賃貸物件での民泊利用は、原則としてできません。当社にもSUUMOやHOMESからの問い合わせを含め、「民泊に使える賃貸物件を探している」というご連絡を一定数いただきます。結論として、当社が扱っている賃貸物件で民泊利用が認められている物件を見たことがありません。
この記事では、なぜ賃貸物件で民泊ができないのか、法的な根拠・契約上の問題・無許可で行った場合のリスクを整理し、民泊を検討している方が次に取るべき行動までを解説します。

最終更新日:2026年05月29日
賃貸物件で民泊はできるか
結論から言います。一般的な賃貸物件では、民泊利用はできません。
理由は大きく2つあります。①住宅宿泊事業の届出に貸主の承諾書類が必要、②賃貸借契約の使用目的に反する、という点です。この2点はセットで理解する必要があります。
- 住宅宿泊事業(民泊新法)の届出には、貸主の承諾書類が必要
- 居住用の賃貸借契約で民泊を行うことは、使用目的違反・事業利用・転貸に近い扱い
- 最近の賃貸借契約書では、民泊利用を明確に禁止している条項が増えている
- 無許可で行えば契約違反として退去を求められる可能性がある
「民泊」とは何か
民泊とは、住宅に宿泊料を受け取って人を泊める事業のことです。2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)により、民泊を行うには都道府県知事への届出が必要となりました。年間180日以内の営業が認められ、180日を超える場合は旅館業法の許可が必要です。
Airbnbや各種民泊サービスへの掲載を通じて収益を得るビジネスモデルが広まり、賃貸物件を借りて民泊に利用したいという問い合わせが増えています。
賃貸物件で民泊できない理由①|届出に貸主の承諾書類が必要
住宅宿泊事業を始めるには、都道府県知事に届出をする必要があります。この届出に必要な添付書類のなかに、賃借人が届出をする場合、貸主の承諾書類が明示的に求められています。
観光庁の民泊制度ポータルサイトでは、届出の添付書類として以下が定められています。
- 届出者が賃借人の場合:「賃貸人が承諾したことを証する書類」
- 届出者が転借人の場合:「賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類」
また、賃貸借契約書に民泊利用の承諾が明記されていない場合は、別途、賃貸人が住宅宿泊事業を行うことを承諾した書類が必要とされています。
つまり、貸主の承諾なしでは届出手続きそのものが成立しません。正式な届出なしに民泊営業を行えば、住宅宿泊事業法違反となり、100万円以下の罰則の対象になります。
賃貸物件で民泊できない理由②|賃貸借契約の使用目的に反する
一般的な居住用の賃貸借契約は、「入居者本人が住むため」に締結される契約です。民泊利用は、この使用目的から外れる行為にあたります。
民泊が「契約違反」になる3つの理由
- 使用目的の変更:「居住用」として借りた部屋を「宿泊業」に使う行為は、契約で定めた使用目的の変更にあたります
- 事業利用:不特定多数の宿泊者を泊めて収益を得ることは、居住用賃貸借契約の範囲外の事業行為です
- 転貸・又貸しに近い扱い:宿泊者を一時的に泊める行為は、貸主の承諾なく第三者を住まわせる転貸に近い法的評価を受けます
これらの理由から、貸主や管理会社が民泊利用を認めることは、実務上ほぼありません。貸主の立場で考えると、民泊を認めることによるメリットよりも、他の入居者からのクレーム・共用部分の汚損・退去後の原状回復コスト増・次の入居募集への影響といったデメリットの方が大きく、承諾する合理的な理由がないのです。最近の賃貸借契約書では、民泊利用・Airbnb等の宿泊仲介サービスの利用を明確に禁止する条項が盛り込まれていることが多くなっています。
「契約書に民泊禁止と書いていないから大丈夫」とは言えません。民泊は「使用目的の変更」「事業利用」「転貸」のいずれかに該当する可能性があり、明示的な禁止条項がなくても契約違反になりえます。
無許可で民泊利用した場合のリスク
貸主の許可を取らずに、あるいは届出なしに民泊を行った場合のリスクは複数あります。
- 契約解除・退去要求:契約違反として、貸主から契約を解除され、退去を求められる可能性があります
- 損害賠償請求:無断転貸・使用目的違反による損害(原状回復費用の増大、空室損害など)について賠償を求められる場合があります
- 住宅宿泊事業法違反の罰則:届出なしに民泊営業を行った場合、100万円以下の罰金の対象となります(住宅宿泊事業法第67条)
- 近隣トラブルの責任:宿泊者による騒音・ゴミ・迷惑行為が発生した場合、借主が管理責任を問われます
- 保険の適用外:居住用として加入している火災保険・家財保険が、民泊利用中の事故に適用されない場合があります
