最終更新日:2025年5月13日
「鍵はいつもらえるの?」「引っ越し前日に受け取れないの?」——初めて賃貸を契約するとき、こんな疑問を持つ方はとても多いです。答えはシンプルで、鍵が受け取れるのは契約書に記載された契約開始日(=家賃発生日)からです。ただ、「じゃあ当日の朝一番でもらえるの?」「不動産会社が休みの日はどうなる?」など、実際の場面では疑問がいくつも出てきます。
この記事では、名古屋で1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた宅地建物取引士が、鍵の受け取りに関するルールと、よくある「困った場面」への対処法を現場目線で解説します。

賃貸の鍵がもらえるのは「契約開始日」から
賃貸借契約書には必ず「契約期間の開始日」が記載されています。この日が家賃の発生日であり、入居者として部屋を使用できる最初の日です。鍵の受け渡しは、この契約開始日から行われるのが原則です。
たとえば「4月1日〜3月31日」と契約書に記載があれば、4月1日から鍵を受け取ることができます。逆に、それより前に鍵を手にして部屋に入ることは、原則として認められていません。
鍵の受け渡しは契約開始日(=家賃発生日)からが原則。それ以前に部屋に入ることは、火災保険の適用外になるリスクや、場合によっては無断使用とみなされるリスクがあります。
なぜ契約開始日より前には渡せないのか?
理由は主に2つあります。
①火災保険の問題:火災保険や家財保険は契約開始日から効力が発生します。それ以前に部屋に入って万が一火災や水漏れが起きても、保険が適用されません。入居者にとっても大きなリスクです。
②貸主・管理会社の責任の問題:契約開始前に入居者が部屋を使用した場合、その期間中に発生したトラブルの責任の所在が曖昧になります。管理会社の立場からも、リスク管理のために「契約開始日以前の引き渡しはNG」としているケースがほとんどです。
当社(マチラボ)にも「前日に荷物を搬入したいので、鍵を1日早くもらえないか」というご要望をお客様からよくいただきます。しかし、管理会社から「契約開始日より前には絶対に渡さないように」と注意喚起されているため、お断りせざるを得ません。お気持ちはよくわかるのですが、これはルールとしてご理解いただく必要があります。
鍵はどこで・何時からもらえる?
鍵の受け渡し場所は、原則として仲介した不動産会社の店舗です。管理会社が別にいる場合でも、通常は仲介会社が一時的に鍵を預かり、入居者に手渡します。
何時から受け取れるか:営業時間に左右される
鍵を受け取れる時間は、不動産会社の営業開始時刻に依存します。たとえばマチラボでは朝9時からお渡しが可能です。引っ越し業者が8時に来るのに、不動産会社が10時開店では間に合いません。引っ越しのスケジュールを組む前に、必ず不動産会社の営業時間を確認しておきましょう。
- 鍵の受け取り場所:仲介した不動産会社の店舗(原則)
- 受け取り可能な時間:不動産会社の営業開始時刻〜営業終了時刻(原則)
受け取り時に必要なもの
鍵の受け取りには認印(シャチハタ不可の場合あり)が必要なケースが多いです。「鍵受領証」に署名・捺印を求められる場合があるため、認印を持っていくとよいでしょう。また、身分証明書(運転免許証など)の提示を求められることもあります。事前に担当者に確認しておくと安心です。
契約開始日に取りに行けない場合はどうする?
契約開始日に必ず取りに行かなければいけない?
契約開始日以降であれば、いつでも受け取りに行けます。「4月1日が契約開始日だけど実際の引っ越しは4月5日」という場合は、4月5日に鍵を取りに行けばOKです(ただし、4月1日から家賃は発生していることにご注意ください)。受け取りに行く際は、事前に不動産会社へ連絡を入れておくとスムーズです。
代理人が受け取ることは可能か
どうしても本人が行けない場合は、代理人による受け取りも可能です。事前に不動産会社に誰が取りに行くかを連絡してください。また、身分証明書の提示が必要なことが多いです。
手続きが煩雑になるため、可能な限り本人が受け取りに行くことをおすすめします。
前日に鍵をもらうことはできる?
