミ箱や集積場所の周囲に汚れが多くないか
- 共用廊下や階段に虫の死骸が多くないか
- 排水溝に水や落ち葉がたまっていないか
- 植栽が伸び放題になっていないか
虫の有無だけでなく、「普段から管理されている建物か」という視点で見ると判断しやすくなります。内見時に確認できる管理状態のポイントは、「管理会社の対応が悪い賃貸を避けるには?」も参考にしてください。
低層階だから必ず虫が多いとは限らない
虫を避けるために「できるだけ高い階に住みたい」という方もいます。
地面や植栽、ゴミ置場などに近い低層階の方が、虫と接触する機会が増えることは考えられます。しかし、高層階だから虫がまったく来ないとは限りません。
エレベーターや荷物、人の衣服などと一緒に入り込む可能性もありますし、飛ぶ虫が上階まで来ることもあります。階数だけで判断するよりも、建物周辺の環境や共用部、侵入経路を総合的に確認した方が現実的です。
虫が苦手な方が内見で確認したいポイント
内見では、室内だけでなく建物周辺や共用部も確認してみましょう。
- 網戸に破れや隙間がないか
- 換気口やエアコン配管まわりに大きな隙間がないか
- 台所・洗面所・洗濯機置場の排水口周辺に異臭がないか
- ベランダや共用廊下に水がたまっていないか
- 排水溝に落ち葉やゴミがたまっていないか
- 建物周辺の植栽が適切に管理されているか
- ゴミ置場が清潔に保たれているか
- 共用部に虫の死骸が多数ないか
気になる場合は、仲介会社を通じて管理会社に確認することもできます。「過去に害虫について入居者から相談はありましたか」「共用部で定期的な害虫対策はしていますか」「入居前に排水口や配管まわりを確認してもらえますか」といった聞き方が現実的です。
回答がないこと自体を問題と判断することはできませんが、共用部の清掃や管理会社との確認の進め方も、物件選びの判断材料になります。契約時に防虫施工費が含まれている場合は、作業内容や任意かどうかも確認しましょう。費用の考え方は、「賃貸の消毒料・消臭抗菌費・防虫費は本当に必要?」で解説しています。
何匹も見かけるなら、別の物件を選ぶのも一つの方法
虫に対する感じ方には個人差があります。一匹見ただけなら偶然入り込んだ可能性もありますが、内見時に複数の虫を見かけたり、室内だけでなく共用部にも多くの死骸があったりする場合は、少し慎重に判断した方がよいでしょう。
特に虫が非常に苦手で、室内で見かけること自体が大きなストレスになる方なら、無理にその物件を選ぶ必要はありません。
賃貸物件は、入居してから長期間生活する場所です。家賃や立地、設備だけでなく、自分が気持ちよく生活できる環境かどうかも重要な条件です。
私自身も虫が得意ではないため、物件を訪れた際には室内だけでなく、排水口、換気口、ゴミ置場、植栽、建物周辺などを見ることがあります。
虫を完全に避けられる物件を見つけるのは難しいですが、内見時に周辺環境や侵入経路、管理状況まで確認することで、入居後に「思っていたより虫が多かった」という可能性を減らすことはできます。
※虫の死骸や目撃情報だけから、発生源や建物の衛生状態を断定することはできません。気になる場合は、契約前に仲介会社を通じて管理会社へ確認してください。
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