「少しの期間だけ」「バレなければ大丈夫」という考えは非常に危険です。Airbnbなどの宿泊仲介サイトへの掲載は公開情報であり、貸主・管理会社が発見するケースは珍しくありません。発覚した場合は即日退去を求められることもあります。
分譲賃貸でも民泊は認められないことがほとんど
分譲マンションをオーナーが賃貸に出している「分譲賃貸」についても、民泊利用はほぼ認められていません。理由は2段階あります。
① 貸主(オーナー)が許可しない
分譲賃貸であっても、貸主が居住目的で貸し出している以上、民泊利用には貸主の承諾が必要です。民泊を認めることで生じる部屋の傷み・トラブルリスク・近隣への影響を考えると、貸主が承諾するケースは極めてまれです。
② マンションの管理規約で禁止されていることが多い
分譲マンションには管理組合が定める管理規約があります。多くのマンションの管理規約では、民泊・宿泊業・不特定多数の者の出入りを伴う行為が禁止されています。オーナーが個人的に承諾していたとしても、管理規約に違反する場合は、管理組合から使用禁止を求められる可能性があります。
| 物件タイプ | 貸主の承諾 | 管理規約の制限 | 実態 |
|---|---|---|---|
| 一般賃貸(アパート等) | ほぼ得られない | 管理会社の方針による | 民泊不可 |
| 分譲賃貸(マンション) | ほぼ得られない | 管理規約で禁止が多い | 民泊不可 |
| 民泊専用物件 | 承諾済み | 対応済み | 民泊可 |
一般的な賃貸仲介会社に民泊用途で問い合わせても対応してもらえない
民泊利用を目的として一般の賃貸仲介会社に問い合わせをしても、ほぼ対応してもらえません。これは冷たい対応ではなく、そもそも民泊が可能な物件を一般の賃貸仲介会社は取り扱っていないからです。
当社でも、SUUMOやHOMESからの問い合わせフォームを通じて「民泊に使いたい」「Airbnb向けに借りたい」というお問い合わせをいただくことがあります。大変恐縮ですが、当社が扱っている賃貸物件で民泊利用が認められている物件を見たことがなく、ご希望に沿うことができません。
民泊利用が可能な物件を探す場合は、民泊専門の不動産業者・管理会社に相談することをおすすめします。民泊対応物件の情報を持っており、届出手続きのサポートをしてくれる業者も存在します。一般賃貸の仲介会社への問い合わせは、双方にとって時間のロスになります。
民泊利用が可能になるための条件
可能性としてゼロではありませんが、民泊利用が認められるためには以下の条件がすべて揃う必要があります。
- 貸主が民泊利用を明示的に承諾している(口頭ではなく書面で)
- マンションの管理規約で民泊が禁止されていない(分譲マンションの場合)
- 住宅宿泊事業として都道府県への届出が完了している
- 自治体の条例・区域制限に抵触していない(地域によっては民泊ができない区域がある)
- 消防法・建築基準法上の要件を満たしている
これらをすべてクリアした物件は、一般的な賃貸市場にはほとんど出回っていません。民泊営業を目的とするなら、最初から民泊対応物件を専門とする業者を通じて探すのが現実的です。
自治体によっては、住居専用地域での民泊を週末のみに制限したり、特定の区域での民泊を全面禁止にしている場合があります。物件の立地・用途地域・自治体の条例も確認が必要です。
「民泊ができる物件」を探す場合の正しい方法
民泊利用を目的として物件を探す場合、一般の賃貸情報サイトや賃貸仲介会社への問い合わせではなく、以下の方法が適切です。
- 民泊専門の不動産業者・管理会社に相談する:民泊対応物件の情報を持ち、届出サポートまで行う専門業者が存在します
- 住宅宿泊管理業者に相談する:観光庁登録の住宅宿泊管理業者は、民泊運営に必要な手続きと物件確保を一括してサポートできます
- 物件オーナーへの直接交渉:一棟まるごとのオーナー物件で、民泊利用を理解しているオーナーと直接交渉するケースもあります(ただし管理規約・届出要件は別途確認必要)
観光庁の民泊制度ポータルサイトでは、住宅宿泊事業の届出手続きや関係法令の情報が公開されています。民泊を検討している方は必ず確認してください。
よくある質問
まとめ
- 一般的な賃貸物件での民泊利用は、貸主の承諾がなければ原則できない
- 住宅宿泊事業法の届出には「貸主の承諾書類」が必要。承諾なしでは届出自体が成立しない
- 居住用賃貸借契約での民泊は、使用目的の変更・事業利用・転貸に近い扱いとなり契約違反
- 最近の契約書では民泊利用を明確に禁止する条項が増えている
- 無許可の民泊は、契約解除・損害賠償・住宅宿泊事業法違反(100万円以下の罰金)のリスクがある
- 分譲賃貸も同様。貸主の不許可に加え、マンション管理規約でも禁止されているケースが多い
- 一般の賃貸仲介会社に民泊用途で問い合わせても、対応できる物件がないためお断りすることになる
- 民泊利用が可能な物件を探すには、民泊専門業者・住宅宿泊管理業者への相談が適切
