宅配ボックス付き賃貸の選び方|内見時の確認ポイントと注意点を解説

 

不在時でも荷物を受け取れる宅配ボックスは、今や賃貸物件の人気設備です。物件検索の条件に加える方も多く、当社でも「宅配ボックスは必須」というご要望をよくいただきます。

ただし、宅配ボックスは「付いていれば安心」とは限りません。空きがなくて使えなかったり、荷物が入らずに持ち帰られたりすることは、実際の現場でよくあります。この記事では、宅配ボックスのよくあるトラブルと対処法、内見時に確認すべきポイントを、賃貸仲介・管理の実務経験をもとに解説します。

賃貸の宅配ボックスイメージ

最終更新日:2026年7月12日

宅配ボックスとは

宅配ボックスとは、入居者が不在のときでも宅配便の荷物を受け取れる設備です。配達員が空いているボックスに荷物を入れて施錠し、入居者は暗証番号やカードなどで後から取り出します。再配達を依頼する手間が省け、配達員と対面する必要もないため、ネット通販を利用する方を中心に支持されています。

近年は、宅配ボックスの有無が物件選びの決め手になることも増えました。当社が募集情報を調べたところ、2010年以降に建てられた物件の9割以上に宅配ボックスがあり、当社が取り扱う2015年以降のマンションタイプの物件では、すべてに設置されていました。築年数が古く当初は付いていなかった物件でも、後から追加設置されるケースが増えています。今では、あって当たり前に近い設備になりつつあります。

宅配ボックスが「使えない」ことがある|空きがない・入らない

便利な宅配ボックスですが、設置されていても配達員が使えないことがあります。理由は大きく2つです。

ポイント

配達員が宅配ボックスを使えない主な理由

  • 荷物が大きく、物理的にボックスに入らない
  • すべてのボックスが使用中で、空きがない

このどちらかに当てはまると、荷物は持ち帰られ、「宅配ボックスに空きがないため持ち帰りました」という不在票が入ります。受け取るには再配達の依頼が必要です。

私の経験上、これは決して珍しいことではありません。当社が管理している物件でも、入居者の方から「宅配ボックスに空きがなくて受け取れない」というご連絡をいただくことは、実際にあります。ボックスの数が入居者数に対して十分でない物件や、荷物が集中する年末年始・大型セールの時期は、特に起こりやすくなります。

宅配ボックスのトラブルと対処法

宅配ボックスにまつわるトラブルは、状況によって連絡先が変わります。あわてないよう、対処の基本を押さえておきましょう。

荷物を取り出せないとき

暗証番号が合わない、扉が開かないなどで荷物を取り出せない場合は、宅配ボックス本体に管理会社(または宅配ボックスの管理業者)の連絡先が記載されていないか確認します。記載があればその連絡先へ、何も書かれていなければ賃貸借契約書に記載の管理会社へ連絡してください。

違う部屋あての荷物が入っていたとき

自分のボックスに他の部屋あての荷物が入っていた場合は、管理会社ではなく、荷物を配達した宅配業者へ連絡し、引き取ってもらうのが適切です。伝票に配達業者名と連絡先が記載されています。自分で他の部屋へ届けるようなことはせず、業者に対応を任せましょう。

配達員が部屋番号を間違えて登録したとき

電気式の宅配ボックスでは、配達員が登録する部屋番号を間違えてしまい、正しい入居者が荷物を取り出せなくなることがまれにあります。この場合は管理会社が現地で対応して荷物を取り出しますが、原因が配達員側のミスであれば、対応にかかった費用を宅配業者へ請求することもあります。

賃貸の共用部分とは?専有部分との違い・管理責任・禁止行為を解説

内見時にチェックすべき宅配ボックスの見分け方

宅配ボックスは「ある・なし」だけでなく、質と管理状態まで見ておくと失敗が減ります。内見時に次の点を確認してください。

総戸数に対して個数が十分か

ボックスの数が入居者数に対して少ないと、空きがなくて使えない場面が増えます。当社の経験上、単身向けの物件では、総戸数に対して2割程度のボックスがあると安心です。他社の記事では3割程度を目安とすることもありますが、実際に3割そろっている物件はそれほど多くありません。数は多いに越したことはないものの、現実的には2割程度を一つの目安に、総戸数とボックス数のバランスを見ておくとよいでしょう。

故障・使用停止の貼り紙がないか

ボックスに「故障中」「使用禁止」「調整中」「管理会社へ連絡してください」といった貼り紙が出ていないかを確認します。こうした表示が放置されている場合、設備の管理が行き届いていない可能性があります。

