「仲介手数料無料」と書かれた会社に問い合わせても、狙っていた物件が無料の対象にならないことがあります。仲介手数料が無料になるかどうかは会社の方針だけで決まるのではなく、物件ごとの募集条件によって変わるためです。
この記事では、名古屋の賃貸仲介の現場での実務経験をもとに、仲介手数料が無料になりやすい物件・無料にできない物件の特徴と見分け方、そして無料にならなかったときにできることを、不動産会社の立場から解説します。

最終更新日:2026年07月09日
仲介手数料が無料になるかは物件ごとに決まる
結論からお伝えすると、仲介手数料が無料になるかどうかは、物件ごとの募集条件によって決まります。そのため、仲介手数料無料をうたっている会社であっても、すべての物件を無料にできるわけではなく、無料にできる物件と仲介手数料が発生する物件が混在します。
できる物件とできない物件が分かれるのは、貸主・管理会社が仲介会社に募集の対価(手数料)を支払っているかどうかが物件ごとに違うためです。貸主側から手数料が支払われる物件であれば、会社は借主から仲介手数料をいただかなくても業務の対価を確保できるため、無料にできます。一方、貸主側から手数料が支払われない物件を無料にしてしまうと、仲介会社は報酬をどこからも受け取れず、いわばただ働きになってしまいます。この場合は借主から仲介手数料を受け取らないと業務が成り立ちません。
実際に仲介手数料が無料になるには、「仲介手数料無料をうたう会社であること」と「その物件が貸主負担の募集条件になっていること」の両方が必要です。どちらか一方だけでは無料になりません。会社選びと物件選びの両面を見ることが大切です。
無料になる仕組みそのもの(貸主負担の背景や、なぜ無料でも経営が成り立つのか)については、別記事でくわしく解説しています。
賃貸の仲介手数料無料のからくりとは?仕組みとデメリットを解説
仲介手数料が無料になりやすい物件の特徴
私の経験上、次のような条件の物件では、貸主・管理会社が仲介会社に報酬を支払う募集形態が採られていることが多く、仲介手数料無料になりやすい傾向があります。
空室期間を早く埋めたい物件
すでに空室になっており、早期の入居を優先している物件は、仲介会社への報酬が設定されているケースが多く見られます。空室が長引くほど貸主の家賃収入の機会損失は大きくなるため、報酬を出してでも早く客付けを進めたいという考え方です。退去予定が出てから時間が経った物件ほど、この傾向が強くなります。
同条件の競合物件が多いエリアの物件
名古屋市内は賃貸物件の供給数が多く、エリアによっては同じ家賃帯・同じ間取りの物件が数多く存在します。競争が激しい環境では、他の物件より早く選んでもらうために、貸主・管理会社が仲介会社への報酬を設定して募集するケースが増えます。結果として、こうしたエリアでは仲介手数料無料でご案内できる物件が多くなります。
名古屋は入居希望者の数に対して物件の供給が多く、空室を抱える貸主が早期入居を求めて仲介会社に報酬を支払う地域です。当社が取り扱う物件でも、おおよそ8割ほどは仲介手数料無料でご案内できています。
仲介手数料を無料にできない物件もある
仲介手数料無料は、すべての賃貸物件に無条件で適用できる仕組みではありません。貸主側からの報酬が得られない物件では、借主から仲介手数料をいただく必要が生じます。名古屋の現場で実際に見られる、無料にできないケースを整理します。
募集開始直後で、まだ退去前の物件
入居者が住んでいて、これから退去する予定の物件は、貸主側がまだ成約を急いでいないことが多く、仲介会社への追加報酬を設定しないケースがあります。時間的な余裕がある段階では貸主負担の条件が付きにくいため、この時期は仲介手数料が発生することがあります。
特定の管理会社が一律の方針を敷いている物件
管理会社によっては、仲介会社への報酬条件を物件ごとではなく一律で決めている場合があります。この場合、物件の条件にかかわらず貸主負担の募集にならないため、仲介手数料無料が認められないことがあります。管理会社が入居後の窓口として重要な存在である点は、あわせて知っておくとよいでしょう。
賃貸物件の管理会社とは。違いや良い管理会社の見分け方を不動産会社が解説
専任募集で条件を動かせない物件
特定の不動産会社だけが仲介できる専任物件では、その会社の方針で募集条件が決まっており、他社が条件を変更できないケースがほとんどです。専任先が借主から仲介手数料を受け取る方針であれば、無料にする余地は生まれにくくなります。
短期解約前提など特殊な契約条件の物件
短期での解約が前提となっている物件など、長期的な賃料収入が見込みにくい物件では、貸主・管理会社がコストを抑える目的で仲介会社への報酬を設定しないことがあります。契約形態が特殊な物件は、貸主負担の募集になりにくい傾向があります。
名古屋市外など地域的な要因で難しい物件
都市部以外のエリアでは賃貸物件数が少なく、仲介会社が年間に契約できる件数も限られます。加えて賃料水準が低い傾向にあることも多く、「契約件数が少ない」「1件あたりの報酬も少額になりやすい」という事情が重なることで、貸主側の報酬だけで業務を続けることが構造的に難しくなります。
これは不動産会社の方針や努力の問題ではなく、地域の市場規模や賃料水準による構造的な要因です。当社でも、名古屋市内の物件は仲介手数料無料でご案内できるケースが多い一方、市外の物件は無料対応が難しい物件も少なくないのが実情です。
無料にできない物件だったときにできること
希望の物件が仲介手数料無料の対象にならなかった場合でも、初期費用を抑える方法はあります。
先に無料の物件から探す
物件を先に決めてから会社を選ぶのではなく、仲介手数料無料でご案内できる物件の中から希望条件に合うものを探す方法です。名古屋市内は貸主負担の物件が多いため、条件を大きく妥協しなくても無料の物件が見つかることは少なくありません。気になる物件が無料の対象かどうかは、問い合わせの段階で確認できます。
初期費用の総額で比較する
仲介手数料が発生する物件でも、礼金や保証会社利用料など他の費用を含めた総額で見れば、別の無料物件より安く収まることもあります。仲介手数料の有無だけで判断せず、初期費用の総額で比べることが大切です。当社では、契約前に初期費用の概算をお出しする事前見積もりのサービスを行っており、総額での比較に役立てていただけます。
仲介手数料が発生する場合でも、その有無や金額を事前に明確に伝えてくれる会社を選ぶと安心です。仲介手数料そのものの相場や上限、誰が払うのかについては、別記事で解説しています。
賃貸の仲介手数料とは?相場・上限・誰が払うのかを不動産会社が解説
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 仲介手数料が無料になるかは、会社の方針だけでなく物件ごとの募集条件で決まる
- 貸主・管理会社が仲介会社に報酬を支払う物件は、借主の仲介手数料を無料にできる
- 空室を早く埋めたい物件・競合が多いエリアの物件は無料になりやすい
- 退去前で募集直後の物件、特定管理会社の一律方針、専任募集、短期解約前提の物件は無料にできないことがある
- 名古屋市外など物件数が少なく賃料が低い地域は、構造的に無料対応が難しい
- 希望物件が無料でない場合も、先に無料物件から探す・初期費用の総額で比較するといった方法がある

