1階の賃貸はやめたほうがいい?防犯・湿気・虫・騒音の注意点

 

「1階の賃貸はやめたほうがいい」とよく言われます。当社でお部屋探しをされるお客様でも、およそ半数の方が「1階はできれば避けたい」とおっしゃいます。その主な理由は防犯面と虫のリスクで、特に女性のお客様に多い傾向があります。

一方で、小さなお子様がいるご家庭では「下の階へ足音で迷惑をかけたくない」という理由から、あえて1階を希望される方も少なくありません。1階は一律に避けるべき部屋ではなく、向き・不向きがはっきり分かれる住まいです。

この記事では、1階が敬遠される理由を正確に整理したうえで、意外と多いメリット、そして「後悔しない1階の選び方」を、賃貸仲介の実務経験から解説します。

1階の賃貸物件の外観と専用庭のイメージ

最終更新日:2026年7月12日

賃貸の1階が「やめたほうがいい」と言われる6つの理由

まずは、1階が敬遠される理由を1つずつ見ていきます。ただし、これらは「1階だから必ず起こる」ものではなく、物件や周辺環境しだいで大きく変わる点を先にお伝えしておきます。

1. 防犯・プライバシー面の不安

1階が避けられる最大の理由が防犯面です。警察庁の統計を見ると、侵入窃盗の発生場所は一戸建住宅が最も多く、共同住宅では3階建て以下の建物のほうが4階建て以上の建物より認知件数が多い傾向にあります。

ただし、これは建物の種別・規模ごとの件数であって、「同じ建物の1階は上階のちょうど何倍狙われる」という数字ではありません。低層階が狙われやすいとすれば、その本質的な理由は、地上に近い住戸ほど玄関や窓といった侵入経路に外部から近づきやすい点にあります。共同住宅では玄関と窓からの侵入が大半を占めるため、道路や共用通路に面した1階は、対策次第でリスクが上下すると考えるのが現実的です。

参考:警察庁「住まいる防犯110番」侵入窃盗の発生場所別認知件数

2. 外からの視線・プライバシーが気になる

道路や共用通路に面した1階は、通行人の目線と窓の高さが近くなりやすく、日中でもカーテンを開けづらいという声をよく聞きます。私の経験上、内見時に「思ったより外から見えるか」を確認せずに決めてしまい、入居後にカーテンを閉めきりで生活することになった、というケースは一定数あります。

3. 湿気・カビが発生しやすい

1階は地面に近いぶん、上層階より湿気の影響を受けやすくなります。防犯上、窓を開けたままにしにくく換気の回数が減ることも重なり、梅雨時期は結露やカビに悩まされやすい環境です。日当たりや風通しが悪い区画だと、洗濯物が乾きにくく、生乾きのにおいが気になることもあります。

4. 虫が入りやすい(ただし「階数」より「周辺環境」の影響が大きい)

「1階だから虫が出やすい」というのは、半分は正しく、半分は誤解です。ここは正確にお伝えしておきたいポイントです。

蚊やハエなどの飛ぶ虫が自力で飛べる高さはおおむね10メートル前後、建物でいえば3階程度までとされています。つまり3階くらいまでは、階数だけで虫の遭遇率に大きな差は出にくいのが実情です。実際、民間の調査でも、低層階(1〜5階程度)ではゴキブリの遭遇回数がほぼ横ばいで、遭遇が急に減るのは11階以上、という結果が出ています。2階でも3階でも、環境しだいで虫の相談を受けることは珍しくありません。

地面を歩いて移動するゴキブリ類は、地上に近い低層階のほうがやや侵入されやすい傾向はあります。しかし、それ以上に発生・侵入リスクを左右するのが周辺環境です。

ポイント

虫のリスクを高める周辺環境の例

  • 近くに河川・池・公園・田畑・緑地がある
  • 同じ建物内や隣接地に飲食店・コンビニがある
  • ゴミ置き場の清掃・管理が行き届いていない
  • 建物の外壁や配管まわりに経年劣化による隙間が多い

また、ゴキブリなどは配管まわりや外壁のわずかな隙間を伝って上の階まで移動することがあり、高層階だから絶対に出ないとは言い切れません。私自身も、物件の撮影や内見案内で10階前後の部屋にお伺いした際に見かけたことが何度かあります。

