同棲を始めるにあたって、どの間取りを選べばいいのか悩む方は多いです。
「1LDKで足りるのか」「2LDKの方がいいのか」「どのくらいの広さが必要なのか」など、間取り選びはその後の生活の快適さに直結します。
一方で、同棲の場合は間取りだけでなく、入居審査や申込方法にも注意が必要です。
単身での部屋探しとは異なり、名義人の選び方や収入の見られ方によっては、審査に通らないケースもあります。
この記事では、同棲におすすめの間取りや広さの目安に加えて、審査や申込のポイントまで、実務的な視点からわかりやすく解説します。

同棲の一般的な意味
同棲とは、結婚していないカップルが、同じ賃貸物件に入居し、一つの住居で生活を共にすることをいいます。
ここでいう同棲はあくまで一般的な呼び方であり、契約上の正式な用語ではありません。
本記事では「同棲」とは、まだ入籍していない男女(カップル)が、同一の賃貸物件に入居し、共同生活を送ることを意味します。
なお、法律上の婚姻関係は前提とせず、あくまで未婚の二人での居住を指す用語として使用します。
同棲のお部屋の探し方
同棲のお部屋探しは、一人で入居する場合とは異なり、二人で生活することを前提に条件を整理しながら進める必要があります。
単身の場合は自分一人の希望で判断できますが、同棲では家賃・エリア・間取りなどを二人で調整する必要があるため、優先順位を明確にすることが重要です。
① 二人入居できるかを確認する
同棲の場合は二人での入居となるため、二人入居可とされている物件を選ぶ必要があります。
SUUMOなどの情報サイトでは『2人入居可』で絞り込みをすることができます。
二人入居不可の物件では、契約違反となる可能性があるため注意が必要です。
なお、入籍していない場合でも、二人入居可の物件であれば基本的には問題なく借りることができます。
実務上の傾向としては、二人入居可の物件の90%以上は、未入籍のカップルでも契約可能です。
ただし一部の物件では、婚約中であることや親族関係を求められるケースもあるため、事前の確認は必要です。
「二人入居可」の記載がなくても、実際には入居できる物件も多い
同棲の場合は二人入居可の物件を選ぶのが基本ですが、募集サイト上に「二人入居可」と記載がない物件でも、実際には入居できるケースは少なくありません。
特に30㎡以上で1LDK以上の物件については、単身専用として明確に制限されていない限り、二人入居が可能な場合が多いのが実務上の傾向です。
また、募集資料上に「二人入居可」と記載がない理由として、単に記載していないだけや、入力漏れといったケースも多数存在します。
ただし、掲載情報だけでは最終判断はできず、入居可否は管理会社や貸主の判断となります。
そのため、気になる物件があれば、不動産会社に事前に確認することが重要です。
②条件(家賃・エリア)を決める
同棲の場合は、収入合算ができず、契約名義人のみの収入で審査となるケースがほとんどです。
そのため、二人の合計収入で家賃を決めてしまうと、審査に通らないリスクがあります。
例えば、二人で月収40万円あっても、名義人が20万円の場合は「家賃7万円台が上限」と判断されることもあります。
目安としては、契約名義人の収入に対して、家賃は手取りの3分の1以内に収めるのが現実的です。
また、勤務形態や勤続年数によっても審査結果は変わるため、収入だけでなく安定性も見られる点に注意が必要です。
エリア選びについても重要で、双方の通勤利便性を考慮しないと、どちらかに負担が偏りやすくなります。
③間取りと広さで絞り込む
同棲の部屋探しでは、間取りと広さで絞り込むことが重要です。
広さは最低でも35㎡以上、間取りは1LDK以上を目安にするのがよいでしょう。
30㎡前後の1LDKも存在しますが、実際にはリビングと居室が狭く、二人で生活すると圧迫感が出やすくなります。
そのため、ストレスなく生活するには40㎡以上を一つの基準にするのがおすすめです。
広くなればなるほど家賃は上がりますが、生活の快適さに直結する部分のため、優先度は高い項目です。
特に在宅時間が長い場合や、生活リズムが異なる場合は、空間を分けられるかどうかが重要になります。
また、収納スペースも二人分必要になるため、専有面積だけでなく収納の有無や広さも確認する必要があります。
④同棲に適した設備か
キッチンが単身向け仕様であったり、トイレと洗面が一緒になっている物件など、二人で生活するには向いていない設備もあります。
例えば、1口コンロや調理スペースが極端に狭いキッチンでは、二人での自炊がしづらく、日常的に不便を感じやすくなります。
また、ユニットバス(トイレ・洗面・浴室が一体)の場合は、どちらかが使用している間は他の人が使えず、生活リズムが合わないとストレスになりやすいです。
さらに、洗面台が独立していない、収納が少ない、エアコンが1台しかないといった点も、二人暮らしでは不便になりやすいポイントです。
これらは一人暮らしでは問題になりにくいですが、二人になることで使い勝手の悪さが顕在化します。
そのため、設備は「住めるか」ではなく、「二人で無理なく使えるか」という視点で確認することが重要です。
同棲の入居申し込みはどうする?