清掃・管理の状態

ボックスまわりが清掃されているか、扉がへこんだり壊れたりしていないか、周辺に荷物が放置されていないかを見ておきます。

ポイント

宅配ボックスの管理状態は、その建物の共用部分全体がきちんと管理されているかを判断する材料になります。宅配ボックスが乱れている物件は、ほかの共用設備の管理も甘い傾向があるため、内見時のチェックポイントとして役立ちます。

置き配に対応しているか

Amazonなどの置き配に対応する物件も増えています。置き配が使えると、宅配ボックスに頼る場面が減り、その結果ボックスの空き逼迫も起きにくくなります。置き配は玄関前などに荷物を置く仕組みのため盗難や雨濡れへの配慮は必要ですが、対応している物件は受け取りの選択肢が広がり便利です。募集情報や管理規約で置き配の可否を確認しておくとよいでしょう。

宅配ボックスを使うときのマナー

注意

宅配ボックスをロッカーや物置代わりに使うのはやめましょう。過去には荷物の受け取り後もボックスを占有し続けた入居者もいましたが、宅配ボックスは入居者全員で共有する設備です。私物の保管に使うと、ほかの入居者が使えなくなり、空きがない状態の原因になります。荷物が届いたら早めに取り出すことも、共有設備を気持ちよく使うための大切なマナーです。

宅配ボックス付き物件を選ぶ価値はある?

結論として、宅配ボックス付きの物件を選ぶ価値はあります。空きがない・入らないといった弱点はあるものの、ないよりはあったほうが確実に便利です。再配達の手間が減り、対面での受け取りが不要になるメリットは、ネット通販を日常的に使う方ほど大きく感じられます。

宅配ボックスは物件検索の条件にする方が多く、賃料にも反映される人気設備です。「宅配ボックスは必須」という条件でお部屋を探す方も少なくありません。弱点を理解したうえで、個数や管理状態まで確認して選べば、日々の暮らしの利便性は着実に高まります。

賃料とは何か。決まり方や家賃との違い、共益費との関係を不動産会社が解説

まとめ

  • 宅配ボックスは不在時に荷物を受け取れる人気設備。2010年以降の物件では9割以上に設置され、今やあって当たり前に近い
  • 設置されていても、荷物が大きくて入らない・空きがないと使えず、持ち帰り(再配達)になる
  • 取り出せないときは管理会社へ、違う部屋の荷物が入っていたときは宅配業者へ連絡する
  • 内見時は、総戸数に対する個数(単身向けは2割程度が目安)・故障の貼り紙・清掃状態を確認する
  • 宅配ボックスの管理状態は、共用部分全体の管理の良し悪しを見分ける材料になる
  • 置き配対応の物件なら空き逼迫が起きにくい。弱点を理解して選べば宅配ボックスは十分に価値がある

よくある質問

Q. 宅配ボックスに、クール便や冷凍・代引きの荷物も預けられますか?
多くの宅配ボックスでは、クール便・冷凍などの生鮮品、代引きや着払いなど支払いが必要な荷物、貴重品などは預けられず、対面での受け取りが必要です。こうした荷物が届く予定のときは、在宅できる時間帯を指定しておくと再配達を避けられます。
Q. 宅配ボックスがいつも満杯で使えません。改善してもらえますか?
まずは管理会社に相談してみてください。長期間放置されている荷物への注意喚起や、状況によってはボックスの増設など、何らかの対応が取られることがあります。特定のボックスがずっと使用中のままの場合、放置や私物化が原因のこともあるため、気づいた点を伝えると改善につながりやすくなります。
Q. 置き配と宅配ボックスは、どちらを使うのがよいですか?
どちらも一長一短です。宅配ボックスは施錠されるため安心感がありますが、空きがないと使えません。置き配は空き状況に左右されずに受け取れる一方、玄関前などに置かれるため盗難や雨濡れへの配慮が必要です。置き配に対応した物件なら、状況に応じて両方を使い分けられます。
Q. 宅配ボックスがない物件は避けたほうがいいですか?
必須ではありませんが、ネット通販をよく利用する方にとってはあると便利な設備です。ない場合でも、置き配の活用や、駅・コンビニの宅配ロッカーの利用、受け取り日時の指定などで対応できます。物件そのものが希望に合うなら、宅配ボックスの有無だけで判断する必要はありません。

マチラボのロゴ
執筆者
栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。