「1階か上階か」だけで判断するより、「どんな環境に建つ、どんな管理状態の建物か」で見るほうが、虫の観点では現実に即しています。

5. 水害・浸水のリスク

台風やゲリラ豪雨で周囲が冠水した場合、直接的な被害を受けやすいのは1階です。特に川や低地の近くでは、床上浸水で家具や家電に深刻なダメージが出ることもあります。これは物件そのものより立地の問題なので、後述するハザードマップでの事前確認が有効です。

6. 日当たり・風通しが不利になりやすい

周囲の建物や植栽、フェンスに日光をさえぎられ、上層階より日当たり・風通しが劣る区画があります。ただし、南向きで前面に高い建物がない1階など、条件の良い部屋もあるため、これも物件ごとの確認が前提です。

意外と多い、賃貸1階のメリット

デメリットが注目されがちな1階ですが、上層階にはない利点も複数あります。当社でも、以下のメリットを理由に1階を選ばれる方は珍しくありません。

家賃が上階より安く設定されやすい

同じ間取り・同じ建物でも、階数が上がるほど賃料は高くなる傾向があり、1階は割安に設定されやすい部屋です。当社が取り扱う単身向け物件では、同じタイプの2階の部屋と比べて、1階が月1,000〜3,000円ほど安くなっているケースが多くあります。2年間住めば、単純計算で2万4,000〜7万2,000円の差です。設備や立地が同条件なら、コストパフォーマンスの面では優れた選択肢といえます。

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下の階への足音を気にしなくてよい

1階は自分の部屋の下に住戸がないため、足音や物音による階下トラブルの心配がありません。当社でも、小さなお子様がいるご家庭が「走り回っても下に響かないから」という理由で1階を積極的に選ばれることは多く、子育て世帯にとっては大きな安心材料になります。

エレベーターや階段を使わず、外出の時間を短縮できる

玄関からすぐ外に出られるのも1階の利点です。エレベーターの待ち時間や階段の上り下りがないぶん、外出のたびの移動がスムーズで、日々の時間短縮につながります。エレベーターが点検や故障で止まっても影響を受けません。

荷物の搬入・搬出や、災害時の避難がラク

重い荷物やゴミ出し、ベビーカーの出し入れも、階段やエレベーターを介さないぶん負担が軽くなります。引越し費用が上層階より抑えられることもあります。地震や火災の際に屋外へ避難しやすく、高層階より揺れが小さい傾向がある点も、安心につながるポイントです。

専用庭が付く物件がある

1階には専用庭やテラスが付く物件があり、ガーデニングや家庭菜園を楽しめます。屋外に物置スペースを確保できる点も、上層階にはない魅力です。

観点
1階の傾向
家賃
メリット同タイプの上階より割安になりやすい
階下への音
メリット下に住戸がなく足音を気にしなくてよい
出入り・避難
メリット階段・EV不要で外出や避難がラク
防犯・視線
要確認侵入経路に近く、外からの視線も入りやすい
湿気・日当たり
要確認区画により湿気・採光が不利になりやすい
虫・水害
要確認階数より周辺環境・立地の影響が大きい

1階が向いている人・避けたほうがいい人

これまでの接客経験から、1階が向いている方と、慎重に検討したほうがよい方を整理しました。あくまで傾向であり、対策しだいで結果は変わります。

向いている人
避けたほうがいい人
小さな子どもがいる子育て世帯
防犯・プライバシーを最優先したい人
家賃をできるだけ抑えたい人
一人暮らしで在宅時間が長い女性
高齢の方や、車の乗り降りが多い人
虫がとても苦手な人
庭・家庭菜園を楽しみたい人
日当たり・眺望を重視する人

1階物件を内見・契約する前にチェックすべきポイント

1階の当たり外れは、内見時にどこまで見られるかで大きく変わります。当社でも次の点は必ず確認をおすすめしています。

防犯設備がそろっているか

面格子やシャッター、録画付きインターホン、宅配ボックス、オートロックなどの有無を確認します。マンションによっては、1階のバルコニーや掃き出し窓の前に、外部からよじ登れないようにする侵入防止用の格子が設置されている物件もあります。こうした設備がある1階は、防犯面の不安をかなり抑えられます。設備の有無は募集図面だけでは分かりにくいため、内見時に実物で確認するのが確実です。