同棲で賃貸物件に申し込む場合は、二人のうちどちらか一人を申込名義人にし、もう一人は同居人として申し込みます。
契約も基本的には一人が借主となるため、まずはどちらを申込名義人にするかを決める必要があります。
申込名義人は、収入が高い方だけでなく、勤務先や雇用形態が安定している方を選ぶのが基本です。
未婚カップルの審査では、二人の関係が変わった場合でも、申込名義人が一人で家賃を払えるかを見られやすいためです。
また、クレジットカードの滞納歴や家賃滞納歴がある方を申込名義人にすると、保証会社の審査で不利になることがあります。
そのため、年収だけではなく、信用情報も含めて申込名義人を決めた方がよいでしょう。
二人の関係を記載する続柄欄がある場合は、婚約している場合は「婚約者」と記入することで、単なるルームシェアではなく、将来の結婚を前提とした入居として受け取られ、審査上プラスに働くことがあります。
物件によっては、未婚カップルの入居に慎重な貸主や管理会社もあります。
そのため、気になる物件が見つかったら、申し込み前に「同棲での入居が可能か」「未婚カップルでも問題ないか」を確認しておくことが大切です。
関連記事:賃貸の申込とは?必要書類・流れ・キャンセルできるかをわかりやすく解説
同棲の賃貸審査の基本
同棲で賃貸物件に申し込む場合、審査はまず借主となる申込名義人の属性を中心に行われます。
契約も一人名義になるため、審査もその人単体で判断されるのが基本です。
同棲の場合は、入籍している夫婦と異なり、関係が短期間で解消される可能性があると見られます。
仮にどちらか一人になった場合でも、家賃を支払い続けられるかという視点で審査されます。
つまり、二人で払えば問題ないという考えではなく、「名義人一人で成立するか」が最も重要なポイントです。
また、名義人だけでなく同居人がどういう人かも確認されます。
同居人の収入状況や勤務先、生活実態によっては、トラブルリスクや支払いリスクがあると判断されることがあるためです。
ここでは同棲の入居審査におけるポイントを説明します。
関連記事:賃貸の入居審査の流れ・必要書類・結果がでるまでの期間を賃貸仲介のプロがわかりやすく解説
収入面の審査
審査の中心となるのは、保証会社による支払い能力のチェックです。
主に見られるのは次の点です。
年収と家賃のバランス
勤務先や雇用形態(正社員・契約社員など)
勤続年数
過去の滞納歴(家賃・クレジットなど)
特に重要なのは、家賃に対して収入が見合っているかです。
目安としては、家賃は手取りの3分の1以内、もしくは年収の30%前後に収まっているかが判断基準になります。
収入合算について
同棲の場合、二人の収入を合算して審査するケースは少なく、二人で払えるかではなく申込名義人一人で家賃を支払い続けられるかが重視されます。
理由はシンプルで、二人の関係が継続する保証がないためです。
一方で、入籍している夫婦の場合は世帯としての安定性があると判断されやすく、二人の収入を合算して審査されるケースもあります。
ただし、同棲でも例外的に合算に近い形で評価されるケースはあります。
例えば、もう一方の人を連帯保証人として設定し、支払い能力を補完するようなケースです。
ただ、このような対応が認められる物件や保証会社は限られており、実務上はそれほど多くありません。