結論から言うと、原則として前日の受け渡しはできません。ただし、例外が2つあります。
例外①:引っ越し当日の朝が早すぎる場合
「引っ越し業者が朝7時に来るが、不動産会社は9時開店」といったケースでは、前日の夕方に鍵を受け取ることを認めてもらえる場合があります。ただし、これは不動産会社(または管理会社・オーナー)の判断によります。了承してもらえる可能性は低く、認めてもらった場合でも「前日に部屋に入らない」という念書を書かされるケースもあります。
例外②:仲介会社が管理会社・貸主を兼ねている場合
仲介した不動産会社が、その物件の管理も行っている(いわゆる「自社管理物件」)場合は、例外的に前日渡しを認めてもらえる可能性があります。ただし、あくまで相談ベースであり、必ず認められるとは限りません。
「荷物を搬入したいから前日に鍵をもらいたい」という場合、仮に鍵を受け取れても、部屋に入れるのは契約開始日からです。前日に鍵を受け取っても、前日に荷物を入れることはできません。鍵の受け取りと部屋への入室可能日は別の話です。
荷物搬入・部屋の清掃を契約前にしたい場合はどうする?
「入居前に採寸をしたい」「掃除を済ませてから引っ越したい」という方は少なくありません。この場合は、「荷物を搬入する日」や「掃除する日」を契約開始日にするのが最もシンプルな解決策です。
たとえば荷物搬入や事前清掃を3月31日にしたいなら、契約開始日を3月31日にすることで、その日から合法的に部屋を使用できます。実際の引っ越し(荷物の本格的な搬入)はそれ以降の都合のよい日にすればよいのです。
また、採寸や確認程度であれば、不動産会社に「鍵の一時貸し出し」をお願いするという方法もあります。適切な理由(採寸・カーテンのサイズ確認など)があれば、同日の営業時間内に返却することを条件に対応してもらえる場合があります。ただし、これも管理会社の許可が必要であり、必ず認められるとは限りません。
鍵を郵送してもらうことはできる?
遠方からの引っ越しなどで、鍵を取りに行くことが難しい場合は、不動産会社に郵送を相談することができます。ただし、郵送対応の可否は会社によって異なります。
郵送には郵便事故・遅延のリスクがあります。転居届を出していた場合に配送先が変わってしまったり、連休をはさんで届くのが翌々日になったりするケースも実際に起きています。鍵の郵送は、実際に部屋に入る日まで1週間以上の余裕がある場合に限り検討することをおすすめします。それより日程が詰まっている場合は、来店受け取りを強くおすすめします。
不動産会社が休みの日は鍵をもらえない
鍵の受け渡しは不動産会社が営業していることが前提です。そのため、以下の期間は注意が必要です。
- 定休日(水曜・火曜が多い):不動産会社の多くは平日に1日定休日を設けています
- ゴールデンウィーク(GW):管理会社も休業することが多く、鍵渡しができないケースがあります
- お盆(夏季休暇):会社により異なりますが、数日〜1週間程度休業する場合があります
- 年末年始:特に注意が必要(下記参照)
年末年始の契約開始日設定には要注意
年末年始は、不動産会社だけでなく管理会社や保証会社も休業します。この期間は手続きが完全にストップするため、年末年始をまたいだ契約開始日の設定はできないことがほとんどです。「12月31日から入居したい」「1月2日が契約開始日」といったケースは、管理会社の休業を理由に受け付けてもらえない可能性が高いため、入居スケジュールを組む際は注意してください。
スマートロック物件は来店不要で鍵を受け取れる
最新のスマートロックシステムを採用したマンションでは、入居者への鍵の受け渡しはメールやアプリでのデジタルキー発行によって行われるため、不動産会社への来店が不要です。
ただし、システム上、鍵(デジタルキー)が有効になるのは契約開始日からです。「スマートロックだから前日から開けられる」というわけではなく、ここでも契約開始日が基本ルールとなります。
スマートロック物件のメリットは「来店不要で鍵を受け取れる」こと。引っ越し業者が来る前に自分でデジタルキーを受け取り、当日スムーズに対応できるのは大きな利点です。ただし、アプリの設定やスマートフォンの充電切れなどのトラブルに備え、事前に動作確認をしておきましょう。
賃貸契約前に部屋へ入った場合の責任はどうなる?貸主・管理会社の立場から解説
まとめ:賃貸の鍵受け取りで知っておくべきこと
- 鍵がもらえるのは契約開始日(=家賃発生日)からが原則
- 受け取り場所は仲介した不動産会社の店舗が基本。営業時間内に来店する
- 受け取り時には認印と身分証明書を持参しておくと安心
- 前日受け取りは原則NG。引っ越しが早朝の場合などに限り相談可能なことがある
- 荷物搬入・事前清掃をしたい場合は、その日を契約開始日に設定するのが確実
- 郵送対応は可能な場合もあるが、郵便事故・遅延リスクがあるため非推奨
- 定休日・GW・お盆・年末年始は鍵渡し不可のことが多いため注意
- スマートロック物件は来店不要だが、入室可能日は契約開始日から変わらない
