新築賃貸と聞くと、「設備が充実していて、快適に暮らせそう」と期待する方も多いでしょう。誰も住んでいない部屋に入居できることや、建物・設備が新しいことは、新築物件ならではの魅力です。
ただし、新築だからといって、部屋が広い、設備が充実している、共用部の仕様も優れているとは限りません。
私が最近、賃貸物件の案内や写真撮影で訪れた新築物件の中には、築10年前後の物件と比べても、居室の広さや水回り、バルコニー、共用部などの仕様がシンプルだと感じるものがありました。
もちろん、これは建築費や設計資料を確認したうえでの判断ではなく、実際に複数の物件を見た現場での印象です。
一方で、防犯設備や鍵など、新しい技術が積極的に採用されている物件もあります。
この記事では、「新築だから設備も良いはず」と決めつけず、実際の部屋を見るときに確認しておきたいポイントを紹介します。

新築でも設備や仕様は物件によって違う
新築物件でも、すべての設備や共用部分に同じようにコストをかけているわけではありません。
立地や外観、オートロック、宅配ボックスなどを重視する物件もあれば、室内設備や共用部分を比較的シンプルな仕様にしている物件もあります。
近年は建築費も上昇しているため、限られた予算を建物のどこに配分するかによって、仕様に差が出ることは考えられます。
ただし、外から見ただけで個別物件の設計意図までは分かりません。
「この設備がないからコストカット物件」と単純に判断するのではなく、自分が重視する部分にきちんとコストがかけられているかを見ることが大切です。
建設工事費の動向については、国土交通省の建設工事費デフレーターでも確認できます。ただし、こうした統計から個別物件の設備選定理由まで判断できるわけではありません。
名古屋の新築賃貸の市場動向については、「名古屋の新築賃貸の実態と選び方」でも紹介しています。
新築物件で進化している設備もある
室内や共用部の仕様がシンプルに感じる物件がある一方で、以前より進化していると感じる設備もあります。
特に防犯設備です。
最近案内や撮影で訪れた新築物件では、高画質の防犯カメラや録画機能付きインターホン、オートロックと連動した入館システムなどを採用している建物も見かけます。
そのため、新築物件を一括りにして「昔より設備が悪くなった」と考えるのも適切ではありません。
室内設備はシンプルでも防犯設備には力を入れているなど、物件によって重視しているポイントは異なります。
内見時には、オートロックの解錠方法、防犯カメラの設置場所、来訪者の録画機能なども確認しておくとよいでしょう。
居室は「何畳」より家具を置いた状態で考える
新築物件の中には、居室がコンパクトに設計されていると感じるものもあります。
ここで注意したいのが、間取り図に書かれている「6帖」「8帖」といった数字だけで判断しないことです。
同じ6帖でも、部屋の形や柱の位置、収納の配置によって使いやすさは大きく変わります。
例えば、次のような点を実際の部屋で確認した方が、入居後のイメージをつかみやすくなります。
- ベッドを置いたあとに通路を確保できるか
- テーブルやデスクを置けるか
- クローゼットの扉を問題なく開けられるか
- 柱や梁が家具配置の邪魔にならないか
また、ワンルームと1Kでは、キッチンと居室の位置関係によって使い勝手も変わります。
間取りごとの違いについては、ワンルームと1Kの違い・選び方でも解説しています。
水回りは設備の有無まで確認する
水回りについても、「新築だから一通りの設備が付いている」とは限りません。
実際に最近案内した新築物件では、浴室乾燥機が付いていない部屋がありました。
もちろん、これは一つの物件の事例であり、新築物件全体に当てはまるものではありません。
ただ、新築という言葉だけで、
- 「浴室乾燥機は付いているだろう」
- 「独立洗面台なら収納も十分だろう」
- 「トイレには温水洗浄便座があるだろう」
と思い込むのは避けた方がよいでしょう。
特に毎日使う設備は、募集資料だけでなく、内見時に実物を確認することをおすすめします。
設備欄に記載がない場合は、仲介会社を通じて確認できます。
バルコニーは形状と外からの視線を見る
バルコニーも物件によって仕様が大きく異なります。