同棲での審査は原則は申込名義人一人で審査されるため、申込名義人となる方の収入が重要となります。
必要書類
審査に際しては、本人確認と支払い能力の確認のため、各種書類の提出が必須となります。
特に身分証明書はすべてのケースで必要となり、提出できない場合は申し込み自体が進みません。
必ず必要な書類
・申込者の身分証明書
(マイナンバーカードまたは運転免許証)
本人確認のために必須となる書類です。
住所・氏名・生年月日を確認する目的で使用されます。
物件や保証会社によって必要な書類
申込者(契約者)
・収入証明
(源泉徴収票、直近3か月分の給与明細、確定申告書など)
→ 家賃を支払えるかを確認するための書類です。
・健康保険の資格確認書
→ 勤務先や雇用形態の裏付けとして見られることがあります。
同居者
・身分証明書
(マイナンバーカードまたは運転免許証)
→ 入居者全員の本人確認のために求められます。
・勤務先を証明できる書類
(給与明細など)
→ 同居者の収入状況や生活実態の確認として提出を求められる場合があります。
・健康保険の資格確認書
→ 申込者と同様に、勤務実態の確認として使われることがあります。
同棲の場合は、申込者だけでなく同居者についても書類提出を求められるケースが多くなります。
これは、実際に誰が住むのか、どのような収入状況なのかを管理会社や保証会社が確認するためです。
また、書類に不備があると審査が止まることがあるため、事前に準備しておくとスムーズに進みます。
申込名義人だけではなく同居者の属性も見られる
申込名義人だけではなく、同居者の属性も確認されます。
同居者がどのような人物かによって、トラブルリスクや入居後の生活実態が大きく変わるためです。
例えば、
・無職
・収入不明
・勤務先や身元がはっきりしない
このような場合は、生活の安定性に不安があると判断され、審査にマイナスとなることがあります。
また、収入面だけでなく、共同生活をするうえでマナーを守れるかどうかという点も見られています。
申込内容の不自然さなどから、近隣トラブルのリスクがあると判断されるケースもあります。
さらに、職業の内容によっては、物件や管理会社の方針により入居に制限が設けられている場合もあります。
同棲の場合は二人で生活することになるため、申込名義人だけでなく同居者も含めて「問題なく入居後の生活ができるか」という視点で判断されるのが実務上の実態です。
入居理由の整合性
入居審査では、申込内容と入居理由に違和感がないかも確認されます。
内容に不自然な点があると、実態が伴っていないのではないかと判断され、審査に影響することがあります。
また、申込者だけではなく、同居人との整合性も見られることがあります。
勤務先や生活圏が大きく離れている場合などは、実際に継続して同居できるのか疑問を持たれることがあるためです。
例えば、
・申込者と同居人の勤務先がそれぞれ遠く、生活動線として不自然
・通勤時間が極端に長く、現実的ではない立地を選んでいる
・生活圏や行動パターンが一致していない
このような場合は、入居の実態や継続性に疑問を持たれ、追加確認や審査に影響することがあります。
そのため、申込内容は申込者単体だけでなく、同居人も含めて一貫性がある状態にしておくことが重要です。
同棲におすすめの間取りは?