周辺環境を歩いて確認する

防犯と虫の両方に関わるのが周辺環境です。人通りや夜間の明るさ、部屋を外から見たときの見え方に加えて、近くに河川・公園・飲食店・コンビニがないか、ゴミ置き場が清潔に保たれているかを歩いて確かめておくと、入居後のギャップを減らせます。

湿気・日当たりを内見時に体感する

部屋に入ったときのにおいや空気のこもり方、窓を開けたときの風の通り、日中の採光を確認します。押し入れやクローゼットの内部、水回りの隅にカビの跡がないかも見ておくと、湿気のこもりやすさの目安になります。

ハザードマップで水害リスクを確認する

注意

1階は水害の影響を受けやすいため、立地の確認は必須です。国土交通省のハザードマップポータルサイトで、物件の住所を入力し、浸水想定区域や想定される浸水の深さを事前に調べておきましょう。川や低地の近くの1階は、特に慎重な判断をおすすめします。

参考:国土交通省 ハザードマップポータルサイト

1階でも快適に暮らすための対策

1階のデメリットの多くは、入居前後の工夫でかなり軽減できます。

防犯対策

窓に補助錠や防犯フィルムを追加し、玄関先に人感センサー付きライトを設置すると、侵入の抑止につながります。外からの視線が気になる窓には、レースカーテンや目隠しフィルム、背の高い植栽での対策が有効です。補助錠やフィルムの取り付けは、賃貸では管理会社・貸主の許可が必要な場合があるため、事前に確認しておきましょう。

虫対策

侵入経路をふさぐのが基本です。エアコンのドレンホース先端に防虫キャップを付け、配管まわりや網戸の隙間をパテやテープで埋めます。入居前で家具が入っていないタイミングでくん煙剤・くん蒸剤を使っておくと効果的です。集合住宅では近隣への配慮が必要なため、煙が出にくいタイプを選ぶと安心です。

湿気対策

こまめな換気と除湿機・サーキュレーターの活用で、湿気のこもりを抑えられます。押し入れやクローゼットには除湿剤を置き、家具は壁から少し離して配置すると、カビの発生を抑えやすくなります。

なお、1階は上階より空室期間が長くなりやすいぶん、家賃や初期費用の交渉余地が生まれやすい部屋でもあります。条件を整えたいときは、申込のタイミングで相談してみる価値があります。

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まとめ

  • 1階は「やめたほうがいい」と一律に言える部屋ではなく、向き・不向きが分かれる
  • 防犯は「1階だから危険」より、玄関・窓の侵入経路の近さと設備・対策で決まる
  • 虫は階数より周辺環境(河川・公園・飲食店・ゴミ置き場など)の影響が大きい
  • 家賃の割安さ、階下への音を気にしない安心感、出入りのしやすさは1階ならではの利点
  • 内見時の防犯設備・周辺環境・湿気の確認と、ハザードマップでの水害チェックが後悔を防ぐ鍵

よくある質問

Q. オートロック付きのマンションなら、1階でも防犯面は安心ですか?
オートロックは有効な設備ですが、住民や宅配業者と一緒に外部の人が入り込めるため、過信は禁物です。1階では、玄関・窓の施錠の徹底に加えて、面格子や補助錠、録画付きインターホンなど住戸側の対策を組み合わせることで、より安心して暮らせます。
Q. 女性の一人暮らしで1階は避けたほうがいいですか?
一概に避ける必要はありませんが、優先度は人によります。防犯やプライバシーを最優先したい方は、面格子・シャッター・録画付きインターホンなどがそろった物件を選ぶか、人通りと管理体制の良い建物に絞ると安心です。設備と周辺環境の条件を満たせば、1階でも十分に選択肢になります。
Q. 1階でも虫が出にくい物件はありますか?
あります。虫は階数よりも周辺環境の影響が大きいため、河川・公園・飲食店・緑地が近くにない立地で、ゴミ置き場の管理が行き届いた築浅寄りの物件を選ぶと、遭遇リスクを抑えられます。加えて、配管まわりや網戸の隙間をふさぐ入居時の対策も効果的です。
Q. 名古屋で1階の物件を探すとき、特に気をつけることは?
名古屋市内でも川や低地に近いエリアがあるため、まずはハザードマップで浸水リスクを確認することをおすすめします。そのうえで、防犯設備の有無と周辺環境を内見時にチェックすれば、割安さという1階のメリットを活かしやすくなります。エリアごとの事情は、地元の不動産会社に相談すると具体的に確認できます。

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執筆者
栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。