最近の新築物件では、コンクリートの腰壁ではなく、アルミ製の縦格子を使ったバルコニーを見かけることがあります。
縦格子タイプには、光や風を取り込みやすく、開放感が出やすいという特徴があります。
一方で、コンクリート壁と比べると外からバルコニー内部が見えやすくなる場合があります。
特に低層階では、次のような点を確認しておきたいところです。
- 道路から室内がどの程度見えるか
- 洗濯物が外から見えないか
- 隣接する建物から視線が入らないか
内見では部屋の中から眺望を見るだけでなく、建物の外側から自分の部屋がどう見えるかも確認すると、入居後のイメージがしやすくなります。
内廊下・外廊下はそれぞれ特徴がある
私たちが最近案内や写真撮影で訪れた新築物件では、外廊下タイプを見る機会が多くなっています。
ただし、これは当社が訪問した物件についての印象であり、名古屋全体の傾向を示す統計ではありません。
外廊下と内廊下には、それぞれメリットとデメリットがあります。
外廊下は外気に開放されているため、風が通りやすい一方、雨や風、夏の暑さ、冬の寒さの影響を受けます。
内廊下は外気に直接さらされにくく、ホテルのような雰囲気やプライバシー性の高さが魅力ですが、空調や換気の状態は建物によって差があります。
内廊下だから高級、外廊下だから劣る、という単純な話ではありません。
内見時には、次のような点も確認してみてください。
- 玄関前の明るさ
- 雨が吹き込みそうか
- 廊下に熱気や湿気がこもっていないか
- 玄関を開けたときに室内が見えやすくないか
共用廊下やエントランスなどについては、「賃貸の共用部分とは?」でも解説しています。
スマートロックは使い方まで確認する
最近は、スマートロックや非接触キーなどを採用する新築物件もあります。
鍵を持ち歩かなくてもよい、エントランスから住戸までスムーズに解錠できるなど、便利な設備です。
一方で、実際の使い方は物件によって異なります。
例えば、次のような点は確認しておきたいところです。
- スマートフォンが必須なのか
- 暗証番号でも解錠できるのか
- 通常の鍵が用意されているのか
- 電池切れやスマートフォンの故障時はどうするのか
- 家族や来客に一時的な鍵を発行できるのか
新しい設備だから使いやすいとは限りません。
毎日使う設備ほど、自分の生活スタイルに合っているかを見ることが重要です。
新築だけでなく築浅物件とも比較する
新築物件は、誰も住んでいないことや、設備・内装が新品であること自体に価値があります。
そのため、近隣の築浅物件と比べて賃料が高く設定されているケースもあります。
いわゆる「新築プレミアム」です。
ただし、賃料は立地、広さ、設備、募集時期、需給などによって決まるため、新築だから必ず高いわけではありません。
物件を探すときは、新築だけでなく築3〜5年程度まで条件を広げて比較してみるのも一つの方法です。
同じくらいの賃料でも、次のような物件が見つかることがあります。
- 専有面積が広い
- 浴室乾燥機などの設備が充実している
- 収納が広い
- 内廊下になっている
- バルコニーのプライバシー性が高い
「新築であること」を優先するのか、「広さや設備」を優先するのかを整理して比較すると、物件を選びやすくなります。
新築賃貸の内見で確認したいポイント
新築物件を内見するときは、次のような点を確認してみてください。
- ベッドや家具を置いても通路を確保できるか
- 収納の扉や引き出しを問題なく使えるか
- 浴室乾燥機など、希望する設備が実際に付いているか
- バルコニーや室内が道路・隣接建物からどの程度見えるか
- 共用廊下の明るさ、風通し、暑さ・寒さは気にならないか
- スマートロックなどの設備を自分でも使いやすいか
- 内見した部屋と契約予定の部屋が違う場合、設備や仕様に違いがないか
- 築浅物件と比較しても賃料や管理費に納得できるか
新築賃貸には、建物や設備が新しく、誰も住んでいない部屋に入居できるという魅力があります。
一方で、住みやすさは築年数だけでは決まりません。
部屋の広さ、水回り、バルコニー、共用廊下、防犯設備などを実際に確認し、「自分が重視する部分にきちんと価値がある物件か」という視点で選ぶことが大切です。
新築だけに条件を限定せず、築浅物件も含めて比較すると、より希望に合った部屋が見つかることもあります。