同棲では、広さに余裕があるほど快適に生活できますが、その分家賃も上がります。
そのため、広さと家賃のバランスを考えて選ぶことが重要です。
最もバランスが良く、実際に選ばれることが多いのが1LDKです。
特に40㎡以上あると、リビングと寝室の両方にある程度の余裕ができ、2人でも無理なく生活できます。
一方で、予算に余裕がある場合は2LDKがおすすめです。
2LDKであれば部屋が2つあるため、寝室とは別にもう1部屋を使うことができます。
例えば、在宅ワーク用の部屋や、それぞれの個室として使うことも可能です。
生活空間を分けることで、お互いのパーソナルスペースを確保しやすくなり、距離感を保った生活ができます。
同棲では一緒に過ごす時間だけでなく、「一人の時間」を確保できるかどうかも重要で、結果として長く安定して暮らしやすくなります。
このように、
・コストとバランス重視 → 1LDK(40㎡以上)
・快適さ・長く続けたい → 2LDK
という基準で選ぶと失敗しにくくなります。
注意したい間取
1K
1Kは居室とキッチンが分かれている間取りですが、部屋は1つしかありません。
そのため、2人それぞれの生活スペースを分けることができません。
多くの1Kは25㎡前後とコンパクトで、2人で暮らすには手狭になりやすいです。
また、単身者向けの物件が中心のため、2人入居不可のケースも多く、そもそも選べないこともあります。
仮に35㎡以上で2人入居可能な物件であっても、1Kは同棲には向いていません。
・生活リズムの違いでストレスがたまりやすい
・在宅時に距離が近く、息が詰まりやすい
・テレワークや趣味のスペースが確保しづらい
・来客時にプライバシーを保ちにくい
このように、1Kは2人で暮らす前提の間取りではないため、基本的には検討から外した方が無難です。
関連記事:ワンルームと1Kはどっちがいい?違い・メリット・デメリットと後悔しない選び方
ワンルーム
ワンルームでも2人入居可能な物件はあります。
ただし、そのような物件は35㎡以上の広さがあるケースが多く、数は非常に少ないのが実情です。
また、ワンルームはキッチンと居室の仕切りがなく、すべてが一体となった間取りです。
そのため、1K以上に生活空間の切り分けができず、同棲にはさらに不向きです。
・料理中のにおいや音が居室にそのまま広がる
・生活空間が完全に共有されるため、1人の時間を作りにくい
・来客時やオンライン会議などで気を使う場面が増える
このように、ワンルームは条件が合えば入居自体は可能ですが、快適に生活するのは難しい間取りです。
ほとんどの物件で2人入居が不可であり、また同棲にも向かないため1Kと同様に検討から外すことをおすすめします。
1DK
1DKはダイニングキッチンと居室が分かれている間取りですが、広さは単身者向けの物件が中心です。
35㎡以上であれば同棲も可能といえますが、居室は1部屋のみのため、2人で生活するにはやや手狭に感じることが多いです。
また、1DKは築年数が古い物件も多く、その分賃料が抑えられている傾向があるため、予算を重視する場合には現実的な選択肢となります。
ただし、広さや間取りの面では余裕があるとは言えないため、快適さを重視する場合は1LDK以上を検討した方が無難です。
関連記事:1DKとは?1K・1LDKとの違いや向いている人、選ぶときの注意点を解説
1LDK
1LDKは同棲において最も費用と広さのバランスが良い間取りです。
ただし、近年は居室が3畳前後と狭い1LDKも増えています。

このような物件は、寝室にシングルやセミダブルのベッドを置くだけでスペースがほぼ埋まってしまい、2人で使うには余裕がありません。
そのため、同じ1LDKでも「広さ」と「居室のサイズ」は必ず確認が必要です。
目安としては、最低でも35㎡以上、できれば40㎡以上ある物件を選ぶと、生活にゆとりが出ます。
1LDKであれば基本的に2人入居は可能ですが、広さによって住みやすさは大きく変わるため、間取りだけで判断しないことが重要です。
関連記事:1LDKとは?定義・何畳から・1DKや1Kとの違いを解説
まとめ
同棲の部屋探しでは、間取りだけでなく審査や申込の進め方も含めて考えることが重要です。
・バランス重視なら → 1LDK(40㎡以上)
・快適さ・長く続けたいなら → 2LDK
また、1Kやワンルームは構造的に同棲には向いておらず、1DKも住めるものの余裕は少ないため、慎重に判断する必要があります。
さらに、同棲では原則として申込名義人一人で審査されるため、収入や勤務状況に応じた現実的な家賃設定も重要です。
同棲は「間取り選び」と「審査対策」の両方がそろって初めてスムーズに進みます。
広さや部屋数だけでなく、入居までの流れも含めて準備しておくことが失敗しないポイントです。
執筆者
株式会社マチラボ 代表取締役
1級FP技能士・宅地建物取引士・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士
これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。
1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。
また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。
